政府支出が先で、税収が後
政府支出が先で、税収が後
① 政府支出が先で、税収が後に来る理由
一般的には「税収を財源として支出が行われる」と考えられていますが、実際にはその逆です。
政府は、まず支出を行い、後から税収を得るプロセスで貨幣が循環します。
中央銀行が信用創造を通じて無から貨幣を生み出し、政府がそれを支出することで、経済に貨幣が供給される仕組みです。
② 税収と政府債務の返済の役割
税収は貨幣の「回収」手段:
税は政府の支出を支える財源ではなく、供給された貨幣を民間経済から回収する手段。
税収によって得られた貨幣は、政府が中央銀行に債務返済を行う際に使用され、結果として貨幣は消滅します。
財政健全化の実態:
増税や政府債務の返済を進める「財政健全化」は、民間経済から貨幣を引き抜き、消滅させる行為。
これはデフレ圧力を強め、経済活動を抑制する結果を招きます。
③ すべての債務が返済されると貨幣は消える
債務返済=貨幣の消滅です。
もし、すべての企業と政府が債務を完済すると、経済から貨幣が完全に消滅し、経済活動が停止します。
貨幣の循環を維持するには、債務を抱えた主体が常に存在することが不可欠です。
④ デフレ期の問題
デフレは貨幣不足を引き起こす:
デフレになると、民間企業は投資を控え、債務返済に走るため、貨幣が消滅していきます。
貨幣不足がさらに需要不足を招き、デフレが悪化する悪循環が生じます。
政府の役割:
デフレ時に財政健全化(支出削減や債務返済)を進めると、貨幣の消滅が加速します。
結果として、経済が崩壊に向かうリスクが高まります。
⑤ 財政赤字と政府債務の再評価
財政赤字や政府債務は、経済に貨幣を供給する重要な役割を果たします。
特にデフレ期には、政府が赤字財政を通じて積極的に貨幣供給を増やし、需要を刺激する必要があります。
⑥ 政策の指針
政府支出の拡大:
財政赤字を拡大し、経済への貨幣供給を増加させる。
インフレ目標の設定:
インフレ圧力を適度に発生させ、貨幣循環を活発化させる。
増税を控える:
増税は貨幣の回収と消滅を意味するため、デフレ期には適切でない。
結論
政府支出が先行し、税収が後に続く仕組みは、貨幣循環の基本です。財政赤字や政府債務を減らすことが必ずしも良いわけではなく、むしろ経済を活性化させるために政府支出を増やし、貨幣供給を拡大する政策が必要です。特にデフレ期においては、財政健全化を優先するのではなく、積極的な財政政策が求められます。