見出し画像

地方ベンチャーがB-DASH CAMPで得たもの


導入:場違い感は否めなかったが...

 HIRAKUホールディングス株式会社、代表の中岡です。奈良の生駒市で障害福祉事業を運営する、という一聞しただけではスタートアップより中小企業と思われる会社な訳ですが、今回ご縁をいただき、『インターネット業界の第一線で活躍する経営者や著名人が集結する日本最大規模の招待制カンファレンスです。』と定義されるB-DASH CAMP(以下、BDC)に参加してきました。

 インターネット業界の第一線で活躍する...?というところに早速違和感を覚える方も多いでしょうが、私自身違和感しかありません。おそらく社員の半分はパソコンが苦手なくらいですので...
 そんな私がまさか100数社の中から書類選考を通過し、ピッチコンテストの出場者として招待されました。選ばれたからには、しっかりやり切ろうと思い、ピッチ資料の再構成・練習を繰り返してきました。

 しかし、残念ながら結果は予選敗退。今、決勝に残るつもりで予約した飛行機の便を早めて、ひと足先に撤退しています。

 さて、導入はこれくらいにして
そんな場違い、かつピッチ結果を残せなかった私でも結論、『BDCに参加できてよかったな』と思っています。具体的に得られたもの、地方のスタートアップにオススメできるポイントをシェアします。

得られたもの①:適切な敗北感

 地方で活動するスタートアップ、特に資金調達が上手く行った会社には必ず『奈良のスタートアップといえばうちだから...!』みたいな猿山のボス化する時期が来る気がします。

 ちなみにBDCに参加する前の私がそうでした。
資金調達もし、事業も順調に伸びている実感があったので、余計に変な自信がありました。だからこそ、最近少し経営について舐めている節があったかもしれません。必死こいて仕事してなかったように思えます。

 ただ、今は早く仕事をして、一刻も早く事業を伸ばしたいと思っています。その原動力は綺麗なものではなく嫉妬、悔しさです。

 地方にいると、基本的に『事業伸びてますよね?』とか『地域に良いことしてますね』とかそんなお褒めの言葉をいただくことが多くなります。しかし、褒められる、認められることでの陽のモチベーションは持続力はあるものの、短期の爆発力がないことが分かりました。『まあ、これくらいやってたら褒められるし』と思ってしまうので、褒められるラインまで頑張ったら手抜いちゃうんですね。

 一方で悔しさ、嫉妬といった陰のモチベーションは爆発力があります。なぜ、そう思うか。今猛烈に事業意欲があるからです。ピッチに負けた瞬間、私の頭によぎったのは、勝者への賞賛ではなく、『なんでやねん』が100%でした。当然適切な審査だと思っていますし、私が採点しても決勝に進出する素敵なメンバーです。
 ただ、理性と感情は別で、腹の底では今でも『絶対にうちの方が良い会社だ』と思っています。(本来『良い』なんて曖昧なもので比較なんてできないのですが…)
 優勝した会社よりも早く・大きく結果を残そう。そのためにできることは何でもしよう。という気持ちが起こり、すぐに仕事がしたくなり、いち早く札幌を後にしました。爆発力がある分、陰のモチベーションは持続力が無いので、定期的に思い出しつつ、できるだけ爆発的に高まっている間に動きまくりたいと思います。

得られたもの②:Xの発信は意外と侮れないということ

 今回のBDCで、普段Xでお見かけすることの多い方に出会いました。こうした大規模なイベントかつ、あまり知り合いがいない中ですと、前情報があるということは、すごくコミュニケーションがしやすいですね。
 普段はX上では絡んだことがない方でも、「いつもXを見てます」という切り口でお話をさせていただきました。
 今回はピッチアリーナに出させていただいていたので、私から声をかけさせてもらった方も「ピッチ見てましたよ」と反応していただきましたが、次回以降、ピッチ出場せずに大規模なイベントに参加した時、そのイベントで有意義なコミュニケーションとなるためにも前情報の発信は大切だとわかりました。
 SNSに張り付き…もまた違うと思いますが、戦略的に情報発信していきます。

