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光と色 ~光とは~

はじめに

この章では色彩検定3級の「光と色」についてまとめていきます。光について触れていきますので少し難しく感じるかもしれません。また、この章は後日公開する「眼の仕組み」「色の見え方」「混色」の4章でまとめていこうと思います。

色はなぜ見えるのか

美しい桜や色鮮やかな魚など、身の回りにある色は私たちの目を楽しませてくれます。しかし、太陽が沈むと色は見えなくなってしまいます。太陽は私たちにとって最大の光源(光を発するもの)であり、光がないと色を見ることはできません。
また、そこにものがなければ色は見えませんし、目を閉じてしまっても見ることはできません。色を見るためには光源物体視覚の3つの要素が必要で、視覚で得た情報を脳で処理して初めて色を認識します。

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光とは

色を見るために必要な光は、電気と磁気のエネルギーが波となって空間を伝わっていく電磁波の一種です。電磁波は振幅波長で表すことができます。振幅は波の大きさ、波長は波の周期的な長さのことをいいます。電磁波は波長の長さによって利用分野が異なり、呼び方が変わります。呼び方は波長が短い順に、「ガンマ線」、「エックス線」、「紫外線」、「可視光」、「赤外線」、「電波」と分けることができます。
上記の中で聞き馴染みのない可視光は、電磁波の中で人間の目が感じることができる波長です。波長の範囲は約380〜780nm(ナノメートル)で、この範囲を可視範囲といいます。可視範囲は短波長(約380〜500nm)、中波長(約500〜600nm)、長波長(約600〜780nm)に分けることができます。

太陽からの可視光は複数の波長の光によって構成されています。このような光のことを複合光といいます。昼間の太陽光のように、複数の光がほぼ均等に集まると色味を感じさせない無色の白色光になります。この複合光である白色光をガラスで作られた三角柱のプリズムに通すことで、単一の波長の光である単色光に分けることができ、鮮やか光の帯が現れます。このように光を波長ごとに分けることを分光といいます。
光がプリズムに入るときに、波長が長いほど屈折率は小さく、波長が短いほど屈折率は大きくなります。この性質により、プリズムに入った複合光は複数の単色光に分光されます。分光された光の帯をスペクトルといい、長波長側から赤・橙・黄・緑・青・藍・青紫の順に並んで見えます。この代表的なものが虹です。また、世界で初めて太陽光を分光したのはニュートンです。

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光の性質

物体に光が当たると、波長によって表面で反射するか、吸収されるか、透過するかします。また、光を通さない不透明な物体は、反射するか、吸収されるかのどちらかになります。例えば、光源のもとで白く見える物体は、可視範囲のほぼすべての波長の光を反射するため白く見えます。逆に黒く見える物体は、吸収するので黒く見えます。また、赤く見える物体は、可視範囲の波長のうち長波長の光が多く反射され、それ以外の波長が吸収されるので赤く見えます。
透明な物体の場合も上記とほとんど同じで、吸収されるか、透過するかになります。例えば、赤く見える透明な物体は、可視範囲の長波長の光を多く透過し、それ以外の波長は吸収されるので赤く見えます。

スペクトルを物体がどのように反射する、または透過するかをグラフ化したものを分光反射率曲線分光透過率曲線といいます。横軸に可視範囲、縦軸に光の反射率または、透過率のグラフで表されます。このグラフから、その物体の色がどの波長の光の反射、または透過によるものかを知ることができます。

反射

反射には正反射(鏡面反射)と拡散反射があります。正反射は光の入射角と反射角が等しく、拡散反射は光があらゆる方向に散らばって反射します。
物体の表面では正反射と拡散反射が混在しており、それによりきめや光沢などの質感の違いに影響を与えます。

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透過

透過には正透過拡散透過があります。正透過は入射した光が直進して進みます。拡散透過は光が入射するとさまざまな方向に散らばります。正透過は透明なガラス、拡散透過は曇りガラスが代表的な例です。

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屈折

屈折は違う物質の境界を斜めに通過するときに、光が進行方向を変える現象のことをいいます。例えば、透明なグラスの中の水に入れたストローが折れて見えたりします。また、虹は屈折による現象で生じます。

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干渉

干渉は複数の波が重なりあうことで、新しい波ができる現象のことをいいます。波の山どうし(谷どうし)がぴったり重なると波の高さは2倍になり、明るく見えます。一方で山と谷が重なると、暗く見えます。例えば、シャボン玉の表面に虹色が見えるのは、膜の表面で反射した光と、膜の中へ進み底面で反射した光が重なりあい、干渉が起こります。

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回折

回折は波が障害物に当たったり、小さな隙間を抜けたりした後に、その先で半円を描いて広がって進む現象のことをいいます。光の場合、障害物や隙間の大きさが波長と同じくらいか小さい時に起こります。また、微小な凸部などで反射した光も回折を起こします。例えば、CDの表面が虹色のように見えるのは、ピットと呼ばれる小さな凸部で反射した光が回折を起こし、その光がお互いに干渉しあうことで、波長を強めたり弱めたりするからです。

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散乱

散乱は光が大気中のちりや水滴、気体分子などの細かい粒子に当たり、さまざまな方向に散らばる現象をいいます。散乱粒子が光の波長より十分に小さい場合、短波長の光(青色)は散乱されやすく、長波長の光(赤色)は散乱されにくいので、長波長の光の方が遠くまで進みます。昼間の空が青く見え、夕方の空が赤く見えるのは、夕方になると太陽が傾き、太陽の光が大気の層を進む距離が長くなり、短波長の光が届かなくなるためです。

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おわりに

この章では光についてまとめました。さまざまな現象を学び、何気なく見ていた虹も、今後は見方が変わりそうな気がします。
2級では3級よりも深く光について学べると思うので楽しみです。

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