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聖女聖女した聖女をお求めの皆さんが渾身の力を振り絞って呼び出したのは聖女のかけらもないただの聖女しらずの恥知らずでしたって話、聞いてく…?


「おお!!聖女よ!!お待ちしておりました!」

ちょーご機嫌なあたしの目の前に、ちょーロングひげのつるっぱげのじいちゃん。

なにこのゴージャスな椅子。
あたしゃ場末の居酒屋のガタつくビールケースの上に座ってたはずなんだけどー?くたびれたおっさんの横に並んでたはずなんだけどー?

目の前にはイケメンがずらりと並んで、左の方から、イケメン、イケメン、枯れ専、ブサ、普通にデブに…。

「おお!!聖女の眼差しをいただいたぞ!!」
「奇跡だ!!怪我が治ってゆく!!」
「わ、若返った!!!」
「こ、声が出るように!!!」

「「「聖女!!聖女!!」」」

ここはどこ、あたしは誰、誰でしょね♪

ぎゃはは!オッスオラ酒飲み!

おかしーな、テーブルの上にわんさか並んでた酒が一本もねーぞ!
つまみもどこ行ったー!!!…ちょ!!あたしの砂肝返さんかい!!!
どこ行ったーあたしの愛しの美味いもん!!
ギュふふ、さがしにいくか!

「おお、聖女よ、どうされました!!!」

立ち上がったあたしを、イケメンがわらわらと寄ってきて、一斉に抱え

「こ?!このにおいは!まさか!聖女殿は、酒を摂取しているのか!」

ずべたんっ!!!!

あたしは誰にも支えられることなく、勢いよく木の床にね、ぐへへ!
む、ちゅーってね!!あちゅーいキッスをお見舞いしたのらー!!!

「聖女にあるまじき行為でございますぞ!」

何言ってんのこのじじい。
にらむか、でも世界がぐるぐる回ってるから、でーきーナーい♪

「おい!!誰か酩酊解除を!!」
「ダメです、魔法がはじかれて!!!」

なーんかよくわかんねーこと言ってんなー!
まーいいわ!眠くなってきたから寝る―!

「ちょ…!こんな所で?!」
「いびきかいて、ケツボリボリ…?!」
「これが聖女…?!」

いやー、冷たい床、きんもちいー!!!


「…頭いてぇ。」

私が目を覚ますと、厳格な老人が近づいてきた……。

「お目覚めですかな!」
「もうちょっと…小さな声で…。」

私は聖女としてこの世界に召喚されたらしい。
なんでも、酔っ払ってるときに……奇跡の力が、放出されるとか、なんとか……。

「聖女殿は…コホン!この世界にはふさわしくないと判断されまして!お帰り願います!」

「はあ。」

帰る為には、私の魔力を使わなきゃいけないらしい。

迎え酒ェ…。

「では、こちらのお酒を。」

「げえ!これマッコリじゃん!私、飲めない…!」

この世界のお酒が飲めない私が。

いつまでたっても、元の世界に帰れなくなってるって話、詳しく、聞く…?

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