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クリスマスと異文化コミュニケーション

週末、仕事で一件アパートの網戸とカーテンレールの取付けがあった。

個人情報になるのであまり細かくは言わないが、住んでいる方は日本人ではなく、ポルトガル語を操る異邦人。

しきりに僕に
ゴメンネー、ゴメンナサイネー
と言ってくれる。


優しいな。

いやいや、仕事なんでノープロブレムですよー。

と、ゴリゴリの日本語でお返し。

それでも、ずっとずっと
ゴメンナサイネ

と言ってくる。

え、俺ちゃんそんなに迷惑そうな顔してるのか⁇

自分は思っていなくても…
相手がそう捉えてしまっているのか…

いや、これは申し訳ない。

基本的にお施主さんとのやりとりはいつも表情豊かにニコニコして作業するよう努めていたのだが…

異邦人には足りないのか。

ボディランゲージなお国柄だしな。


僕は、本田圭佑が対オーストラリア戦でケーヒルに見せた、肩を上げて両手を肘まで脇腹につけた状態から手のひらを上に上げる

what's up?!

みたいなアレをしてみた。

どうしました⁇

住人さんは小学生くらいの娘さんを呼び、自分のiPhoneを持って来るように言うと、ガラスを指差し、iPhoneの翻訳アプリを開くと、

ペラペーッラ エーラペラソーラ

みたいな感じで吹き込み、
おもむろにそのiPhoneから日本語で

私はこの事を彼と約束した』

と言われた。


約束?

何の事?


僕はキョトン。

娘さんもキョトン。

多分、既存のガラスに貼ってあったフィルムが風化して剥がれてボロボロになっていた。

これが綺麗になっていない事を指摘していたのだ。

ただ、僕も先方から伝えられているのはあくまで、網戸とカーテンレール。

ガラス磨きは請ていない。

この事を、僕も負けずに翻訳アプリを駆使して伝えた。

分かったのか、分かっていないのか、
はたまた納得してくれたのか、していないのか。

もう一度、
『これが終わったらすぐに連絡して伝えておきます』
と告げ、何とかシェイクハンドまで漕ぎ着けた。

とにかくいびつな異文化コミュニケーション戦略を一つクリア。


先に網戸をやっつけて、次はリビングのカーテンレールを取り付ける。

カチャカチャやっている後ろで、また住人さんが言う。

『ゴメンネー、ゴメンネー、、、』

え。何だねまた。。
振り向きざま、またこれをカマす。

『what's up⁉︎

すると今度は向こうが申し訳なさそうな顔をし、

ボァウール、クソヌクーウィ

みたいな感じで例のように翻訳アプリを駆使して吹き込み、

『私はテレビが映らない不思議との争いだ』

と告げられた。

そんな不思議な争い、、あるんだ。

要は、テレビが映らないようだ。

仕方なしにアンテナの位置や差し込み口。
B-casカードの向きなんかを一通り見てあげたが、悪いところが見当たらない。

昔のアナログテレビを治すのはすごく得意だったけれど、デジタルとなりゃからっきしダメだ。

これまた翻訳アプリを駆使して、
見たけれど、悪いところは見当たらない」

と告げる。

すごく悲しい顔をするんだよ、異邦人。

やはりボディランゲージでは一枚上手だ異邦人。

鈴木奈々のような、ジタバタするだけがボディランゲージじゃないんだ。
表情が大事なんだ。

学んだよまた一つ。


確かにかわいそうだが、請け負っている仕事はこれでは無い。

何度も言うが、網戸とカーテンレールを設置する事が請け負っている仕事。

あんたんトコ、人情ないわァ。

言われても仕方がないが、住人さんと下請けの僕らが、現場で直接やり取りして勝手な事をする事は、後々のトラブルの元になりかねないので、基本的にはそう言うイレギュラーな事はしない。

だからテレビを治すのを諦めて、カーテンレールを設置する事に集中する。

ずっと後ろで異邦人は、その他の指摘事項を何個も僕に言ってきたのだが、、

申し訳ないが全部無視した。

請け負っていない、
勝手にしてはいけない、
てか、カーテンレールを付けさせてくれよォ。

色んなことを頭の中で考えていたら、、、


『ねぇねぇ、お父さんの話を聞いてあげて』

と、何とも自然な日本語が、僕の太腿あたりから聞こえた。


住人さんの娘さんだ。


僕は、

あぁごめんね、ちゃんと聞くね
でも無ければ、
うるさい、黙っててよ!
でも無く、

『え?日本語分かるの⁉︎

だったね、あの瞬間は。

娘さん、黙ってうなずく。

「え、分かるんだ…日本語。。」

もう一度、黙ってうなずく。


今まで、何度となく翻訳アプリを使ってだらだら周りくどいやり取りをしていた、そのすぐ横に…

キミ、居たよね〜‼︎

この先のやり取り、
悪いんだけど、通訳してくれないかなぁ。。

黙ってうなずく娘様。もう様だよ、

僕は、
今日は網戸とカーテンレールのお仕事だけで来ちゃったから、他の事が出来ないんだ。
だからゴメンね、お父さんが言っている事は、◯◯さんに伝えておくからね

そう言うと、
しっかりポルトガル語を操り、お父さんである住人さんにシッカリと通訳してくれた。

パァっと明るい顔になり、

ホント、アリガトー‼︎ゴメンネー!

と、ラストゴメンネーを頂いたところで、フィニッシュ。

最初から通訳してくれ。笑

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その日の夜、八ヶ岳のリゾナーレでキラキラなクリスマスイルミネーションなぞを仕込んでいるとの情報を聞き、妻と子を連れて一路小渕沢へ。

異文化ですなぁ。。
異空間ですなぁ。。

接写してみたり、

伏臥状態反らし(コレでも反っている方)してみたり、
綺麗だった。

娘は、どんな綺麗なイルミネーションよりも、この謎の升が気に入ったみたいで、ここだけで約10分は遊んでいた。

大人と子供の感覚って、当たり前だけど違うね。

多分、前出の異邦人の娘ちゃんも、その翻訳アプリを使っている大人たちが単純に興味があって、悪気なくさその2人のやりとりを見届けていたんだろうね。

イルミネーションだって、子供にしてみりゃ、ただの瓶並べただけの寒い場所にしか思っていないもんね…多分。


なかなか色濃い1日が、そこにはあったね。

さぁ今週もがんばろう。

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