神様からの招待状
旭岳
別名カムイミンタラ
アイヌの人たちによれば「神々の遊ぶ庭」
前回も書いた映画『莉の対』の出演が決まった時、台本を読んでこの名前と意味を知って、なんて美しいんだろうと思ったのを覚えてる。まだ6月ぐらいだったかな。
その庭に、ついにお邪魔する時がやってきた。
当日教えてもらったけれど、1月はほぼ晴れ間はなし。
何回登ってもお天気に恵まれないこともあるそうで。
それが撮影の日は、地元の人も驚く超快晴。
自称晴れ男・晴れ女はいなかったから(私調べ)、みんなの気が集まって最強運気に進化したんだと思うと、なんて素晴らしい座組みなんでしょう。
とはいえ、快晴でもマイナス10数度に変わりはなくて、標高2291m、とにかく足を前に出す、ストックを突く、息を吐く、でエネルギーの120%を使っていて
だけどそれを意識しすぎてだんだん何をしているのかわからなくなって
息をしよう、と思うとそれまで無意識にできていたことが急に難しくなるやつ。
登ること3時間
雲の上
飛行機からは何度も見ているけど、そこに立って、全てが見える、というはじめての経験。
「神々の遊ぶ庭」
本当にそこは私たちが普段生活している所とは別の世界で、天国なのかどこなのか、少し現世からは距離がある場所のようだった。
私が1番好きな色、青。
その青が何種類もあって、どこを見ても美しくて、その場にいるのに映画でも見ているような、現実離れした景色。
そして時々、本当に何のきっかけか生まれる、自分の呼吸と雪を踏みしめる音だけがこの世界で唯一の音になる瞬間。
雲の上の世界、たくさんの青、ダイヤモンドダスト、サンピラー、画には映らないけど山中に広がる硫黄の匂い
私は今後、世の中にきちんと感動できるかな。
不安になってしまうくらい奇跡の数々を見せてもらった。
でも
ずっと見ていたいけど、早く帰らないとなんだか怖い気もする雲の上。
無事に雲が上に見えた時は、少しだけホッとした。
たぶん、私たちがずっと居て良い場所ではない。
そう思った。
各々が危険と隣り合わせの中、雪山登山の経験もないのに「スタントは嫌だ!登りたい!」と主張する私を登らせてくれた監督
登るための綿密な準備やケアをしてくれたスタッフの方々
終始楽しくそして万全のサポートをしてくださったガイドの大塚さん、鳥羽さん、松野さん
全ての人に、ありがとうの気持ちでいっぱいで、みんながいたから、絶対1人ではできない、やろうと思うことすらできなかったことを経験させてもらった。
自然はすごい。
すごいねって感動を共有できる仲間がいて幸せだった。
Happiness only real when shared.
イントゥザワイルドに一歩近づいた。
いつかアラスカ。