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コロナの影響で、エンジニアニーズはどう変化したのか【開発編/言語別/フリーランス向け】

こんばんは。
フリーランスのエンジニアさん向けに、エージェント業をしているROSCAの鈴木です。

少しずつ世の中もwithコロナが浸透してきて、システム開発案件も動き出してきました。ただ、当然今まで通りということはなく、状況は一変しました。
今回は、エンジニアさんから聞かれることも多い現在の案件動向について、プログラミング言語別にまとめてみました。
あくまでも私がエージェント業を営んでいる観測範囲での話ですが、情報網はそれなりに広くはっているので、大枠は捉えられていると思います。

さて、早速ですが現在の案件動向について、表で一覧化してみました。
これをひとつひとつ個人的な考察とともに、紐解いていこうと思います。

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まず、全体と通して言えることなのですが、「1~3年未満」の求人は市場で激減しています。これはスキルに関わらずなのですが、SIer・自社サービスを運営してる企業は、将来に向けてのシステム開発投資に対し消極的になっています。その中でも一番の投資とも言える若手の採用の優先順位は大きく下がっているのです。
1~3年未満のエンジニアの方は今の現場を継続することに努め、自己研鑽に集中した方が良いと言えるでしょう。


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今度はスキル別に見ていきましょう。まずはJava。
Javaについては今回のコロナウイルスの影響で最も打撃を受けた言語の一つで、スキルの習熟度に関わらず厳しい状況です。

特徴としては最もエンジニア人口の多い言語で、SIer。特に金融/ 保険・官公庁・航空系で使用されます。
そもそものエンジニア人口が多いのだから、影響が甚大なのは自明です。それに加えて、航空系の仕事の開発の一切が今回のコロナウイルスの影響でストップしたため、そこで働いていたエンジニアが他業界に一気に流れ込んでいるものと思われます。少しずつ案件の動きは出てきているものの、依然として競争率の激しい状況は続くでしょう。
また、SIerはリモート対応がWeb系企業に比べて難しい場合も多いため、外出制限がかかった時に直接的な影響も受けやすいという性格があります。

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次にPHPです。PHPは当初Javaに比べて影響は大きくないだろうと推測していたのですが、Javaと同じく案件数は大きく減っており厳しい状況です。ただ、PHPの中でも負荷周りに強いPHPエンジニアの方を募集しているような求人は大きく影響を受けていない。といった印象です。

PHPはSIer、受託会社、Web系企業等幅広く使われている言語なのですが、今回大きく影響を受けた飲食や旅行系のサービスでも多く使われていることから、その分のエンジニアが溢れ、需給のバランスが崩れたのではないでしょうか?
現在回復傾向にはありますが、依然として若手向けの案件はなかなか募集がかからない状況で、ベテランエンジニアの平均単価も約10万程度下がっています。今後これ以上に状況が厳しくなることはないとは思いますが、急激に案件数が回復する兆しも見えないため、特に若手のエンジニアさんは慎重に動くタイミングを図る必要があると思います。

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Rubyです。Rubyは5月以降から段々と苦しくなっており、今が最も厳しい状況と言えるのではないかと思います。3,4月あたりでは柔軟にリモート対応が行われていたため、Java等に比べてダメージは少なかったのですが(Javaはリモート対応に追われ新規募集がほぼ完全に止まりました。)、現在では急激に案件数が減っていてかなり厳しいといった流れです。

理由としては一つ。ベンチャー/スタートアップ企業が、採用に対し慎重になっているため。これにつきるでしょう。
Rubyは元々スタートアップ界隈で導入されることが多い言語のため、その影響を大きく受けています。
ベンチャー企業は資金体力がないため、景気の煽りを受けやすい傾向にあります。そこを考えると今後もV字回復はせずに、緩やかなものと考えられるでしょう。

