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【論文レビュー】職場学習を調べたい時に役立つガイドブック!:Park & Lee(2018)

ある日、上司から声を掛けられて「うちの会社は職場での学びに課題がありそうだから調査してみて!」と依頼されたとしましょう。みなさんならどうするでしょうか?職場での学びという現象はさまざまな角度から描き出すことができます。そのため、どこに焦点を置いて調査するかを明らかにしなければ、適切な調査項目を選び出すことはできません。

このような時に研究のプロセスで行われる先行研究が役に立ちます。先行研究で用いられている尺度の相違をある程度理解することができれば、自分自身が調査で聞こうとすることの言語化をしやすくなるからです。そのために尺度を理解することが大事なのですが、職場学習の尺度については以下の論文が大変参考になり、学ぶことの多い論文でした。

Park, S., & Lee, J. Y. (2018). Workplace learning measures for human resource development: review and summary. Industrial and Commercial Training.

この論文の何が素晴らしいのかというと、数ある職場学習(workplace learning)の尺度を、学習前(persage)、学習中(process)、学習後(product)という三つのフェーズごとに分類している点です。以下の表に簡潔にまとめられていて、すごく参考になります!

Park & Lee(2018) p.426

職場での学習と一言で言っても現象は多様です。学習というプロセスの前段階であれば、学習を取り巻く環境要因(learning context)学習者個人の特性等の要因(learner factor)もあります。また、学習中の行動(learning activities)や、その結果としての事後の学習成果(learning outcome)もあるでしょう。

職場学習において、自分自身が調べたい事象がこれらのうちのどこに当たるのかを明らかにできれば、何を質問すれば良いかの手がかりが掴めます。先行研究で明らかになっている職場学習の尺度の見取り図として、本論文はとても参考になるものなのではないでしょうか。

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