【論文レビュー】キャリア意識と職務満足の関係性:坂柳(1999)
本論文では、成人キャリア成熟尺度について主成分分析を用いて信頼性と妥当性が検証されています。九つの下位尺度について、キャリアという概念を空間把握の観点で三つの系列(人生・職業・余暇)に分類し、また態度特性(領域)の観点から関心性・自律性・計画性に分類して考察されています。結論としては、同一系列内でも同一領域内でも、相互の関連性が認められました。
坂柳恒夫. (1999). 成人キャリア成熟尺度 (ACMS) の信頼性と妥当性の検討. 愛知教育大学研究報告, 48, 115-122.
空間(系列)を縦軸に置き、態度特性(領域)を横軸に置いた3✖️3のマトリクスはこんな感じです。
では、成人キャリア成熟は何に影響するのでしょうか。以下の分析にあるように職業満足度に優位な影響を与えることが本論文では明らかになっています。
私のリサーチ上で関心が最も高いのは職業キャリア成熟です。というのも、働く個人の行動にキャリア意識が媒介しているのではないかという考え方があり、この部分の参考文献として大学院での論文指導時に先生よりご紹介いただいたのが本論文なのです。
個人的には、職業キャリア成熟が職業満足度に繋がっていることがわかったことが今後の示唆となりました。ただ、計画性については、2021年の現在においてはどこまで妥当するのか、考えてみたいと思います。
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