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【論文レビュー】リアリティ・ショックが若手社員に影響を与えるものとは?:尾形 (2012)

私たちは新たな組織に参画すると、事前に抱いていた期待と直面する現実との間に差を感じるものです。これをリアリティ・ショックと言い、本論文では、ホワイトカラーと看護師の若年労働者が感じるリアリティ・ショックの違いと、その結果として何に影響するのかについて明らかにしています。

尾形真実哉. (2012). リアリティ・ショックが若年就業者の組織適応に与える影響の実証研究── 若年ホワイトカラーと若年看護師の比較分析──. 組織科学, 45(3), 49-66.


リアリティ・ショックを複数次元で捉える

リアリティ・ショックを単一次元で捉えるか複数次元で捉えるかは諸説あるようですが、尾形先生は本論文において複数次元で捉えていることがわかります。その上で、若年ホワイトカラーと若年看護師とでは異なる構成だということを検証しています。

ホワイトカラーと看護師での違い

両者で確認的因子分析を行い、適合度が良かったモデルを見てみると、若年ホワイトカラーで4次元、若年看護師では3次元構成であったことがわかります。

p.58
p.59

リアリティ・ショックが影響するもの

では、若年労働者がリアリティ・ショックを感じると、何に影響するのでしょうか。上述した通り、ホワイトカラーと看護師とで次元構成が異なることもあるため、何に影響を与えるかは両者で以下のように異なります。

p.62

リアリティ・ショックを多次元構成で捉えることによって、実践的示唆を粒度を細かくして見出すことができるようになります。本論文では、ホワイトカラーと看護師という二つの職種間の相違も明らかになり、打ち手を工夫することができるのではないでしょうか。


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