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ポールの頭の中を想像してみるの巻3


 1962年に発売されたザ・ビートルズのデビューシングル『ラヴ・ミー・ドゥ』。大ヒットをしたわけではない(英国チャートで17位)曲でしたが「自分たちの曲でデビュー出来て良かった。それがバンドのこだわりだったからね」とのちにポールが語ったように、彼らにとっては〈自作自演の曲〉であることこそが重要な選択でした。こだわっている音楽を曲で表現したい、その意識が最初から貫かれていたということです。そのこだわりが『ラヴ・ミー・ドゥ』〜そして解散近い時期にポールが書いた『ゲットバック 』にまで至っているのです。           

さて、ポールが作曲時に意識しているポイント5「メロディは7th(セブンス)に行け〜〜〜!」という話、「その7thってなに?さっさと教えろよ!バカヤロウ!」と、ビートたけし氏の師匠でもあるコメディアン深見千三郎氏の声が(NETFLIX経由で)聞こえてきますので簡単に書いてみます。まずはこの曲をちらりと聞いてみてください。

 https://youtu.be/D6RTrNLrrv4  『How Do You Do It?』The Beatles   

この曲は彼らのデビュー曲としてプロデューサーのジョージ・マーティンによって用意され、上記のように録音もされていました。録音までしたということは立場上決定権があるマーティンの意見を最初は聞いていたのでしょう。が、結果としてレノン/マッカートニー作の『ラヴ・ミー・ドゥ』をビートルズ側が押し通すことになったのです。デビュー時に用意されたこの2曲、どこが違うのか?どっちの曲でもいいじゃん!『ラヴ・ミー・ドゥ』が逆にちょっと暗い感じ!と。その(なんか微妙に暗〜いと明る〜い)の違いは何?そこがね、本題でもある、メロディに(7th)が使われているかどうかなんですね。さて、ここから音楽の話を少し書いてみます。

【ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド】はい!音の高さを表すドからドまで、音はいくつありますか?!って、8つですね、数えてみてくださいませ。で、最初のドと最後のドは同じ音で1段階上の同音になります。鍵盤楽器があると伝えやすいのですが(お手元にある人は是非)。ドから上のド、そこからまた7音上に登ればまた上のド。7段上がると8段目で同じ方向の景色が見える螺旋階段、そんな階段を登っていると思ってくださいませ。       

で、ドから上のド、もしくは下にも続くドの間隔を『オクターブ』と呼ぶことになってます。誰が言い始めたの?って、それはあれ『メートル』って誰が決めたの?と同じ話ですので「どこかのオクターブさんが決めたんでしょう(本当はちがいますよ!)」としておいて(そういうことを調べるのも面白いんですけどね)くださいませ、先に進めます。                        これから書く数字【7thセブンス】とか【9thナインス】とかは最初に立っている階段のド、そこから上に登る階段数だと思ってくださいませ。で、ここが不思議なんですが、この音楽用語は上に登る数値を表しています。当然、下にも階段は続いているのですが、「はい!7thの音〜!」と言われたら、ドから上に7音目の音、つまり【シ】になります。指で「ドレ、ミ〜〜」と数えたらあるね!そこに【シ】が!。音の高さを呼ぶときには上方向、鍵盤ですと左から右方向への流れを前提にしてます。「マンションの7階に住んでるんだよね」って友達の家に行ったら地下7階だったってことは滅多にないと同じ?ではないですが、音楽は下から上に音を数えていくことになっております。ピアノを弾いたりするときには下に重ねることもありますが、まあ、「話がややこしくなるので上に数える!」って決めちゃってください、ね!(うわあ、音楽を説明するのって難しいなと思い始めてる)で、ここでちょっとビートルズ以外の曲を貼り付けって、と。ありがとう!youtube!                

https://youtu.be/GhiUcokR728 『ドレミの歌』/平原綾香 

もう必殺ですよ!この曲でドレミを教えるって!でもね、この曲で歌詞の通りに鍵盤を弾くと分かりやすいことがあるんですよ。「なんかな、ビートルズの作曲の秘密を知りたいのに、ジュリー・アンドリュース?は?」みたいなさ、文句も言いたくなりますよね、でもね、歌のなかに「シはしあわせよ〜」があるでしょ?先に書いたドから数えて7つ上の音(シはあの世の死〜と歌っていた過去を思い出しますが)。

シ!シ!シ!!

