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【論文レビュー】コモンメソッドバイアスの特徴と対策:Podsakoff et al.(2003)

コモンメソッドバイアス(common method bias)とは、すごくざっくりいうと、測定上の何らかのエラーによって変数Xと変数Yとが有する本来的な相関関係よりも高い値が出てしまう、というものです。本論文では、このコモンメソッドバイアスが生じる可能性のある原因と、対応策について詳しく説明してくれています。

Podsakoff, P. M., MacKenzie, S. B., Lee, J. Y., & Podsakoff, N. P. (2003). Common method biases in behavioral research- a critical review of the literature and recommended remedies. Journal of applied psychology, 88(5), 879.

コモンメソッドバイアスが起きる原因

コモンメソッドバイアスが起きてしまう要因には主に四つのものがあると著者たちは指摘しています。

  1. Common rater effects
    共通の評価者からデータを取得することによる影響
    (例)評価者は同じ質問紙の項目に似た回答をするという一致性の問題

  2. Item characteristic effects
    質問項目の特徴による影響
    (例)社会的な望ましさを測る項目の場合に高くつけてしまう

  3. Item context effects
    質問項目の順番や文脈による影響
    (例)先行する質問が後続する質問への回答に影響するプライミング効果

  4. Measurement context effects
    測定の文脈による影響
    (例)測定する際の時間や場所も回答に影響を与える

詳細に理解したい方は、これら四つの主な要因をさらに細かく下位次元に分類し、定義まで載せてくれている著者たちの力作をご覧ください。

p.882

コモンメソッドバイアスを防ぐには?

こうしたコモンメソッドバイアスが起こる要因を踏まえた上で、著者たちは、対応策について(1)手続き上のデザイン(2)統計上の統制、という二つの観点で提示してくれています。先に述べると、(2)は今の私の理解では咀嚼しきれないので割愛させていただきます(ごめんなさい、いつか追記してアップします!)。

(1)手続き上のデザインとしては、①異なる評価者群からデータを取得するようにする、という対策がまず提示されています。つまり、同じ質問紙を異なる評価者に配布してデータを取得することによってコモンメソッドバイアスを避けるということです。

次の対策は、②説明変数と目的変数とを分けて聞く、というものです。説明変数を聞く回と目的変数を聞く回とに分けることによって、同じ質問紙の中で説明変数と目的変数が含まれることによるコモンメソッドバイアスのリスクを低減するというアプローチです。

現実的に参考になるガイド

ここまで本論文のポイントをつまみ食いしてきました。ちょっとよくわからんなー、でもコモンメソッドバイアスをなんとか理解しないとなー、という方に朗報です!コモンメソッドバイアスを含む、測定における過誤(エラー)について、神大の服部先生が人事パーソン向けに噛み砕いて説明してくださっている記事があります。

こちらを読んでまずはざっと理解するということが良いかもしれません。

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