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アフターコロナの『エンジニアの働き方』

新型コロナウイルスを受け、IT業界で働いている人たちはどのような動きを取るのだろうか。
エンジニア専門エージェントとして活動していく中で、多くの情報や意見が入ってくるのですが、
自分の思考を整理するためにまとめたので、時間がある方は是非読んでみてください。

大きく3つの軸に分けてみました。
・働き方の軸(自社エンジニア・SES/SIerエンジニア・フリーランス)
・業界の軸(自社サービス系・SIer系)
・スキルレイヤーの軸(未経験・ミドルレイヤー・ハイレイヤー)
では、いってみましょう。

働き方の軸

まず、ITエンジニアとしての働き方は、3つに分類することができます。
・自社エンジニア
・SES/SIerエンジニア
・フリーランスエンジニア

ちなみに本記事では、
自社エンジニアとは、自社のサービスを開発し、
「正社員」として働いているエンジニア。
SES/SIerエンジニアとは、顧客のサービスを開発し、
「正社員」として働いているエンジニア。
フリーランスエンジニアとは、顧客のサービスを開発し、
「業務委託契約」で働いているエンジニア、のことを指してます。

新型コロナウイルスが発生するまでは、基本的にはフリーランスエンジニアが増えていく傾向が強くありました。
なぜなら、IT業界はどこもエンジニア不足で完全なる売り手市場だったからです。本来フリーランスは、仕事の保証がないため収入が途絶えるリスクがあるのですが、売り手市場がゆえにそのリスクに対する意識が希薄になっていました。

ところが新型コロナウイルスが流行し、売り手と買い手の立場が一気に逆転しました。経済が一気に停滞したことにより、企業は人件費の削減に動いたわけですが、まず最初に手を付けたのが、「業務委託契約の」エンジニアです。契約の更新をしない判断したり、新規の募集を止めたり、中には急遽終了を通達する企業もありました。
その結果として、一番影響を受けるのは、フリーランスエンジニアです。企業の発注がなくなる=収入がなくなるので、当然です。
国からの融資や補償の話も出ていますが、あくまでも急場しのぎでしかないので、根本的な解決はしていません。

こうなってくると、正社員で働いてるエンジニアは会社に守られる(解雇される可能性もあるので、完全ではないですが)ので、収入がいきなり0になるということは基本的にはありません。
ただ、SES/SIerエンジニアはフリーランスエンジニアと同じように、顧客との契約を切られるわけなので、収入はある程度補償されるものの、仕事はとりあげられてしまいます。いわゆる待機状態。

結果として、事業会社の正社員エンジニアを目指す人が増えていくと考えられるのではないでしょうか?
実際、僕の友人の事業会社で働いているエンジニアは、会社の業績には影響が出ているものの直接的に自分の仕事に影響は出ていないということでした。

業界の軸

次の業界の軸ですが、主に2つに分類することができると思います。
・サービス系/Web系の業界
・SIer系/業務系の業界

正社員で働いていた場合は、業界による影響の差異はあまり大きくないように思います。
ただ、フリーランスエンジニアの場合は違います。
新型コロナウイルスが流行してから、リモートワークに全国的に切り替わり、「サービス系/Web系の業界」は流行前からリモートワークを導入してる企業もあり、比較的スムーズにリモートワークへの対応も進んでました。
ただ、「SIer系/業務系の業界」は違います。
今まで「出社して当然でしょ」「リモートワークはコミュニケーションの問題が、、」という考えの企業がほとんどで、何か特別な理由がない限りはリモートワークを認めてる事例は数えるほどしかありませんでした。

それがここにきて、大きな差を生み出したのです。
もう大手SIerはリモート対応に追われ、新規の採用をしてるどころじゃない!という状態になったのです。
選考もサービス系の会社はオンラインで対応してましたが、SIer系の会社は、全くです。(一部、こんな状況下でも対面での選考をしている企業はありましたが笑)
結果、今まで契約がきれても容易に次の仕事が見つかっていた業務系のフリーランスエンジニアは、全く案件がない状況になり、1,2ヶ月間は収入が得られないような状況になるケースも今後増えてきそうです。

