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【論文レビュー】革新行動とは何か。:Scott & Bruce (1994)

テーマが近しい論文をいくつか読むと、みなさんが引用している源流的な論文がわかってきます。
(経営)革新行動(innovative behavior)については、どうやらこの論文のようです。

Scott, S. G., & Bruce, R. A. (1994). Determinants of innovative behavior- A path model of individual innovation in the workplace. Academy of management journal, 37(3), 580-607.

結論を先取りすれば、革新行動に影響を与えるものは、①直接的にはリーダーとしての役割期待(leader role expectations)、②革新支援(support for innovation)を媒介しつつリーダー・メンバー間の互換関係(Leader-Member eXchange:以下LMX)、という二つが挙げられています。

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リーダーとして期待されることが、革新行動に繋がるという①は直観的にもわかりやすいでしょう。経営者と直に接する中でリーダーとしての期待感を対話すると、そのメンバーは職場において革新行動を働かせようとすることは多いように感じます。

しかしそれだけでは職場で実践するには不十分かもしれません。そこで、リーダー・メンバー間の良好な交換関係があり、革新行動への支援があることで、職場において継続的に革新行動を安心してできるということを②は示していると言えそうです。尚、LMXについては過去にまとめたので、ご関心のある方は以下をご笑覧ください。

モデル図からは、何が革新行動を妨げるのかもわかります。例えば、資源の供給(resource supply)を十分に行ったとしても、それはむしろ革新行動にネガティヴな影響を与えるとされています。リソースに恵まれていると自発的で既存のやり方にとらわれない方法を企画・完遂しようという気持ちにはならないのかもしれません。

また、直観的であれ構造的であれ、問題解決志向もネガティヴな影響を与えています。これは、本論文の調査がR&D部門を対象としていることから、問題解決の志向性を持っていることが、既存のやり方にとらわれない革新行動を妨げてしまうということかもしれませんが、問題を解決するというマインドセットは革新行動には少なくともポジティヴな影響を与えないのかもしれませんね。

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