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人はそれぞれの才能を生きる
先日、大学時代の後輩で金沢で漆塗り職人をしている、杉田明彦の個展を観に南青山のギャラリーに行ってきた!
杉田とは演劇部の先輩後輩の間柄だけど、今や演劇とはかなり遠い職人の世界で活躍しているわけで、不思議な気分もある。
でもね、彼が、卒業後「そば職人になろうとしている」とか「その後、輪島に漆塗り修行に出た」とかと聞いたときは、妙に納得したのを覚えている。
なんていうか、演劇部に入ってくるにしては、大人しいというか、渋いというか、寡黙というか、喋り上手って訳じゃないし、総合すると、
ああ、あれって「職人向き」ってことだったんだ!
という納得感があったんだよね。
芸術家とも違う、職人肌。
久しぶりに会って話してみると、押し出しの強くないソフトタッチの語り口に、
「なんで演劇部に入ったんだろう?」
と改めて不思議だったり。
しかし、いろんな分野の知り合いがいると、それだけでかなり刺激になるね。
それぞれの世界、価値観、そして、向き不向きというのが人にはあるんだ。
と思い出させてくれるしさ。
つくづく人生の道筋には、定型というのはないんだ!と思う。
彼は、大学は哲学科の美術専攻で、「そういえば、俺、絵描きになりたかったんだ!」と思い出して、漆塗りの絵を描き始めたらしいし、
こういう節目節目で、
「あ、そういえば俺って・・・」と、自分の中の欲求を探るというのもとても大事なことだよね。
数年おきとか、まあ5年おきぐらいで、
「俺、何がやりたかったんだっけ?」「今、自分がワクワクするのは何に対してだろう?」「自分にしかできないことがあるんじゃないか?」
などと、心の内部を覗き込んでみるのって重要なんだと思う。
悩んだり、迷ったりしたときに「自分に聴く」習慣がついていると、
社会的価値や、収入の多寡や、周りの人がどう思うかや、人と比べてどうかと別なところで、
自分にしか感じられない、けれど大事な、生きている意味が、一段一段色濃くなっていくような気がするのだ。
漆をなんども重ねるように。
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