大切だから三回書いてみましたが、ここをちょっといじってみるんですよ。みなさんこの曲を鍵盤で弾いているときに白鍵、エボニー&アイボリーのアイボリー、トランプ元大統領みたいな白だけで弾いてるでしょ?当然ですよね、分かりやすい、白鍵だけの世界はシンプル。が!ここであえて!やってみる!「ドーはドーナツのド〜、レはレモンのレ〜!」の最後に出てくる(しあわせの【シ】)だけを、左隣にある黒い鍵に変えてみてくださいよ、おねがいします!。この黒い鍵盤はシのフラット“英語表記だとB♭(フラット)”と言いまして、これも【シ】の一種なんですよ!すごいでしょ?!。で、白鍵シ音だけを黒鍵のシにして弾いてみるとどうきこえますか? なんだか曲がめちゃくちゃになる、と感じませんか?というか、曲として成立しなくなる。つまり『ドレミの歌』は黒鍵のシを使わない世界観で出来ている楽曲なんです。

黒鍵ってなんか、触りたくないすよね『ねこふんじゃった』だけで十分す!って感じの黒鍵ワールド、ここも【シの世界】なのに。なんというかなあ、シが♭しているメロディは異世界への入り口みたいというか(自分などは黒鍵を混ぜるメロディ界は魔法の世界!ハリポッター!(見てないけど))と今でも本気で思ってます。                      シを黒鍵に変えて弾いてみた『ドレミの歌』、どう?弾いた?弾けよ!この野郎!と深見千三郎師匠に言われてみても「これ?曲になってな〜い〜、すご〜い変!!知らな〜い、ビートたけしとか興味ないし〜」になってませんか?なってるよ!と感じるのも自由ですが、ここは「なんか、絶対おかしいって!」聞こえているはずと仮定して進めますが、ね、つまり『ドレミの歌』という曲は真っ白の白鍵だけで出来ているんです(厳密に書くとそうではないのですが)。黒鍵は「別の場所に住んでくださいね、よろしく!」みたいな(ポリティカル方面の比喩禁止!)というよりも、黒鍵を使った曲にあえてせずに子どもたちに音楽を教えやすくした曲が『ドレミの歌』なんですね。なんか、こう、正しい、明るい、曲!でしょ。ね、それで全然いいんです、この曲はそのための曲なので。(余談としてですがシを♭させるというか、短調で『ドレミの歌』を編曲してみたら面白そうですね。)                

ここでまた『ラヴ・ミー・ドゥ』に戻ります。『ドレミの歌』と同じ調(ハ長調keyC)で『ラヴ・ミー・ドゥ』を弾けばわかるのですが、曲のど頭、ジョン・レノンが吹いているハーモニカのフレーズ、最初の音がその恐ろしい【黒鍵のシ】の音世界なんですよ。曲に現れる最初の音(note)が、あの黒魔術の世界への入り口でもある“半音下がったシ”の世界なんて、(原曲はkey Gですので数えた7番目の音F♯の半音下のF)。デビュー曲のど頭の音が7th!!いや、それだから、この曲をビートルズは選んだんです。逆にシを下げずに『ラヴ・ミー・ドゥ』を弾いてみる、あれ、もうあの曲にならない!不思議!

ここが『ラヴ・ミー・ドゥ』の微妙な暗さの理由、いい意味の黒さ、ブルージーな感じは、【半音下がったシを使っている】からなんですよ。『ラヴ・ミー・ドゥ』は『ドレミの歌』では出てこない、世界観によってメロディが出来ているんです。つまりその【半音下がったシ】を使っているメロディであること、が彼らにとっては重要な選択だったんですね。

ジョージ・マーティンに提案された曲、『How Do You Do It?』はどうだったのか?この曲にはその【シ】が出てこない。だからこそ、そのメロディがデビュー時のビートルズたちにとっては「なんだか?」という感情になっていたのですよ。音楽って面白い!!ね!『ドレミの歌』と『ラヴ・ミー・ドゥ』を比較してみただけでこんな秘密が見つかるなんて!万歳〜!(景気良く終わらそうとしている)。             

そして、やっと話は『ゲットバック』、メロディを作っているポールの脳内に戻ります!!!続きはまた、明日か明後日に!

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