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新車が買えない時代。中古車市場がじわじわと盛り上がる #184

木下さんと橋本さんのVoicy対談の中で、トヨタの新車が買えなくなっている話が出ていました。

最近では、トヨタのディーラーに勤める友人からも、アルファードは全然買えない、納車1年待ちもザラにあると聞いていました。

車が容易には買えないようになると中古車市場が中期的には盛り上がっていくのだと思います。

3年前に中古ミニバンを購入して考えたことと、保証サービスの可能性、最近の企業の新規参入から考えられること、こうしたトレンドを踏まえて、気になる企業についてまとめたいと思います。


新車が買えない時代

アルファードが買えない・・・

生産コストが高くなり、半導体不足の影響などもあり、なかなか容易には新車を買えなくなっています。アルファードなどの人気車種は価格も寝あがっておりますが、何よりも需要に生産が追いつかず、6か月〜1年間納車待ちという状況が続いています。

トヨタ主力車で受注制限 アルファードなど10車種 需要、生産能力超す

トヨタ自動車の国内販売店で主要車種の半数が注文できない異例の事態となっている。主要販売店に聞き取り調査をしたところ、ミニバン「アルファード」や「アクア」など20車種のうち約10車種で受注制限を11月中旬時点で実施している。足元では受注制限は緩和しつつあるが、新型コロナウイルス禍の供給制約で生産できなかった積み残し分が影響している。

2023/12/12 日本経済新聞

長期的には、自動運転、ライドシェアがより普及してく流れが強まると思いますが、社会全体に普及するまでの期間は、中古車市場がじわじわと盛り上がっていくのだと思います。

中古車ビジネスはとても大きな市場で、昨年はビッグモーターの不正問題で厳しい目が注がれております。しかし、何事もこうした谷底が変わる契機ですので、投資家としてもチャンスが多くあります。

さらに、若い人を中心に新車である必要はないという価値観も広がっているため、成熟した中古車市場はゆるやかに維持されていくのだと思います。

中古車市場の魅力は価格と時間の価値にある

私自身、3年前に双子の誕生に伴い、中古のセレナを購入しました。
10年経過する車両でしたが、メンテナンスをしながら乗ることで、全く問題なく乗れています。今では双子育児に欠かせないパートナーになっています。

この経験から、中古車購入には、新車に比べて価格が安いという最大のメリットがあることに加えて、何よりも納期が短く、すぐに乗れるという時間的な価値が大きいと感じました。

「時間」はもっとも希少な資源です。車両が必要になったときに、すぐに使えるというのが本来の使用価値としては望ましいため、早く納車されるというのは大きな価値をもっています。

さらに、オプション備品の整備なども不要であるため、購入、最終検査を踏まえて、即納車、即利用ができ、生活の課題解決には便利です。

子供が生まれるから1年後の納車の車を待とうというのはなかなか現実的にはしんどいなと思います。こういうユーザーは中古車市場に流れていきます。

この体験から、中古車市場というのは時間を短縮して、すぐに使えるようにできることが最大の価値なのだと理解できました。

中小零細企業が点在する非効率なマーケット

自動車産業は裾野が広い産業であるため、中小零細企業が全国に点在している非効率な市場という特徴を持っています。そのため、ビッグモーターレベルの経営でも、市場シェアを高めて5000億円程度の事業を創ることができたのだと思います。

また、規制産業でもあるため、2年に1回発生する車検需要をテコにして、メンテナンスによるストックビジネスの側面も持っています。さらに、自動車の任意保険、車両購入時のファイナンスローンなど、個人消費としては初期費用で100万円以上、メンテナンスでも年間40万円程度のお金が動くビジネスになっています。

とても美味しいところがある事業ですので、消費者向け事業を強化している伊藤忠商事が買収に動くのも理解できます。

中古車自動車市場の再編

伊藤忠商事がビッグモーターを買収した背景

伊藤忠商事がビッグモーターを買収したのも当然ながら、中長期で中古車市場に旨味があると思っている証左です。

伊藤忠商事は他の財閥系商社よりも、リテールに力を入れています。自動車事業についても、ヤナセ、東京センチュリー経由でニッポンレンタカーに投資しており、保険の窓口などリテールのファイナンス事業領域にも投資しています。

