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「アルトデウスBCのSF考証(ネタバレなしバージョン!)」

VRゲームのSF考証をしたのは、今回のテーマ『アルトデウスBC』が初めてです! かつ、世界初と言い切れます!
なぜなら! 深い物語性とSF性を持つVRゲームがこれまで存在せず、『アルトデウスBC』こそが世界初の本格SF×VRゲームだから、です!

さて『アルトデウスBC』については公式サイトをぜひご覧ください。

楽しい実況動画もたくさんあります(プレイありがとうございます!)。
ただVRの特質として〈VR体験は、似たような体験はほとんどなく、現実の体験にのみ似ている〉ということがあります。VRゲーム内で都市にいるとすると、それはまさにその場にいる体験になるのです。なのでこれをお読みのみなさまにはVR未体験の方もおられるかと思いますが──そういうかたにはこれから初めてVR体験するという超楽しい時間が待っているので超うらやましい限りですが──ぜひぜひご自身でVR体験+アルトデウス体験をしてくださいませ!

今回のキーワード:〈不可能体験〉

ではさっそくVRに迫っていきますと、VRにおける都市はもちろんひとまずはゲーム内のものであり、現実には存在しない世界/空間です。その仮想、架空の立体性/空間性のなかを活動できるのがVRなのです。
さらには、『アルトデウスBC』では400メートル級の巨大ロボット〈マキア〉に搭乗することができます(!!!)。
特に後者は、ひとまず現時点ではおろか、かなりの未来まで──類似体験すらできない──不可能体験です。

こうした〈不可能体験を体験できる〉ことこそがVRの最大の魅力であり、本作、『アルトデウスBC』は〈不可能体験〉を連続して体験することができるものなのです!

こうした〈不可能体験〉を1つVR内に実装するだけで、それはもう一冊分のSF度に相当するような気もしています。虚構を作り出すとはそういうことではないか、とも。実際、VRはこれまで数分間の短時間VR体験を楽しむものがほとんどだったと思います。『アルトデウスBC』はその時間間隔を一気に拡張して、充実したプレイ体験を獲得しています。

ではではそろそろVR論から『アルトデウスBC』に深入りしていきましょう。

アニメのSF考証を初めてしたときも〈(理論も大事ではあるものの)映像にしたときに映えるSF考証が必要〉という学びがあったように、今回も多くのことを柏倉監督や岸上総合Pから教わりながらSF考証していきました。

初顔合わせにて:AR/DR

ここで、初めての顔合わせのことを思い出すと、なかなか象徴的な話をしていたように感じます。もろもろバタバタしていて、ぼくの最寄りの東京荻窪に来ていただいたのでしたm(_ _)m。
挨拶もそこそこに早速ゲームの概要説明をしていただいて、すでに面白そうだったわけですが、どういう流れだったか、柏倉監督が「DR」に言及したのでした。
DRとはDiminished Reality──減損現実のこと。実際はあるものを隠すなどして情報量を減らすタイプのRです。情報を増やすAR拡張現実の反対と言ってもよいでしょう。

今でこそxR感度が高まっていますが、そのときのぼくはDRについて聞いたことはあるくらいで、普通に監督に教えてもらうことに。アルトデウスはVR開発の最先端の最前線なのでそういう語彙が普通に飛び交うのは当然ではありますが、初めの初めから結構楽しく、かつ鮮烈に感じたのでした。

『アルトデウスBC』をプレイされた方はいくつものDR/AR的表現に触れているかと存じます。
そのうちのいくつかはSF考証的に「類似技術は現実にもあるので実装可能です/ここまで進化しても大丈夫です」的な世界観からの検証をしたり、あるいは食事にAR的なテクスチャを貼って物資不足を誤魔化している的な設定を考案したりしています。
このあたりのDR/ARについての設定は、初回の顔合わせのエピソードが印象的だったことに由来しているのではないかと今は思います。

そしてアニメでもあるあるですが、ストーリーも世界観設定も、みんなで話しながら生まれてくるものなので、ぼくがこれをとピンポイントで指摘することは難しく、なので「的な」を多用しているのでした。みんなでああでもないこうでもないと言っていて、たまたま最後にまとめた人がいたとして、それはみんなの集合知が生み出したものに違いないからです。

ひとまずの担当箇所

そういうなかでもひとまずぼくが担当したと言ってよいと思う箇所は〈巨大ロボット=マキアのSF面の設定〉〈天才科学者ジュリィ関連のSF面の設定〉です。諸々の設定やネーミングは、日本のロボットアニメの良き伝統を踏まえつつ、21世紀の世界に通用するものに更新できたと自負しています。
ので、ぜひぜひSF読者のみなさまにもプレイしていただければ!(本記事を読んでいただいているみなさま、いつもお世話になっております、ぜひぜひよろしくお願いいたしますー!)

本作『アルトデウスBC』はそもそも基本的に柏倉監督の強いイメージによって突き動かされている作品であり、監督には監督のSFマインドがあって、そのうえでぼくは超自由に発想させていただきまして、SF度は遠慮なく最高度になっています。それは別に難解というようなものではなく、上で述べた〈不可能体験〉として、最高のSFになっているということに他なりません。
今回のシナリオチーム──小山恭平さん+カミツキレイニーさん+ぼくによる神話×幻想×SF的シナリオ、それがVR/現実のものとして立ち上がるVR世界をぜひお楽しみいただければと思います!!!

今回のまとめ

VR(仮想現実)にはおよそありとあらゆる種類のxRを入れ込むことができます。唯一、R(現実)は別格ではありますが、入れ込めないわけではありません。Rは自分自身として、VRのなかで最も色濃く存在しているからです。それは『アルトデウスBC』で主人公クロエとなる中で、非常にエモーショナルな体験として現れます。

VR論的になっているのは、『アルトデウスBC』がVRの本質を十二分に活かした、VRならではの体験をもたらしてくれるからです。〈VRの本質を最短で知りたければ『アルトデウスBC』をプレイすればいい〉というのは──SF考証的に──これからずっと真実であり続けると断言できます。

おかげさまで『アルトデウスBC』は大好評発売中で、この記事はより多くの人に知ってほしいということで書いています。
まだネタバレありのターンではないと思いますので、クリアされた方は本記事から諸々想像していただいて楽しんでいただければ幸いです。

『アルトデウスBC』は、今回のキーワードである〈不可能体験〉そのものであり、あとはもう体験していただければと思います。良いお年を+良い体験を!

(※本記事の見出し画像は、各種アイコンなどなどと合わせて、公式サイト内の「スペシャル」からダウンロードできます。ぜひ利用ルール内で活用していただければ!「©2020 MyDearest Inc. All Rights Reserved.」)

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