得られたもの③:スタートアップ業界の正統な潮流を知れた

 地方にいると、「スタートアップ=自社」みたいな感じになりますが、やはり本来の全国的なスタートアップ の潮流を知ることは大事ですね。当社は基本的に「地方×レガシー産業」を攻める逆張りスタートアップですが、逆張りをするためには正当な路線を知っておく必要があると思います。
 特に今回のBDCで感じた潮流は①ソーシャルインパクトの重要性②可能性のあるトラクションを評価というところでしょうか。

 ①については、emoleさんやGOKKOさん含めてエンタメ領域の方のプレゼンにもソーシャルインパクトについて触れる一面がありました。「スタートアップインパクトにはソーシャルインパクトがあって当たり前でしょ?」という価値観の変化を感じました。我々は特に福祉という社会性が強い反面。それだけをウリにしているわけにも行かないのだと感じます。
 ②ピッチの審査員が特に求めたのは「絵に書いた餅」よりも「可能性を感じる現在のトラクション 」だったように感じます。これまで「5年で売上1,000億です!」や「シェア40%を取ります!」といったロマンを感じるプレゼンを目にすることもありましたが、今回のBDCのピッチアリーナでは、トラクションが評価されていたような気がします。トラクションと言っても、現在の売上だけをフォーカスするわけではなく、DL数や単月の売上、初動などその観点は様々でしたが、「単純に今の実績よりも今後の可能性の大きさが示せるトラクション」であることが求められていた気がします。emoleさんでいうとノンプロモーションで100万DLって可能性しか感じませんでした。当社はトラクションとして現在の売上を出しましたが、今後の伸びを感じさせられなかったのではないか?と反省しています。

得られたもの④:業界の大物に簡単に接触できる

 今回、様々な業界の大物とお話しさせていただきました。まさにこれは地方ではあり得ないことですね。そもそもナラ地方には出現しないポケモンなので…
 元々VC時代にお見かけしていた方もいますが、BDCが北海道で開催されているからか、(もしかしたら失礼かもしれませんが)ちょっと旅行感覚もあって、心なしかフレンドリーでお話ししやすかった気もします。

得られたもの⑤:地域特化VCのありがたさ

 本BDCの期間でX上でも議論が起こっていた「100億円以上のファンド、リターン出すの大変説」はスタートアップサイドでも感じていました。実際にある方から「企業には適切な企業規模がある。中岡さんの会社はせっかく良いことをしているのに、次のファンディングであまりに大きいファンドから調達をすると適切な企業規模を超えた時価総額を求められるよ?」というアドバイスをいただきました。元VCにも関わらず「規模があるファンドなら当社くらいの調達額は簡単に出してくれるのでは?」みたいな発想になっていた点、反省です。ファンドの規模が大きいということは出さないといけないリターンも大きいということですね。
 一方で、普段当たり前に思っていましたが、地域特化VCというのはとてもありがたいもので、「その地方で頑張っている」ということを一定評価してくれます。リターンの金額はもちろんですが、それとともに「この地域から上場会社を出そう」「まずは先駆者を作ろう」という視点を持ってくれています。これはとてもありがたい話で、先ほどの適性企業規模を考えてくれる1番のきっかけです。親と同じで、同じ環境にいて、当たり前のようになっているので、一度外に出てみないとありがたみが分からないものですね。北海道に出て、スタートアップの最先端に触れて、少しホームシックになったのでしょうか?それも良い気づきだったと思っています。

最後に:とはいえ、やっぱり結果が全て

 いろいろ書いてきましたが、やっぱり結果が全てだなと思います。今回ピッチアリーナを目的に来たので、予選敗退したのはとても悔しいことですし、挽回するには結果で示すしかありません。そう感じられたのはとても有意義なことだと思いますし、私と同じく「猿山の大将」になってきたと感じる地方スタートアップは是非次回挑戦されることをお勧めします。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?