大手SIerも今回の件で、リモート対応が進むとは思いますが、エンジニアたちの心に不安を植え付けることになりそうです。
自分のいるべき場所は、本当にここでいいのか、と

以上を踏まえると、業務系 × フリーランス のエンジニアは、正社員でどこかに所属する。という選択をするエンジニアがここから増えてくるかもしれませんね。

スキルレイヤーの軸

最後にスキルレイヤーの軸です。
大きく、
・未経験エンジニア(0~1年経験者)
・ミドルレイヤーのエンジニア(1~3年経験者)
・ハイレイヤーエンジニア(3年以上+α)
 ※「+α」➮リーダー、専門技術等、希少性の高いスキル

この中で今回一番を影響を受けてるのは、間違いなくミドルレイヤーのエンジニア(1~3年経験者)のエンジニアですね。
未経験エンジニアは、新型コロナウイルス流行以前から、仕事を見つけるのが、なかなか難しい状態ではあったので、大きな変化はありませんが、
ミドルレイヤーのエンジニアは、人員削減の際にまっさきに対象になるからです。
なぜなら、「最もボリュームゾーン」かつ、「代替可能」だからです。
どういうことかというと、企業側は今回の件でまずコスト(特に人件費)を抑えるという決断をするわけですが、未経験エンジニアはそもそもそんなに人数がいないはず+コストも高くないので削減するインパクトが少ない。
かといってコストが高いハイレイヤーのエンジニアに抜けられては仕事が回らなくなる。とすると、結果は自明でミドルレイヤーのエンジニアが人件費削減の対象となるのです。

結果ミドルレイヤーの仕事は、同じミドルレイヤーのエンジニアに集約されるか、ハイレイヤーのエンジニアに巻き取られ(その分残ったエンジニアの負担は増加するのですが、、)、ミドルレイヤーのエンジニアがどんどん放出される構図となるわけです。

この影響は、「人件費の削減」が理由になるため、不況が続くであろう今後1年間は、ミドルレイヤーのエンジニアの流動性は高くなると思います。

企業側の採用活動のこれから

新型コロナウイルスの件で、企業側は固定費を少なくする思考(裏を返すと変動費)が働く可能性が高いと思います。
つまりは、契約社員やフリーランスで採用したいという企業が増えるのではないでしょうか?(ただし、ハイレイヤーエンジニアは正社員で採用したい)
特にSIerや、受託会社、SES企業など、顧客からの受注がストップすると人件費が一気に赤字になる分野の企業で色濃く現れるのではないかと思います。

全く契約社員やフリーランスのみにニーズが振り切る。ということはないと思いますが、「正社員:契約社員・フリーランス」の比率はより重視されることとなるのではないでしょうか?

エンジニアはどうすればいいのか?

それぞれの状況と、やりたいことにより細かく違ってくるとは思うのですが、
・現状維持を望むのであれば、正社員
新しいことへの挑戦・ステップアップを望むのであれば、契約社員・フリーランス
だと思います。

先に述べた通り、正社員であれば不況に見舞われたとしても、最後まで会社から守ってもらえるので、安心です。ただ、企業側の視点から言えば、正社員=固定費。採用するにあたってのハードルは上がるわけです。結果、現状のスキルを生かしてどの会社にいけるか、ということになります。

一方、契約社員やフリーランスは、企業側からしたら変動費。いざというときは契約を終了すればコスト削減ができる。とすると、採用のハードルは若干下がるので、新しいレイヤーや技術へのチャレンジも容易になります。(教育コストを考えると、半年契約とかちょうどいいのかも)

自分の状況と、企業側の状況とをうまく分析して、リスクとリターンのいいバランスを見つけることが重要ですね。

まあ、正直ハイレイヤーのエンジニアになってしまえば、どんな働き方でも仕事がないというリスクにさらされることがないので、そこまでの道のりを描いていくかですね。
ピンチはチャンス!こんなご時世だからこそつかめるチャンスを掴んで、ハイレイヤーエンジニアを目指していきましょう!

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