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【論文レビュー】エンプロイヤビリティ・スキルとキャリア・アダプタビリティの関係性:de Guzman & Choi(2013)

エンプロイヤビリティ研究では、エンプロイヤビリティについて内的・外的な観点での認識を見る認識されたエンプロイヤビリティ(Perceived Employability)という概念がよく用いられます。本研究ではスキルに着目したエンプロイヤビリティ・スキル(Employability Skill)を用いてキャリア・アダプタビリティとの関係性を見ることを目的として量的調査を行い、結論からいえば両者に有意な相関関係があることを明らかにしています。

de Guzman, A. B., & Choi, K. O. (2013). The relations of employability skills to career adaptability among technical school students. Journal of Vocational Behavior, 82(3), 199-207.

両者の相関関係

キャリア・アダプタビリティ関心(concern)、統制(control)、好奇心(curiosity)、自信(confidence)の四つの次元で構成されます。これまでも何度も書いているのでここでは端折りますが、ざっくりとまとめたnoteを貼っておきますのでご関心のある方はご笑覧ください。

キャリア・アダプタビリティと同様に、エンプロイヤビリティ・スキルも三つの次元で構成されます。具体的には、コミュニケーション・スキル、問題解決スキル、チームワーク・スキルの三つです。両概念の合計と、下位次元との相関については以下の通りとなります。

p.204

いずれも正の相関関係が明らかになっていることがよくわかります。合計同士(項目5と項目8)の相関係数は.59でありやや高い正の相関となっています。両者の関係性としては、高すぎる相関が出るわけでもなく適当なレベルの相関があることが本研究では明らかになっています。

CAASの確認的因子分析の結果

ちょっとマニアックなことを書きますが、本論文ではキャリア・アダプタビリティ尺度(CAAS)を確認的因子分析で検証しています。

p.203

二次因子(Adaptability)から、一次因子(Concern、Control、Curiosity、Confidence)への負荷量を見ていくと、Concernとの値は中程度になるものの、それ以外の三つの一次因子とは.85以上という高い数値になっています。他の先行研究でも同様なのでこうした傾向は全般的なものなのでしょう。

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