サルでもわかるNISA講座 その15「ブラックボックスには投資すべからず」

「よーく考えよー。お金は大事だよー」ってさ、「当たり前じゃん!」って突っ込みたくなるところだけど、そうじゃない人が多いってことなんだよね。

投資をする際には、自分が何を買ってるのか分かってないと、どういう状況になれば、自分の投資のパフォーマンスがよくなったり悪くなったりという想定ができなくて、リスクの避けようがないし、損をした場合でもそこから何も学べないってことになりかねない。

具体的な例を挙げるね。今年始まった新NISAでの投資信託の買い付けランキングで1位になっているのは三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」。それを買った人のどれだけが中身を理解して買っているのかなあって思ってる。

これはファミリーファンドのベビーファンドで、マザーファンドは「日本株式インデックスマザーファンド」「外国株式インデックスマザーファンド」「新興国株式インデックスマザーファンド」。いきなりテクニカルターム頻出だけど、投資対象がより限定的なファンドがいくつかあって(マザーファンド)、それを組み合わせたもの(ベビーファンド)だと思ってもらえばいい。

eMAXISシリーズには「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」という銘柄もあるんだけど、それぞれが先のインデックスマザーファンドからできているわけ。つまりその3銘柄の組合せが「オールカントリー」なんだな。そして3銘柄の配分はと言うと、昨年末時点で国内株式約5%、先進国株式約85%、新興国株式10%。つまりその割合で先の3銘柄を購入するとオールカントリーの出来上がりというわけ。まあ買っている人もそこまではイメージできてたかな。

オールカントリーの組み入れ上位の銘柄はGAFAMとテスラ、エヌビディアとここしばらくのアメリカ株の好調を牽引してきた銘柄。その7銘柄合計の比率は15.9%。eMAXISシリーズには「eMAXIS Slim全米株式」って銘柄もあるけど、その組み入れ上位の銘柄も同じ顔ぶれで7銘柄合計の比率は21.8%とそれほど大差ないって感じ。

つまりは全世界株式と言っても、アメリカのビッグ・テック・カンパニーの値動きがよほど重要だということ。それがいけないということでは勿論なくて、それを理解していないといけないということね。

また、株式相場というと日本株の上がり下がりがより身近だけど、日本株のエクスポージャーは少ないから、ニュースで耳にする株式市況と体感は当然ずれてくる。アメリカのビッグ・テック・カンパニーの株価が不調になった時にオールカントリーが軟調になったり、日本株が熱を帯びてもオールカントリーはさっぱりといったことは理解しないといけないな。そうなるって言ってんじゃないよ。

分散投資は投資の王道路線なんだけど、その運転席には自分が座るべき。「何かよく分からないけど、儲かりそうなもの」には手を出さないというのは常に必要な心構え。ブラックボックスに投資して儲かってもそこからは何も学べないから。

(Face Book 2/5/24の投稿を転載)

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