パリ・オリンピック総括
この夏の雑感。オリンピックで良くも悪くも注目されたパリ。競技場を離れてセーヌ川で挙行された開会式など斬新な部分も確かにありましたが、自分の生首持ったマリー・アントワネットとか、最後の晩餐のLGBTQによるパロディなど物議を醸した部分も非常に多かったと思います。キリスト教を揶揄した部分に関しては、数年前にイスラムを揶揄してテロ事件を惹起したシャルリー・エブド事件をもう忘れてしまったのかと、いささか呆れてしまいました。この点ではカトリックのフランス司教に「同じこと(パロディ)がイスラムに対して出来るのか?」と正論で喝破されてしまい、演出家の責任は大きいかと思いました。
それとパリ在住の方なら、セーヌ川で泳ぐなんて絶対思いつかないと思いますが,あそこでトライアスロンを強行して体調不良の人を出したことは人道問題です。
柔道の混合団体戦で勝数並んで代表戦になった時に、リネールが来るのは皆が思い付く結末でしたが、実際に想定通りにルーレットが止まると、流石に「仕込んだよね」と誰しもが思ったことでしょう。
国技の柔道で、フランスに苦杯を舐めさせられて怒り心頭だった日本人は多かったと思いますが、フランスにしてみれば国技と言えるフェンシングで日本に男女とも苦杯を舐めさせられましたね。しかも日本チームのコーチは男性チーム・女性チームの2人ともフランス人だったことは特筆すべきことでした。
オリンピックの開会式ではセリーヌディオンの久し振りの歌声を聴けて幸いでした。しかしセリーヌはフランス系とはいえあくまでもカナダ人。フランスの国家的行事で歌姫になり得るフランス人歌手の不在は結構痛恨かも・・・まぁそこでの選曲がエディット・ピアフの「愛の賛歌」というのも、21世紀の名曲不在という意味で結構しんどいですかね?
オリンピック運営に関して、前回の東京大会との比較で様々な不満が伝えられた後半戦。選手村の食堂が「肉が少ない」「出来上がりに時間がかかる」という批判が起こったのはどうやらヴィーガン食にかなりシフトした為だったようです。残念ながら、世間はそれ程「意識高い系」でもなかったようですね。って言うか、オリンピックはアスリートの祭典なのですからアスリートはガッツリ食べる人も多いですよねぇ、全部が体重制の競技って訳じゃないのですから。
ここまでくると、各国持ち回りでのオリンピック開催もそろそろ厳しくなってきましたね。オリンピックが今のように競技種目も膨れ上がり、参加国数や参加人数も右肩上がりに増え続けてくると、開催を引き受けることのメリット感がだいぶ薄くなって、経済効果が然程見込めないイベントになってきた感もあります。過度にお金をかけて、国内の建設業を潤わせることも、最近では既存の施設の再利用が主体の為に減ってきており、その点でもあまり歓迎されていないイベントになってしまったようにも思います。ここは、高校野球の甲子園の如く一定の場所での恒久開催も検討してよいのではないでしょうか?ギリシャのアテネで恒久開催すると、「オリンピック国家」という観光資源が産まれるので、数年前に経済的な破綻を経験したギリシャに相当のメリットがあるんじゃないかと思いますがねぇ・・・
まぁ色んなことがあったパリオリンピックでしたが、これからは後半のパラリンピックが始まります。こちらの方ももう少し中継を増やして頂けると有難いと思います。
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