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「直観vsデータ」のその先

この記事は、偏愛とマーケティング研究所のマガジン「偏愛研究レポート」に収録されています。毎週月曜に偏愛とマーケティング研究所メンバーの頭の中が更新されていくので、ぜひご覧ください。

突然ですが、あなたは直感を信じる派ですか?
それともデータを信じる派ですか?

世の中には、直観主義者と絶対計算者という全く逆のことを信じている対立関係があります。分かりやすい例で言うと、僕が先日noteを書いたボルドーワインの価格予想方程式です。

対立の例:ボルドーワインの価格予想方程式

この記事の中で少しだけ触れた部分ですが、

この数式は、統計的にきちんと証明されたものですが、
ワインの専門家たちからは相当非難されたようです。

それもそうです。
「ワインの試飲なんかしなくてもワインの品質が分かる」
といっているようなものですから、
専門家たちが非難する気持ちも分からないことはありません。

(ちなみにこの方程式を導き出したアッシェンフェルターは大のワイン好きです)

【初心者向け】ボルドーワインの価格を方程式を使って求めてみた』より引用

という箇所があります。

この内容の中では、
直観主義者:ワインの専門家
絶対計算者:アッシェンフェルター

という構図になっています。

アッシェンフェルターがワインの専門家らを批判したのかどうかは僕自身も見つけきれていないので定かではないですが、ワインの専門家らがアッシェンフェルターを批判したというのは有名な話です。

このように直観主義者(直感)と絶対計算者(データ)は対立することが多いのですが、「この先には何があるのか?」という話を今回はツラツラと書いていきたいと思います。

直観とデータはどちらが優秀なのか?

これは、はっきり言います。
直感とデータのどちらが優秀なのか比べると
ほぼ例外なくデータが勝ちます。

その例として、うまく言語化してある本があったので紹介しておきます。

専門家と絶対計算のどちらが優秀かを比べると、
ほぼ例外なく絶対計算が勝つ。
その理由は、人間は大量の条件にうまく重みづけができない。
感情や先入観に左右されがち。

『その数学が戦略を決める』P218

もうこれに尽きます。
例えば、「コーラを振ってすぐにフタを開けると中身が飛び出すか?」という問いに対する答えとしてほとんどの人が「飛び出す」と答えるでしょう。
しかし、これは条件が「コーラを振る」の1つのみなので誰しもが簡単に答えることができます。

しかし、「目の前にある土地の値段はいくらか?」のような価格を決定する要因が複数存在するようなものの場合、人間は一気に予想が下手くそになります。これは土地を鑑定するプロのような仕事に対する自信を持っている人ほど感情や先入観に左右されがちといいます。
(土地を鑑定するプロの方を批判するつもりは一切ありません。あくまで例です。)

ここまでなってくるともはや専門家は必要ないのでは?
データのみでいいのでは?
となってきますよね。少なくとも僕はそう思いました。

しかし、ここが今回の大事なポイントなのですが、
このことが『「直観vsデータ」のその先』に繋がってきます。

「直観vsデータ」のその先

世の中にデータの力を活用すれば無くなる仕事なんていくつもあります。
過去の事例に基づいて判断するような仕事は、
ほぼほぼデータさえあれば直観は不要になります。

そりゃこうした話は自分でなく他人の話であればスッと受け入れることができるでしょう。でも要因をたった数個しか見てない統計アルゴリズムが、自分より優れた結果を出すことができるなんて素直に受け入れられる人なんてなかなかいないでしょう。
(豊洲で目利きをしている人が自分よりコンピューターの方がうまく仕入れることができるなんて死んでも認めないでしょう。)

しかし、直感が不要と言っているわけではありません。
直観は今後も必ず必要です。
アインシュタインですら「本当に価値があるのは直感だ」と述べています。

必要なところはズバリ一言でいうと「仮説立案」の部分です。
データのみだと、それぞれの要因に対する重み付け(どのくらい影響があるのか測る)はできますが、統計分析にどの変数を入れる/入れないかを推測することはできません。

これからは「直観&データ」

直観のみでもうまくいかないし、データのみでもうまくいきません。
だからこそ「直観vsデータ」のその先は、お互いが補完的な
「直観&データ」に移り変わっていきます。
これが最も効果が高く効率も良くなります。
(もちろんそれぞれの介入の仕方は大事ですが)

普段データ分析の仕事をしている僕にとっては何度も何度も自分に言い聞かせて、双方のバランスが良くなるように気をつけています。

なんか「偏愛研究レポート」なんて言ってるので、少々アカデミックな内容になってしまったと感じてる僕ですが、今後はもっと気軽な記事もどんどんあがっていきます。

来週は僕とは別のメンバーがマガジンを更新するのでお楽しみに。

偏愛とマーケティング研究所について

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著者: 納富 崇 / NOTOMI Takashi (Twitter: @takashi_notomi)

偏愛とマーケティング研究所 代表 / データサイエンティスト

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