伊藤忠、ビッグモーター買収へ 創業家関与させず
伊藤忠はグループで自動車関連事業を幅広く手掛けている。持ち分法適用会社の東京センチュリーはニッポンレンタカーサービスを傘下に持つ。高級輸入車・中古車販売大手のヤナセのほか、保険ショップ大手のほけんの窓口グループも抱えている。
伊藤忠の岡藤正広会長最高経営責任者(CEO)は原則ビッグモーターの社員の雇用を維持する方針を示している。消費者ビジネスで培ったノウハウで社員教育を行うほか、伊藤忠グループの事業を活用して立て直す。

2024/02/22 日本経済新聞 朝刊 1ページ

さらに、カー用品大手のオートバックスも中古車販売事業に本格参入していくことを発表しました。

オートバックス、中古車販売の新型店100カ所 独自保証で競争力

自動車用品大手のオートバックスセブンは4月、新たな中古車売買事業を立ち上げる。中古車の買い取りや販売を手がける新型店を始め、2030年までに100カ所体制にする。中古車業界ではビッグモーター(東京都多摩市)やネクステージなどで不正が相次いだ。独自保証を付けるなどして信用力を訴え、消費者を取り込む。

リクルートの調査によると23年の中古車の推計市場規模は3兆9062億円と22年比で10%拡大。多目的スポーツ車(SUV)といった高級車が人気で購入単価が上昇したことなどが影響した。

 価格は足元も高止まりしている。中古車競売大手のユー・エス・エス(USS)がまとめた1月の中古車の平均落札価格は前年同月比で6%高の108万円だった。平均落札価格は中古車の買い取り業者や販売店がオークションで中古車を売買する際の価格で、需給を反映しやすい。

 大手の中古車販売店チェーンは、ビッグモーターが約250店、ネクステージが約200店を展開する。オートバックスセブンは中古車市場の拡大は続くとみており販売店100店を展開すれば競争力を発揮して収益を確保できると判断した。

2024/03/05 日本経済新聞

小規模分散型の自動車整備が集約されていく

小規模分散型の中古車販売、自動車整備事業ですが、経営者の高齢化などを背景に廃業、大手への集約化が進んでいくことが予測されます。

さらに、構造的に保障サービスを付帯できるには一定の企業ブランドと資金力も必要になるため、「規模の経済」を働かせやすい領域になります。

伊藤忠商事やオートバックスなどの参入を通して、市場の統廃合が進むことに加えて、関連するニッチな領域でも企業成長への追い風が吹くことになりそうです。

関連企業として注目したい会社

ユー・エス・エス

中古車市場が活性化すると、当然ながらオークション市場が盛り上がります。約定価格の上昇は決済手数料を押し上げる要素でもあるため、オートオークションプラットフォームを提供している事業が成長していく傾向にあります。

この観点から、業者オークションを開催しているユー・エス・エスの事業は今後も要注目だと思います。

プレミアグループ

さらに、個人として中古車をメンテナンスしながら乗り続けていくためには、優れた保証サービスと購入のための好条件でのカーローンの活用が不可欠です。

現金購入比率が高い状況が続いておりますが、ファイナンス知識がついた若い世代にとっては、手元の現預金ではなく、ローン利用ニーズが強いため、長期の資金繰りを踏まえたカーローンの有効活用にシフトしていくことが考えられます。

また、整備保証を安定して受けられるサービスも必要性が高いため、整備工場を統合するプレミアグループ の戦略はじわじわと効いてくると思います。

KeePer技研

さらに、自動車をきれいに保ちながら乗り続けるニーズとしては、KeePer技研の魅力も引き続き根強いと思います。

個人としては、中古車をメンテナンスしながら丁寧に乗っていくことに尽きるのかなと思います。我が家の愛車も14万キロを超えましたが、まだまだ元気ですので、丁寧にメンテナンスして乗り続けたいと思います。

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