文化庁で吟味されている「生成AIと著作権に関する考え方」:2024/02/29時点
1. はじめに
2024/02/29に、令和5年度 第7回文化審議会著作権分科会法制度小委員会が行われまして、ここで「AIと著作権に関する考え方について」素案が公開されました。
こちらは、2023年に当該小委員会にて議論された内容を元に、2024/01/23から2024/02/12の期間内に募集したパブリックコメントの内容を反映して作成されたものとなっているようです。
そのせいか、日本経済新聞ほかマスコミも、これまでと比べると比較的大きく報じている印象があります。
以下に、そこまでの経緯を簡単にまとめてみました。
2. 「AIと著作権に関する考え方について」ができるまでの経緯
議論の場は文化庁の「文化審議会著作権分科会法制度小委員会」
文化庁のサイトによれば、同庁は「日本の文化芸術を世界に、そして次の世代へと伝えていく仕事」をしているとのことです。
その観点では各種クリエイターの著作権を守ることが重要との認識から、著作権分科会を内包し、その中で法制度についても論じているようです。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会の開催状況は、同庁サイトより閲覧可能です。
Step1 - 2023/07/26: 令和5年第1回の委員会で論点整理を開始
2023/07/26の令和5年 第1回 文化審議会著作権分科会法制度小委員会で資料として配布され吟味された「AIと著作権に関する論点整理について」は、恐らく当該委員会においてAIと著作権が議論され、かつ内容が公に開示された最初の情報ではないかと思われます。
筆者が思うに、この「AIと著作権に関する論点整理について」のスライド2は、「AI開発 → AIサービス提供 → AI利用」の各段階における要吟味事項の俯瞰図として非常にわかりやすいものとなっていると思いますので、ご興味ある方は、まず参照頂くと良いのではないかと思います。
Step2 - 2023/09/05の第2回、2023/10/16の第3回では有識者の意見・各国の対応を考慮しを聞きながら議論
第2回に提出された有識者資料は以下の2つです。
森・濱田松本法律事務所の岡田弁護士による「AIガバナンス」観点の資料
以下の論点が提示されていた
著作権法とAI規制それぞれの守備範囲の吟味が必要
欧州でもAI規制と著作権の交錯は課題となっている
現行著作権法30条の4は合理的である、という主張
対価請求権、オプトアウトそれぞれのアプローチのpros/cons
欧州、米国のAI規制動向の紹介あり
第3回に提出された有識者資料は以下の3つです。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?