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アドテク屋から見た『嫌われる広告』へのアプローチ

どうしても書きたい病が発生したので、手短に書きなぐります。

先日(2020年9月8日)、高広さんと境さんの有料セミナーがありました。

このセミナーを見て、触発されてしまい、これを書いてます。

たしか、セミナー内でも言ってましたが「媒体社が自分たちで解決しようとしない、当事者意識の欠如」的なことを言ってたのですが、このセミナーを見て、このようにnoteを起こす私は、まさに当事者意識の塊です!笑

…という訳で、本noteは「嫌われる広告」(ネット広告に限定)を、どのように、少しでも解消できるのか?というのを、アドテク屋視点でまとめたものです。

「特定の誰かに向けて書いている」という訳でもないのですが、ネット広告業界にかかわっている人達に何かしら伝われば良いかなぁという想いで書きました。

あと、高広さん、境さんを知らない人は、このnoteの読者としては想定してないので、今すぐ離脱して結構です笑

お暇な時間にお読みくださいませ。

※この文頭を書いたのが9月9日→その夜にコロナ発症→入院→退院→会社復帰と色々ありまして、公開がこんなタイミングに(笑

ネット広告はどのように嫌われているか?

まずは、これを読んでください。

>ネット広告が嫌われる理由ははっきりいってビジネススキームとその結果業界が陥っている環境にある

まさにその通りですね。
まずは、これを認識してください。

何が原因か?

有料セミナーの内容自体は、詳細について勝手にあかせないのですが、肝となった提言(原因)をいくつか私なりにピックアップします。

・媒体の営業力の問題
・邪悪(利益追求)に走ったアドテク(Google)の問題

もうちょっと詳しく説明すると以下。

・媒体の営業力の問題
すなわち、媒体がBtoB営業(広告主への直販)を頑張ってないから、余り在庫が多数出てしまい、それを有象無象(アドネットワーク型)に売ってしまいモラルと質が低い広告が量産されている。

・邪悪(利益追求)に走ったアドテク(Google)の問題
すなわち、媒体の顧客体験を向上させるような広告体験ではなく、簡単にスケールしやすい収益追求のロジックになったしまった。(Googleが)
媒体も気軽に収益を追えるし、広告主も気軽に出せるし、配信事業社も儲かる。でも、エコシステムの質向上は誰も追わないことに。

話を聞いていて、これらの問題は今の業界構造にかなり根深く入り込んでしまった構造問題だな、と改めて感じました。

私個人としては、アドテクにかかわった10年以上前から「メディアは、もっとオリジナルの純広告販売に力を入れた方がいい」と言ってきました。
そうすることが、ネット広告の輝かしい未来を作ると本気で思っていました。

4年以上前に「自分の手で変えてやる」と思い、こんなサービスを作ったくらいなので口先だけではありませんよ。

スケールさせることよりも広告を含めたメディアの質を追求して欲しい!という想いで作りました。
でも、残念ながら、その理想は一向に実現されていません。

苦労して独自性の高い広告商品を作ったのに、大きく儲からないかも…ってなったら誰も挑戦しません…、そりゃそうですね笑

また、これも私個人の想いですが、ネット広告に関係する人向けに、ちゃんとした資格というか、資格まで行かなくとも、国家試験的なものを用意した方が良いと思います。(ベンダーのツール系試験ではなく)

上記したような規制が広告には存在するのですが、これを全て把握している人は少ないです。
上記以外にも、業界ごとに規制があったりします。(アダルト、ギャンブル、アルコール、たばこ等)
これらを、何も確立された勉強方法もなしに各企業の各広告運用者が、一定レベルで把握するのは不可能だと思っています。

上記のような問題が組み合わさり、今の「嫌われる広告」が作られていると思っています。

この構造問題はどうやって解消するのか?

ネット広告は2019年で2兆円を超える業界になりました。
また、運用型広告に限ってみても、1.3兆円を超える大きな業界になりました。

20年前のネット広告業界の全部の売上が、500~600億円程度だったと記憶しているので、20年で30~40倍?くらいの成長をしたことになります。

これだけ大きな業界に成長したものに「根深く入り込んでしまった業界の構造問題」を解消するのは簡単ではありません。

もちろん、過去には様々な企業・団体から、様々な取り組みがなされています。

Appleのような力のある企業がITPを導入したり、Chromeによってポップアップ系広告がブロックされたり、アドテクベンダーがアドベリ/ブランドセーフティツールを提供したり、業界団体からアドバタイザー宣言が出されたりと、色々な改善がなされてきました。

それでも、この現状です。

また、業界団体に所属している企業(広告主、代理店、配信、媒体、ツールベンダー)は、正しいことをしていて、それらに属さない企業が悪いことをしている、という指摘もあります。

であるならば、広告業界への参入障壁 (免許制等) を上げれば解決か?と言われるとそうでもないと思います。

極端な例ではありますが、東証一部上場企業であるソウルドアウト社から逮捕者が出ました。

正しいことをしている企業の代表格といっても過言ではないソウルドアウト社からの「本業での逮捕者」です。(横領や詐欺等ではなく広告関連の法律違反!!)

