ネットよりリアル書店の方が偶然の出会いが多いわけを徹底的に考えてみた
想定外の本との出会い。
これこそがリアル書店の価値であるとの主張は幾度も目にしてきました。
かくゆう私も本屋に足繫く通うのは思いがけない本との出会いを期待しているからです。
ネットでも偶然の出会いは起こらないことはないけれどもリアル書店の方が明らかに多いだろうと思います。
感覚的にはわかるのですがリアル書店のいったい何がそうさせるのでしょうか。
本との偶然の出会いとは
以前にも偶然の出会いについては記事を書いていますが、まずはもう少し掘り下げてみるところから始めます。
「目に留まってつい買ってしまう本」とこの時は定義しています。
つい買ってしまったという心情からするとたまたま手に取ったのであって、本来買うつもりはなかったのです。
つまり本との偶然の出会いとは、買う予定になかった本との出会いともいえるでしょう。
これはある程度購買目的が決まっていたとしても同じことがいえるかと思います。
コミュニケーションの本を探しに本屋に行ったとしても、その時点ではどの本を買うかまでは決まっていません。
質問術のような内容もあれば、表現法について書かれた本まで幅広くあります。
ぼんやり考えていたのが傾聴に関する書籍だとしたら、それ以外の本を手に取るのも偶然の出会いといってもいいのではないでしょうか。
一旦仮で本屋での偶然の出会いを、「買う予定になかった本との出会い」と定義させてもらいます。
買う予定になかった本だったら全てが偶然の出会いになるのか?
では買う予定になかった本を買えばその時点で全て偶然の出会いと言って良いのでしょうか。
全部が全部と言い切れないのは出会った瞬間だけではなく、おそらく本の印象や感想も関係してそうだと考えました。
先ほどの例だと傾聴に関する本を探しに行って、購入に至ったのは質問術についての本だった。
しかし、その質問術の本は今の自分にとってはあまり響かない本だったとしたら、それは偶然の出会いに当てはまるのかどうか。
どちらかというと購入してよかったと思えた方がいかにも「偶然の出会い」ぽい気がします。
質問術の本が自分にとってすごく役に立った、みたいなケースこそ偶然の出会いを指しているのだと個人的には思いました。
定義を固めるのに随分と長くなりましたがまとめると偶然の出会いを、自分にとって意味のあった、あるいはプラスの影響を与えてくれた、買う予定になかった本との出会いと定義し、話を進めていきます。
本を買うまでの2つのステップ ①目に留まる段階
本を購入する過程を
①目に留まる段階
②手に取る段階
の2ステップに分けて展開していきます。
①はいわば本の存在を知るフェーズで、ネットだとランキングやSNSで本についての情報を見かけるのが該当します。
リアル書店だと店内に入って見回し、本棚を眺めるシーンです。
いよいよ本題の、ネットよりリアル書店の方が偶然の出会いが多い理由の考察を述べていきます。
①目に留まる段階でいえば、リアル書店だと
・一挙に情報が目に入ってくる
・目的以外の情報にも触れさせてくれる
という点においてネットよりも優れていると思います。
これはリアル書店の構造を考えれば当然のことで、本棚に陳列されている本を一挙に見れ、目的の本棚に到達する前やレジに向かうまで間に目的以外の情報にも接することができます。
対してネットの場合はランキングやSNSで表示されるとはいってもリアル書店の書架と比較するとその差は一目瞭然です。
リアルな場で一度に見れる情報量の多さが偶然の出会いが起こる可能性を高めてくれているのだと考えました。
本を買うまでの2つのステップ ②手に取る段階
リアル書店だと目に留まった本を買おうとして手を伸ばす、パラパラめくってみる、ネットだと口コミなどを吟味してからカートに移す段階です。
そのままレジに向かったり、即刻カートに入れたりと短縮されることもしばしばです。
再度上の例をもとに考えたいと思います。
コミュニケーションの分野で本を探し、質問術の本をたまたま見かけて購入した。
けれども残念ながらその本は期待したのと違い、いまいちだと感じてしまった。
偶然の出会いには入らないパターンです。
このようなギャップが生じるのは
・本の厚さや形、行間、形式(縦書き横書き)、字の大きさ、フォント等が何となく合わなかった
・内容そのものが合わなかった
と2つの軸から考えられると思います。
これらのギャップが少なくなると偶然の出会いの可能性は必然的に高くなります。
リアル書店では手に取る段階で本そのものに接しています。
明々白々ですがよくよく考えると、実物に触れることで上のギャップを解消するのに役立っているとも感じたのです。
何も悪く言いたいのではなく比較対象としてみると、
「こんなに厚い本だと思わなかった」
「ここまで読みづらそうな本だったのか」
とギャップを感じるのはネットの方が経験としては多くあります。
リアル書店にて実物の本に触れるというのはもはや疑いの余地のない周知の事実です。
だからこそあまり目を向けられてないだけで、実際は偶然の出会いに大きく寄与しているのではないでしょうか。
さらにいえばネットで口コミやランキングを見たからといって自分に合う保証はどこにもありません。
かえってそれらの評価によりバイアスがかかってしまうことも考えられます。
リアル書店の書棚にももちろん意図があるのですが、よりフラットに、純粋に自分視点で選べるからこそ、偶然の出会いが多いのだとも思います。
ネットだけを見て本を買っていると、それはフラットな目で本を選ぶ機会を喪失しているとも言えるのかもしれません。
まとめ
つまり、
・一回に見れる本そのものの量が多く
・明確な目的以外の情報にも簡単に触れれて
・実物の本を確認でき
・よりフラットに本を選べる
からリアル書店の方が偶然の出会いが生まれやすいのだと私は思いました。
ネット批判にみえたかもしれませんがSNSやランキングによって本屋に行かずとも流行りや新刊本の情報をいち早く入手できたり、買う本が決まっている場合には足を運ぶ手間を省いて本を買えるのはネットならではのメリットです。
ネットで知り、ネットで買ったからといって偶然の出会いにならないと言いたいのではありません。
あくまで自分にとって意味のあった、あるいはプラスの影響を与えてくれた、買う予定になかった本との出会いと偶然の出会いを定義した際には、それはリアル書店の方が多いというだけの話です。
想定外の本との出会いこそ新鮮で、刺激を与えてくれます。
記事を読んで一人でも多くの方がリアル書店に足を運び、そして偶然の出会いを体験してもらえると嬉しい限りです。
どうか良い出会いがありますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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