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【論文レビュー】SEMの適切な使い方:吉田ほか(2020)

SEM(構造方程式モデリング)を適切に使うためにはどうするのか?どのような使い方は適切ではないのか?といった疑問に対して解決の糸口を提供してくれる示唆的な内容です。教育心理学会さんのシンポジウムの内容が文書化されたもののようですが、すこぶる面白いです!なにより、口頭で話されている話し言葉で書かれているので、私のようなど素人にも理解しやすいのです。

吉田寿夫, 村井潤一郎, 宇佐美慧, 荘島宏二郎, 小塩真司, 鈴木雅之, & 椎名乾平. (2020). SEM は心理学に何をもたらしたか?. 教育心理学年報, 59, 292-303.

SEMの魅力

企画趣旨の箇所で吉田先生が、ほとんどの利用者にとってSEMは「計算過程がブラックボックス化している」(292頁)ものであると言及されていて、精神的には救われた気持ちになりました(笑)。計算過程を理解しきれていない手法について、その方向性や考え方を謙虚に学ぶことは、手法の適切な利用を促し、誤用を防ぐことに繋がります。

様々な先生方がSEMについて論じていて、やはりSEMの魅力の一つはパス図(以下のような感じ)がわかりやすく、モデルの適合度を可視化できる、といった点にあるようです。

確認的因子分析と交差遅延パネルモデルとの相性

話題提供者として小塩先生も登壇されていて、SEMの適切な活用例として確認的因子分析(CFA)縦断調査が挙げられています。さらに、縦断調査での一例として交差遅延パネルモデル(CLPM)が挙げられていて、私の研究デザインと近しい感じでだいぶ安心感を得ました。

ただ、ここまで当てはまると、私がサラで考えたものが適合してよかった!と喜んで良いのか、小塩先生の書籍で挙げられている手法を読んでいたものが念頭にあって調査デザインを考えたのだから結果的に適合したのは当たり前なのでは?と訝しくも思えてきました。。

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