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【たから語り】ヨーデルの森 〈開放感最高やん!〉

神戸学院大学現代社会学部の岡崎ゼミは、3つのチームに分かれて「たからうたプロジェクト」に取り組んでいる。私たち2年生のチーム「Blue Spring」は神﨑農村公園 ヨーデルの森(神河町猪篠)を取材した。

ここは、アルパカやカビパラなど60種、約200頭羽の動物達と間近にふれあえる農村公園である。四季折々の花に囲まれ、アトラクションも充実し、バーベキューを楽しむこともできる。私たちは、ドックショーを担当する藤井舞さん(株式会社アニマルエスコートサービス)と支配人の細岡友行さん(株式会社クラウデイト)にインタビューをおこなった。

みんな友達

まず藤井さんにドッグショーに対する考え方を尋ねた。

「犬は特に身近な存在です。犬が嫌いな人、子どもでまだ怖い子もいます。そんな方たちに説明口調で話すと受け入れてもらえないので、ショーで実際に犬の姿を見て好きになってもらうように工夫しています」

動物を身近に感じて好きになることができる。それはヨーデルの森が他と違う強みだと藤井さんは語る。
 
「ケージの中で飼われている鳥をみるだけでなく、実際に飛んでいる姿を見ると実際のスピードを感じることができます。犬の場合は、街中でよく見かける光景だけでなく、仕事をしているところや、身体能力を活かしてジャンプやフリスビーをしているところを見ると、動物の持つ能力を理解してもらえます。これが大きな強みだと思います」。
 
自然を最大に利用して動物本来の動きをショーで見せるヨーデルの森。お客様に生き物の動きを見せられるのは、飼育方法や環境にポイントがあるようだ。
 
「どんな優しい動物でも、歯が鋭いこともあり、ぶつかると危険です。だから、なによりも安全第一に見て触れてもらえるように努力しています。動物が最初から人間を好きだというわけではないので、『ここが安全である』ということ、『人間と動物は互いに発見がある存在、気づきがいのある同士なのだ』ということを教えようとしています」。

 こうした飼育環境がつくれるのも神河の特長である。

「水を扱う動物たちは神河の綺麗な水を飲みます、都会では人工的に屋根裏を作る必要がありますが、ここでは、大きな木が木陰になり、休むところにもなります。雨にうたれるのが好きな子もいて、この神河の環境を楽しんでいるのでないかと思います。」 来場者には、ヨーデルの森で楽しい時間を過ごしながらも、動物たちの現状をもっと知ってほしいと藤井さんは語る。 「ここで動物を好きになってもらって、動物のことをもっと知りたい気持ちになって、でも、環境問題は簡単には解決しないことも分かってもらえると嬉しいです。ヨーデルの森をただのレジャー施設で終わらしたくはないのです」。 動物から環境のことまでしっかりと考えている藤井さん。この仕事にやりがいを感じる瞬間について質問した。 「何気なくショーを見た子どもが飼育員をめざしたいと思うほど動物を好きになったと聞いた時、動物をただ可愛いと思うだけでなく、夏休みの自由研究で学びたくなったと聞いた時など、お客様を動物の世界の入口までご案内できたと感じた時です」。 最後に藤井さんにとって「たからもの」は何かと尋ねた。 「そうですね、スタッフ、お客様、動物そしてすべての施設、すべてがたからものです。動物が苦手な子は、花や遊具でヨーデルの森を好きになってもらえれば嬉しいですし、動物を好きな子は私と一緒に楽しめればいいと思います」すべてが「たからもの」と語る藤井さん。ヨーデルの森を愛する思いが、神河を盛り上げていくのだろう。

ヨーデルの森が担う神河のこれから

ヨーデルの森は動物と間近で触れ合えるのみならず、環境保護にも多大な貢献を果たしている。

具体的な取り組みとその先の展望を、ヨーデルの森支配人の細岡友行さんに伺った。

ヨーデルの森には畑があり、そこで採れた野菜を園内のレストランなどに使っている。確かに、他の畑や市場から仕入れるより経済的だが、それだけでは循環型農業とは呼べない。どうしても余りが出てしまうからだ。
ならば、ヨーデルの森ではその余りをどう処理しているのだろうか。

「動物に食べてもらいます」

そう、人間が食べなかった分の野菜を、ヨーデルの森では飼料として動物に与えているのだ。そして動物はフンをし、そのフンを堆肥として使用することで新たな野菜が収穫できる。このサイクルこそが循環型農業であり、ヨーデルの森が誇る環境保全の取り組みである。

ヨーデルの森は自然公園としてだけでなく、観光地としての顔も持つ。

「せっかく神河町にヨーデルの森があるのだから、いろんな人にヨーデルの森のことを知っていただいて、それが神河町を知るきっかけになればいい。それが観光業としての責任」と細岡さんは語る。

観光業としての責任という言葉から、細岡さんの強い決意が伝わってくる。細岡さんの言葉通り、ヨーデルの森ともども神河町が盛り上がることを願う。

最後に、細岡さんにとっての「たからもの」について質問した。

「ヨーデルの森自体もそうなんですけど、その中でもやっぱり人と人との繋がりですね」と細岡さんは話す。

ヨーデルの森は地元の人々の働き口であり、また観光客や地元民同士の交流の場としても機能している。そうした繋がりこそが「たからもの」であると、細岡さんは言う。

支配人、そして神河町で暮らす人としての愛情深い答えだと思った。
(Blue Spring:糟谷優杜)


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