【ブローチ外交官に捧ぐ2】

それでは今晩もはじめましょう。

今回は以前紹介した、アメリカの故オルブライト元国務長官の著書「ファシズム 警告の書」(白川貴子・高取芳彦訳 みすず書房)を読了しましたので、その内容についてお話をしていきます。



当初この書籍は、ヒラリー=クリントン元国務長官が2015年の大統領選挙で勝利をし、その後押しをするために思い立ったもの(P259)ということでした。

しかし、ドナルド=トランプ氏が当選したため、出版を急いだとのこと。やはり、トランプ大統領の登場は驚きだったようです。




オルブライト氏が民主主義にこだわるのは、幼いころにナチス・ドイツに故郷であるチェコスロバキアを追われてイギリスに渡ったこと、戦後、故郷に戻ったものの、今度は共産主義の脅威が迫る中でアメリカに亡命した体験に基づいています。


ナチスにしろ共産主義にしろ、最初は国民の身近な問題(物価高騰や失業など)の解決に努め、国民の支持を集める、その後、一気に権力を掌握する、というプロセスを踏みます。

ただ、ナチスは自分たち以外の党派にも比較的寛容(一応、存在は認める)なのに対し、共産主義は一切認めない、というスタンスであることを今回はじめて知りました。

たしかにそう、だと思います。


著者の定義としてファシストとは、国や民族、集団全体の代弁者を自称し、他者の権利をまったく気にかけず、目標達成のため手段を選ばず、必要なら暴力でも何でもすすんで使う者(P252)、としています。身近にいたらかなりやっかいかもしれません。

隣人(隣国)をいがみ合わせ、その漁夫の利を得る形で目標を達成させるのがファシストなのかと。

また、ビル=クリントン元大統領の言として、大衆は先が見通せなくなると、正しく弱い指導者よりも強く間違った指導者を選ぶ(P248)、という一文がありました。う~んと考えさせられる内容です。

道筋がはっきりとしないため、逡巡する(決して迷っているわけではなく、いい意味で熟考しているイメージ)ように見える前者よりも後者のほうが、自分たちを正しく導いてくれる、と信じ込んでしまうのかもしれません。弱みに付け込んでくる悪徳業者のように気を付ける存在といえます。あまりにも自信ありげだと、逆に注意が必要、みたいな感じでしょうか。

悪徳業者:絶対もうかります。信じてください。

 私  :そんなわけないでしょ。

みたいなイメージが浮かびました。




国際政治、特に海外の政治家の書籍については以前から興味があり、よく読んでいました。

ただ、この1、2年ほどは仕事関係の書籍を読むことが多く、少し離れていました。

今回久しぶりに読んだことで、歴史に学ぶ大切さみたいなものを改めて実感しました。仕事関係の書籍の合間にこういう機会をつくらなければ、と思います。


今回は以上となります。

それではまた!





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