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”快適な”エレベーターの作り方
この記事は、偏愛とマーケティング研究所のマガジン「偏愛研究レポート」に収録されています。毎週月曜に偏愛とマーケティング研究所メンバーの頭の中が更新されていくので、ぜひご覧ください。
日曜日のショッピングセンターってエレベーターの待ち時間が、かなり長いですよね。やっとエレベーターが来たと思っても満員のパターンにもよく遭遇します。
実はあのエレベーターって待っている人ができるだけ不快にならないように緻密な計算が行われています。
そして、これを読んでくれているあなたはきっと、
快適なエレベーター生活(?)を過ごしたいと思っているはずなので、
今回は「”快適な”エレベーターの作り方」を紹介していきます。
(この記事を最後まで読んでいただければ、次からエレベーターの待ち時間がちょっとだけ楽しくなります)
エレベーターのアルゴリズム
「アルゴリズム」
一度は聞いたことある方も多いかと思います。
「インスタのアルゴリズムが〜」
「YouTubeのアルゴリズムが〜〜」
そう。このアルゴリズムと同義です。
最近は特にSNSで発信をされている方の中では、よく耳にする方も多いかもしれません。
アルゴリズムとは、一言でまとめると「作業手順」です。
レシピも料理を作るアルゴリズムですし、
服選びだって、天気や気温、予定などに合わせるアルゴリズムです。
日常生活の至る所にアルゴリズムがあるのですが、今回の話題であるエレベーターにもアルゴリズムがあるのです。
日曜日のショッピングセンターってエレベーターの待ち時間が、かなり長いですよね。やっとエレベーターが来たと思っても満員のパターンにもよく遭遇します。
このような混雑した状況でも、うまく人の流れを処理するにはどうすればいいのでしょうか。ひとつの回答が、エレベーターのアルゴリズムにはあります。
ただ待ち時間が短ければいいのか
”快適な”エレベーターを作ろうとした時に、ただ待ち時間が短ければいいのでしょうか?
答えはNOです。
”快適な”エレベーターと言ってもいろんなパターンがあります。
待ち時間の短縮:乗客の待ち時間をできるだけ短くすることが最優先
混雑の緩和:エレベーターが混雑しないように乗客を分散させる
効率的な移動:エレベーターの移動距離を短くして電気消費量を節約
公平性:どの階にいる乗客でも平等にエレベーターを利用できる
ショッピングセンターでは待ち時間の短縮、病院やホテルでは混雑の緩和、オフィスビルなどでは効率的な移動を元にしたアルゴリズムでエレベーターが動いていることが多いです。
このように”快適な”エレベーターと言っても複数パターンあるのですが、今回はその中でも待ち時間を短くすることにフォーカスして進めていきます。
待ち時間を短くするには
待ち時間をなるべく短くするエレベータとは、「できるだけ短い時間で多くの人を運ぶこと」にあります。しかし、単純に「止まらずに上への移動」を繰り返しているだけでは、返って効率が悪くなってしまいます。
そこで、ある数学的な方法が使われています。それは、「最小化問題」と呼ばれる手法です。つまり、エレベーターの停止回数を最小化することで、移動に要する時間を最小化しようというものです。
具体的には、エレベーターが上り下りする際に、行き先階と同じ方向にある停止要求に優先的に応えます。例えば、上り方向の場合は上の階からの要求を先に処理するのです。
また、できるだけ多くの人が乗り降りできるよう、最寄りの階から順に停止していきます。さらに、行き違う要求が少なくなるよう、上りと下りを分離する工夫もされています。
このように、数学的な計算を行うことで、エレベーターの効率が最大化され、多くの人を短時間で運ぶことができるようになるのです。
限られた条件の中で最適解を見つける エレベーターのアルゴリズムは、限られた条件の中で最適解を見つける「最適化問題」の一種なのです。
条件としては、エレベーターの耐荷重や定員、さらに乗客の目的階などが存在します。そして、これらの条件を満たしながら、最短時間で最大限の人を運ぶ必要があります。
一見単純な問題に見えますが、乗客の人数が増えれば増えるほど、その組み合わせは爆発的に増えていきます。これらの大量の組み合わせから、理想的な解を見つけ出すのがアルゴリズムの仕事なのです。
例えば10人の乗客がいれば、その行き先階の組み合わせは10!通りもあります。20人になれば約1800億通り、30人になれば約1兆組み合わせが存在します。こうした大量の選択肢の中から最適解を見つけるのは、なかなか大変な作業になるのです。
そこで、さまざまな数学的な手法が用いられます。貪欲法、動的計画法、分枝限定法など、それぞれの問題に応じた手法が使われているのです。
これ以上書き進めると、読んでいる方の「?」が止まらなくなりそうなので、数学の話はこの辺りにしておきます。
"快適な"エレベーターの作り方
今回は、エレベーターの"快適"とは何かと、実際に快適なエレベーターを作るには大量の計算が必要になってくることを理解していただければ、この記事を書いた意味があったのかなと思います。
実際にアルゴリズムを作る
実際にアルゴリズムを開発するためには、先ほども少し書いたように応用的な数学の知識が必要になってきます。
しかし、このアルゴリズムがあることで爆発的に処理が速くなったりするのです。
エレベーター以外にも、
商品のレコメンデーション
異常検知
予測分析
物流最適化
広告配信最適化
などなどできるようになってきます。
弊研究所でもこの辺りを研究しているので、ぜひご相談ください。
(特に予測分析が強いです。)
偏愛とマーケティング研究所について
偏愛とマーケティング研究所では、データの集め方、現場で活用できるデータ分析の方法を紹介しています。 「データを活用したいけど、何をしていいのか分からない」 なんて方はお気軽にご連絡ください。
著者: 納富 崇 / NOTOMI Takashi (X: @takashi_notomi)
偏愛とマーケティング研究所 代表 / データアナリスト
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