見出し画像

タテナガ文芸部はじめました

 タテナガ文芸部は現在部員1名。
 仲間を随時募集しています。

 縦スクロールを生かした新しい
 文芸作品を創作しています。

 創設したのは5年前。
 2015年の夏でした。

 インターネットで調べ物をしていた私(当時55歳)は偶然comicoのサイトに迷い込み、縦スクロールマンガなるものがこの世にあることを知ったんです。

 マンガだけではもったいない…

 と思いました。
 その思いは日々強くなりました。

 縦スクロールをマンガにしか
 使わないのはもったいなさすぎる。

 スマートフォンの縦スクロールを生かして、もっと色々できるんじゃないか。絵本、童話、詩。タイポグラフィーも面白そう。まずは絵本を試作してみよう。comicoとnoteに投稿して人々の反応を見てみよう……かくしてタテナガ文芸部は東京の片隅で、ひとりぽつんと始まりました。

・ ・ ・ ・ ・ ・

 手さぐりで作ったタテナガ文芸作品第1弾がこちらです。

縦に長い絵本『カナシベリー』
2015年8月・10月〜12月連載

 半分サンタクロースで半分オーディンの老人が世界の子供たちを訪ね歩く絵物語(全13話)。

 comicoとnoteのコメント欄には毎回うれしい声が届きました。

「マンガじゃない!絵本だ」
「スクロールが楽しい」
「読むというよりアニメを観ているみたい。絵は動いてないのに不思議…」

 マンガは「コマ」の集合体です。
 私はコマをできるだけ使わず、なだらかに場面転換を繰り返す絵巻物スタイルを模索しました。すると不思議なことが起きたんです。

 スクロールする指の動きが、マンガを読む時と違う。
 マンガはコマからコマへ、視点を移動させながら読みます。

 スクロールする
   ↓
 止めてコマを読む
   ↓
 スクロールする
   ↓
 止めてコマを読む のくり返し。

 一方、縦に長い絵本は動かしっぱなしで読むのが特徴ですスクロールしながらそのまま読める、ゆったりとした時空間。絵がシームレスに動きつづけるのでアニメを観ているように感じられるのかもしれません。

スマートフォンの
画面は川面

文字や絵が流れてきては
ゆっくり離れてゆく

眺めているうちにいつしか
読者も物語の中にいる

 それが縦に長い絵本の醍醐味です。

「手を止めずに読めて楽しい」
「スマホに自動スクロール機能ほしい」
 そんなコメントも読者の皆さんから届くようになりました。

 お手本もなく試行錯誤の連続でしたが楽しかった。怪我で半年ほど右手が使えず、慣れない左手マウスで必死に描いたのが逆に良かったのか、なかなか味わいのある画風になりました。

・ ・ ・ ・ ・ ・

 2016年春。
 タテナガ文芸部の部員はあいかわらず1名でしたが、前作『カナシベリー』の手応えが良かったので新作を連載することになりました。
 第2弾は全70話、1年半の長丁場。note友の皆さま、その節は応援ありがとうございました!

縦に長い絵本『ノオトくん』
2016年3月〜2017年9月連載

 奇妙な言葉づかいの少年と心優しい町の人たちがくり広げる、切なくてちょっと不思議な物語。謎が謎を呼び、時を超えて奇跡が生まれます。

 縦スクロールをもっと心地良く楽しんでもらえるように『ノオトくん』では演劇と俳句の手法を積極的に採り入れています。(詳しくはまた後日)

 2本の連載を終えて感じたこと。
 縦スクロール、やっぱり面白い!

 紙の本や電子書籍を《固体》とするならタテナガ文芸は《液体》です。マンガ、絵本、童話、どんな箱にもすっぽりハマりますが、型にはめようとするとその手をするりと抜ける、まるで猫のような自由な表現スタイル

 ある時はショートショート

 ある時は詩

 ある時はショップのブログ

 変幻自在です。

 そして今、タテナガ文芸部では童話へのチャレンジが進行中。縦書きの文章と挿絵を融合させた縦スクロール絵巻です。

『はにケンさん』(全20話/2020年夏完結予定)

 不思議なかたちのはにわが出土して小さな町は大騒ぎ、というお話。
 小学4年生以降に習う漢字にルビをふりました。タテナガ文芸の基本は《画像》ですから、縦書きだろうがルビだろうが好き放題ふるまえるのも特徴です。


・ ・ ・ ・ ・ ・

 5年間続けてノウハウも貯まってきました。ご要望があればシェアしたいと考えています。

 とりあえず無料マガジンを作ってみようかな。……興味ある人いますか?
 ノウハウを共有しながら縦スクロール作品を創作し、見せ合い、高め合い、広め合う仲間の輪をイメージしています。

 よろしかったら試行錯誤を、ご一緒に。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?