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小噺Ⅰ:筑後と久留米、微妙な隣人関係

筑後(ちくご)は自分の地元を愛していたが、隣の久留米(くるめ)をも護る大神 大山咋神 の影に常に隠れているような気がしていた。タマスタ筑後で過ごす野球観戦の日々と、静かな田んぼの風景が心の平和だったが、それだけでは久留米のような大都市には勝てない。

「久留米(大山咋神 )さんって、どうしてあんなにも大きいんだろう…」筑後はよくひとりでつぶやいた。久留米は人口も多く、経済も発展している。さらに、その存在感にはヤクザの影もちらついていた。

ある日、筑後は久留米に向かった。緊張して足を踏み出すと、久留米は笑顔で「おお、筑後ちゃん、どうしたの? 遊びに来たの?」と声をかけた。

筑後は恐る恐る言った。「うーん、正直、久留米さんが怖いんです。あなたが強くて、私たちは影に隠れてばかりで…」

久留米は少し考えた後、筑後に言った。「君たちがいるから、僕たちも豊かになるんだよ。君たちの田んぼは食べ物を提供してくれるし、タマスタ筑後は楽しい時間を提供してくれる。お互いに必要なんだ。」

筑後ちゃんはその言葉に少し安堵した。「そうなんですか?」

「もちろんだよ。君も大事な隣人だからね。」久留米は温かく笑った。

その日以降、筑後は久留米を恐れなくなった。むしろ、互いに何かを提供できる存在として尊重し合うようになったのだ。

そして、タマスタ筑後での野球観戦が、久留米の人々にも少しずつ人気を博すようになり、筑後は自分たちにも何か提供できる価値があると実感した。

お互いがお互いを必要とする。それが隣人としての最良の関係だと、筑後と久留米は思った。

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