また、有名な配信事業社の「審査承認」が「自動化されていて、ゆるゆる審査」というのも事実としてあります。
正直な話、媒体社や、オーディエンスから「クレームが来たら停止する」という運用をしています。

でも、現場を知っていると責められないです。
なにせ、Yahoo1社のみで1年間に約2億3千万件も非承認にしているわけですから。
ネット広告に申請されるクリエイティブは、多数が酷いクリエイティブなのです。
1件1件まともに審査なんかしてられないですし、漏れも発生します。

…という訳で、これをやれば解決できます!という銀の弾丸はないのです。

やれる事としては、ネット広告に関わる全ての人たちが、常に高いモラルをもち、業界として改善できることは無いか?ということを心がける必要があるのでしょう。(やれる人だけでもやり続ける…)

アドテク屋として出来ること

残念ながらテクノロジーで解決できることは少ないです。

その中でも極端な解決策としては、すべてのネット広告配信をGoogleに1本化するという手はあります。

ある意味、この邪悪な仕組みを作ってしまった張本人であるGoogle(と、私は思ってる)。
それでも、この業界では圧倒的な力を持っているので、そこに任せて変えてもらうのが良いとも思っています。

1社が独占すれば、審査業務等もGoogleが責任を持てばいいだけなので、もしクレームがあればGoogleに言えばいいし、そのクレームを元に勝手に改善されていくはずです。

現状のGoogle広告のポリシーは以下。

正直、Googleであっても各国ごとに異なる「法的要件」を完全に守るのは難しいのは理解できます。
日本に限ってはYahoo広告の方が審査は厳しいです。

全部のネット広告がこのYahoo基準で掲載されれば、だいぶ改善されると思います。
(まぁ、本来は広告主に法を守ってもらうしかないのですが…)

これが実現した場合、悪い広告、悪い仕組みへの改善速度が一気に上がるはずです。

また、Googleのシステム1本になれば、業務効率、販売効率も上がります。
複数ツールを使いこなさないといけない業務の非効率問題(ツールの学習コスト、運用ナレッジ、運用の手間)や、媒体が広告主に直接売れない問題(ツールを通じてすぐつながれる、月5~10万円のような少額広告主を直販で取れる)などの問題を解決してくれるはずです。

…と、Googleに1本化出来れば、という非現実的な話をしましたが、土台無理な話ですね。
現在も、独占禁止法違反訴訟が多数行われ、Google自身も嫌気がさしてるのに、さらに1社に寄せるなんて、絶対に無理ですね(笑

現実的な案として

私がアドテク屋として提案したいのは、以下の2つです。

・媒体の営業支援のサービス開発
・広告審査システムの開発

それぞれ詳しく説明します。

・媒体の営業支援のサービス開発

現状、この業界問題を解消するには、メディアレーダーは最高のサービスだなと思ってます。(さすが福島さん!笑)

前から弊社代表の倉田も福島さんに提案してますが、メディアレーダーから直接買い付けが出来て、その買い付けを承認(調整)すれば、そのままアドサーバーに設定がされるとか、そこまでやれれば最高だと思ってます!(福島さん、是非、実現してください!!!)

間に入る人手が少なくなってくれば、たとえば「3か月契約前提×月5万円」プランみたいな、純広告が販売可能になるわけです。
「TOP面の右肩に2週間30万imp保証で100万円」みたいなメニューだけだと買い辛いのですよね。

テクノロジーが発達した今、「営業マンが頑張って高い商品を足で売ってくる」とか、ここは昭和かな?って話です。
そういう意識から脱却するのも重要です。
(RTB市場も、アドエクスチェンジも、本当はこういう理想を実現したかったはずなのになぁ…)

・広告審査システムの開発

広告系の業界団体から無償ツールとして出されていても良いと思うくらい、必須で欲しいです。
AIによる高度な自動審査といった、作るのも運用するのも高い費用が掛かり、かつ信頼性が低いものは不要です。
入稿する前に、その素材やLPがちゃんと法律、規約を守っているか?を分かりやすくチェックできる仕組みがあれば良いと思います。
加えて、画像フォーマット、動画フォーマットのレギュレーションチェックについては、各媒体社が自動ツールをもってるはずなので、API連携で事前チェックをかけられるようにすればいいはずです。
このチェックを通したもののみ、媒体として受付可能にすれば、少なくともノーチェック素材がなくなり、問題があった際に誰の責任なのか?がはっきりします。

上記のサービスが誰でも使える形で提供されれば、業界的にはよくなっていくと思われます。

また、上記2つほどのはっきりした提案とは言いませんが、日本のアドテクベンダーは米国に引っ張られすぎてるの変えません?笑
国ごとに課題は異なりますし、商習慣も異なるのですから、もう米国の最新テックを追い、模倣するタイミングではないと思いますよ。
日本の商習慣に合わせた、現実的なシステムを開発していきましょう!
(弊社も米国CDP協会に加盟して、模倣しちゃってますが笑)

まとめ

勢いに任せて、つらつら書きなぐったのであまり纏まりがない文章になっております。
また、色々と偉そうなことを書いてますが、私の推察や結論だけが正しいとも思っていません。
もっと高度な文章、結論を期待された方には肩透かしだったかも知れません汗

ですが、この業界に関連する一人のビジネスマンとして、稚拙ながらも敢えて声をあげさせていただきました。

こういった一つ一つの声が、業界を変えていく議論へ繋がってもらえれば幸いです。

今後も思いついたことがあったら、こりずに書いていきます。
では~。


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