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007 柏原よしえ「あの場所から」(1982年)

作詞:山上路夫 作曲:筒美京平 編曲:高田弘

柏原よしえの最初のヒットといえば「ハロー・グッバイ」(81年)で、聖子と同期の80年デビューでありながら、7枚目のシングルでようやくのヒットでした。しかも、カヴァー曲。原曲はアグネス・チャンのシングルB面曲で、それを讃岐裕子がカヴァーし(77年)、その讃岐版を柏原がカヴァーという、3度目の正直で日の目を見た曲でした。

その翌年、10枚目のシングルとしてリリースされた「あの場所から」も、「ハロー・グッバイ」と同様、3度目の正直で日の目を見た曲でした。そういう意味では、柏原は名曲発掘工場みたいな存在ですね。えらい。

原曲はKとブルンネンで70年のリリース。ヒデとロザンナという日本人と外国人の組み合わせが当たったことから、それに当て込んでデビューしたと思われるデュオです。アレンジは京平さん自身で、フォークということもあってか、そっけない作り。と思いきや、サビのバックでチェンバロがなってたりして、ほのかにソフトロックの匂いも。そして、イントロはこの時から完成しています。

007-あの場所から-Kとブルンネン

その次に南沙織がアルバムの中で歌いましたが、シングルでは朝倉理恵で、デビュー曲として73年のリリース。それ以前に桜井妙子名義でアニメ歌手としての実績があるので、再デビューですね。ここでのアレンジは高田弘。前年に麻丘めぐみのデビュー曲「芽ばえ」のアレンジを手がけていますが、それに近いアイドル歌謡路線で、少ししっとりと落ち着いたアレンジに仕上げています。朝倉のヴォーカルは、ちゃんと歌える人なのに少し舌ったらずなところが妙に素人っぽさを残していて、非常に良いです。大ヒットではないけど、朝倉の曲の中ではいちばん売れたはずです。

007-あの場所から-朝倉理恵

僕が最初に聴いたのは柏原版でした。アレンジは同じく高田弘。さすがに80年代らしい洗練された作り。驚いたのは、リズム隊が微妙にハネてるんですよ。82年組のデビューで歌謡界がどんどん華やかになっていった時代ですから、妙に大人っぽい顔立ちでフォークっぽい湿っぽさが似合う柏原でも、ベタベタなのはよくないであろうという判断だったのかもしれません。歌、上手いんですけどね・・・。ちょっと重い(笑)。歌唱は南沙織版を参考にしている節があります。


実は、柏原版はB面の「あした…恋」(作詞:大津あきら 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗)が隠れ名曲だったりします。

そんなわけで、柏原をタイトルに持ってきましたが、軍配は朝倉理恵に上がった模様です(笑)



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