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この本を読むと東京から脱出する方がいい気がしてきます。『2030年の東京』

『2030年の東京』は、8年後の東京の現状を予測したビジネス書です。

「東京:人口が増え続けることを前提とした集積の経済の発想」「国際経済の現実:東京はアジアのファーイーストだからどこに行くにも不便だし、誰も関心がない」「出張・通勤:死んだ時間/死んだ時間を生きた時間に変える必要がある」など、魅力的な街である東京が沈没していく様子が綴られています。

特に「東京:世界の各都市と比べても、女性が住みやすい街」は、地方の閉鎖性を嫌った女性が、制約の少ない東京で「選択肢」を求めて移住するメリットを教えてくれます。

しかし「ただ東京は、子育ての環境は劣悪」とあるように、独身のうちはいいですが結婚して子どもを産むには住みにくい街に変貌してしまう欠点があります。

「東京に高齢化した親を地方から呼び寄せる→東京は高齢者の集積地となる」と、「手術に半年待ち」になるほど不便な街が誕生するのです。

もしかしたら、独身時代は東京、結婚したら地方と、時期によって住み分ける必要が出てくるかもしれません。

 

「テレワークの本質:空間移動を含む自由な時間の獲得」「日本企業が成長しない理由:日本人全体のスキル不足→自分の知識をアップデート」「もはや『サザエさん』は中高年のノスタルジーか時代劇」などを通して、日本人の人生設計を根本から変えていく必要があることを示しています。

特に「住民を横に並べたのがニュータウン/縦に並べたのがタワマン」は、タワマンを現在のニュータウンと同じ構造とし、衰退する未来を示唆しています。

例として挙げられる「武蔵小杉の売り:交通の便と通勤時間の短さ→都心に通う必然性が薄れたとたんに、優位性は揺らぐ」は、テレワークで通勤の概念が薄くなった世界では価値が低くなってしまうのです。

「人生の大半を労働時間が占め、その労働場所に通うためだけに膨大な金額の借金をし、その返済のために自らの人生という貴重な時間を安売りしてしまう」のセリフに愕然としました。

人生の貴重な時間を確保するためにも、住む場所の選択は慎重に決断する必要があるでしょう。

 

#2030年の東京 #河合雅司 #牧野知弘 #祥伝社

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