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仮説の手前 21

費用・時間・クオリティ、どれも俺らの仕事において大事にすべきことだけど、一番重要なのはなんだ?」

広告代理店にいた頃、度々上司から問われていたことです。

それこそ社会人1年目から辞める時まで(6年目で辞めたのかな)、ことあるごとにずっと口酸っぱく問われていました。

「ことあるごと」とはつまり、クレームが発生した時のことで、そういう時に上司にお願いして、一緒にお客様に頭を下げに行ってもらうことになるわけです。で、その訪問の帰り道とか、電車の中とか、立ち寄ったカフェの中とか、そんな場所でいつものように説教されるんですけど(今考えるとありがたいことだったな)、その時に口酸っぱく言われていたのが冒頭の問いです。

「費用」とは、「適正」である、という意味合いでした。安すぎる、高すぎる、ではなく、納得しうる費用感を見極めること、そして(当たり前ですが)儲けられる費用感を把握することを言っていたように思います。

「時間」とは、「早い」ことと「守る」ことを意味します。お客様が不快にならないスピード感を保ち「続ける」コミュニケーション、そして納期を必ず守るということです。その上司はすべての仕事に「納期」を掲げる人でした。お客様との雑談で「いいメニューが出たら案内しますね」みたいな会話でも、明確に納期を設けないで帰ってくるとものすごく怒られたものです。

「クオリティ」は、文字通り品質ですね。これにも「適正な」という言葉が頭につきました。自身が掲げる「いいもの」を信じるな、ということも言っていたように思います。要は高い・低いではなく、お客様が求めているものを出す、そして期待以上のものを出す、というニュアンスでした。

「広告代理店」という響きから、無邪気に「クリエイティブ」な仕事だと思っていた新卒当時は、その問いに「やはりクオリティなのではないでしょうか?」と言ったものですが、上司は「それはむしろ一番後ろだな」とニヤリと答えました(こう答えてくると思ったんでしょうね)。

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確たる根拠はないけれど「そうかもしれない」と思うことは、日々の生活や仕事の中で結構あると思うんです。普段は通り過ぎてしまうそういう感覚が後々顔を出してはヒントを与えてくれることも。正解やノウハウばかりが並ぶSNSでは発言することに気が引けてしまう「なんとなく」を月に2回を目処に書き残していきます。読んだ方々にとって、日常の「小さな兆し」に気づくきっかけになれれば。

仮説の手前

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