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いわゆる.net系と言われるC#.netとVB.net。SIer系の言語なので、影響を大きく受けるのではないかと思えるのですが、意外にもJavaに比べて影響は小さいです。若手向けの案件は限られていますが、ベテラン層向けの案件は少なくなって入るものの十分に案件はあります。

その理由としては、この2つの言語が扱われる業種の性格によるものだと考えられます。よくこの2つの言語が使用されるケースとして、物流・医療・住宅等に関連するシステム開発があります。もちろんコロナウイルスの影響を受けていることは間違いありませんが、航空や飲食と比べてダメージは少ない。
また、全体の人口もJavaと比べて多くないというのもその一因かもしれません。

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React/Vue.jsです。Javascriptのフレームワークとして有名のこの2つの技術ですが、若手の案件は少なくなっているものの、ある程度経験している方の案件は十分にあります。

この2つの技術については、業種的な偏りはなく幅広い分野で使われています。またエンジニアの方であればご存知かとは思いますが、昨今のフロントエンドニーズの高まりは目覚ましく、現状だとこの2つの技術を使いこなしているエンジニアの人口はそれほど多くありません。
そのため、新型コロナウイルスの求人減少はしたものの、元々のニーズが非常に高かったため、需給のバランスが崩れずに済んだものと考えられます。

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Swift/Kotlinこの2つもReact/Vue.jsと同様、若手向けの案件は少なくなっているものの、経験者の案件は十分にあります。

理由もReact/Vue.jsと同様で、フロントエンドより全体の市場は小さいものの、元々人材<案件の特徴が他言語に比べて強かったため、今回の不況に対しての影響も小さかったものと思われます。(需給のバランスという意味で)

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Go言語については、元々案件の数、扱える技術者の数共に、そこまで多くないので、少ないケースの中での感覚ではありますが、2,3年経験があれば、案件は十分に獲得できます。

Go言語は元々並行処理が可能な言語のため、処理速度を求められる大規模なシステム開発に用いられやすいという特徴があります。
今回のコロナウイルスでGo言語が取り入れられやすい広告業界については、業界で広告費を抑える動きをとっているため、案件縮小の色が強くなっています。ただ一方で、動画配信系サービスや、Web会議システム等で在宅の娯楽サービスや、オンラインサービスが促進されているため、結果として案件母数は新型コロナウイルスが流行する前と変わっていないといった状況ではないかと思われます。
そのため、Go言語を扱えるといっても、処理速度を意識したサービスに携わっていない場合は、若干案件探しに苦戦する可能性はありそうです。

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最後にPythonです。PythonはWeb系の言語なので、あまり影響は少ないかと安直に考えていたのですが、そんなことはなく案件数は大きく減っています。3~4年Pythonで開発経験を積んでいるエンジニアも、今までであれば難なく案件を見つけられたと思うのですが、場合によっては1ヶ月以上見つからないケースも目にします。

Pythonの特徴としては言わずもがな、機械学習やビッグデータ分析の分野で多く用いられることです。これらは企業にとって直近の利益に直結するものではなく、将来に向けたマーケティングや研究開発を目的に用いられることが多いです。そのため企業が存続することに注力するべく、将来投資のシステム開発予算を削減したのです。
機械学習やビッグデータ分析の分野は、IT業界が発展していくために必要不可欠なため、中長期的に需要が回復していくことは間違いありませんが、IT業界全体に業績回復に見通しが立たない限りは厳しい状況が続くでしょう。


いかがでしたでしょうか?
なかなか現場で働いているだけだと、市場の案件動向に触れる機会はないと思いますので、「ほんとに!?」「自分の周りは全然そんなことない」という声もあるかと思います。
ただ、実際にエージェント市場では、今までお話したようなことが起きていて、今までの単価より15万以上単価を落とさないと案件を受注できないというケースも実際に出てきています。

今転職や、新たに案件探しを考えている方がいらっしゃれば、是非今回の話を参考に、今後のキャリア選択を考える機会にして頂けたらと思います。

以上です!長文となってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとう御座いました!
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