記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

シャインポスト

ネット上で良く言われているように、このアニメが日テレの深夜アニメでなければもっと話題になれたのではないかと思う。

というか、アニメ枠の多いTOKYO MX、あるいは、キー局でも深夜アニメ枠が定着しているフジテレビやTBSでの放送だったら、夏クールアニメのいわゆる“覇権”と呼ばれていたのではないかと思う。

また、放送期間中にスタッフ間で新型コロナの感染が相次ぎ、通算3回もレギュラー放送を休止することとなり、最終回の放送は通常の夏アニメよりも遥かに遅れて10月後半となってしまった。
これも、話題になりにくかった要因の一つだと思う。

既に秋クールアニメもほとんどの作品の放送がスタートしているので、アニメファンの心はそちらに行ってしまっているから仕方ないんだけれどね…。

まぁ、アイドルアニメ(ガールズバンドやDJも含む)というのは正直なところ、作られすぎという印象がある。
ましてや、夏クールにはこの分野の最大の人気ブランドである「ラブライブ!」シリーズの「スーパースター!!」の2期もあったから(これも最終回は10月にずれ込んだが、放送休止は1回だけだから、本作ほど途切れた感はない)、アイドルアニメ好きの興味はどうしてもそっちに行ってしまう。
しかも、ボイスキャストにはアニオタや声豚が毛嫌いする声優を本業としない人たち(アイドルなど)が複数名を連ねている。
そりゃ、アニオタや声豚が見ようとしないのも仕方ないよねといったところだろうか。

そんな、ノーマーク状態の作品だったが、本作を見た人たちの間からは絶賛の声が相次いだ。

泣けるし、笑えるし、ちゃんとアイドルを描いているからだ。

「スパスタ」2期なんて酷かったからね。“ラブライブ”という大会での優勝を目指すスクールアイドルの話なのに、終盤になって、突然、中心メンバーかのんの留学騒動が長々と描写され、大会に割かれる時間はわずかなものとなってしまった。しかも、さんざんひっかき回した留学騒動も結局は取りやめという結論になってしまうし、何が言いたいのコレって感じだった。
クゥすみのイチャイチャとか、2期から登場の後輩メンバーのきなきなやオニナッツのキャラ設定とか、部分的には良いところもあったけれど、アイドルアニメとしては失格と言わざるをえない出来だった。

でも、本作ではきちんとアイドルの成長が描かれていてた。

実力があることを分かっているために他のメンバーと調和を取ろうと全力を出さない春、実力があることを分かっていないために常に劣等感に苛まれている杏夏(おキョン)、この2人を中心にアイドルグループTINGSのメンバーたちが、アイドルとしての実力を伸ばし、メンタル面の弱さも克服していく姿がきちんと描写されていた。

まぁ、TINGSのマネージャー、通称・マネージャー君の“嘘をついている人が輝いて見える”という特殊能力設定があまり効果的ではなかったというツッコミどころもあったけれどね。

アイドルアニメのマネージャーの特殊設定という点では、「IDOLY PRIDE」の幽霊と話せるというやつにはかなわなかったかな…。

それから、マネージャー君が闇オチしたおキョンを復活させ、ファンやライバルをギャフンと言わせるための奇策というのが、春とのダブルセンターというのもイマイチ、パンチが弱い気もした。

奇策といえば、2話で人気アイドルのライブ会場の出口で自分たちのライブの売り込みをするという描写があったけれど、あれも奇策でもなんでもなかった。地下アイドルとかが、坂道シリーズのライブとかTOKYO IDOL FESTIVALの会場周辺でビラ配りするのは当たり前のことだしね。

なので、完璧な作品かというとそんなことはないんだよね。

でも、泣けるし、笑えるし、キャラクターも魅力的な人物ばかりだし、楽曲も良い曲が多いし、気付いたらハマってしまった。

というか、おキョンにハマった!

キャラデザが可愛いというのもあるが、彼女の声を担当した≠MEの蟹沢萌子(もえぴ)のおかげで、魅力的なキャラになったという面も大きいのではないかと思う。

ぶっちゃけてしまうと、第1話を見た時は彼女の演技は下手だと思った。
ノイミー好きの自分ですら、というか、ノイミー関連作品だからという理由で本作を見ることにした自分ですら、アニオタ・声豚が彼女の演技を“棒”と呼ぶ気持ちはよく分かった。

でも、話数を重ねていくうちに、独特なおキョンの話し方にハマっていってしまったんだよね。
というか、もえぴの演技も上達していった。
作中のおキョンの成長と、現実世界のもえぴの声優としての成長がリンクしていると言ってもいいかも知れない。

まぁ、後半になって、おキョンが“お茶目なジョーク”をあまり言わなくなってしまったのは残念だけれどね。

ところで、本作を絶賛する人の中には作画面でほめている人も結構いたが、個人的にはそれはどうなんだろうかと思う。
日本のアニオタって、どんなに動きが良くてもCGだとほめないんだよね。結局、いまだに手描きアニメしか受け入れられない、時代の流れについていけない老害の考え方でしかないんだよね。
要は他のアイドルアニメだとライブシーンはCGが多いのに、本作は手描きが多かったから絶賛しているだけでしょ。

いまだに、手描きはきちんと仕事しているが、CGは手抜きだと思っているアホがいるんだよね。
さすがに最近は減ったけれど、手書きの履歴書だと努力したとして目を通すけれど、打ち込みだとやる気がないとか何とか言って、書類審査で落としてしまうアホな面接官と一緒。

CG使用は人件費削減にはなるかも知れないけれど(それだって、結局、レンダリングなりなんだりに時間がかかるからそれほどの効果はない)、決して作業が楽になるわけではない。というか、CGの方がきちんと作り込まないとアラが目立つ。

だから、いまだに手描きアニメしか受け入れられない老害はとっととアニメを見るのをやめてほしいと思う。連中のご機嫌取りをしているせいで、日本のアニメーション界の発展が阻害されているんだよ。アカデミー賞で日本のアニメ映画がなかなかノミネートされないのは、技術は古いし、社会的なメッセージもないからなんだよね。

とりあえず、最終回に止め画が多かったのを見ると、制作スケジュールがかなりキツかったんだろうなというのは理解できた。

ところで、本作はTINGSが中野サンプラザ公演を成功させ、人気アイドルグループ、HY:RAINから武道館で対バンライブをやろうと指名されるところで終わっているが、その対バンライブが2期なり劇場版なりで描かれることはあるのだろうか?
というか、マルチメディア展開の方では、アニメ に登場していない新キャラも発表されているそうだから、2期なり劇場版なりを期待したくなってしまうよね。

そういえば、日本のアニメで中野サンプラザとか武道館とかが実名が出てくるのって珍しいよね。
まぁ、マクドナルドは紛い物みたいな名前に変えられていたけれど。

そして、予想通り、最終回のエンドカードではアニメの中だけでなく、演じる声優陣によるリアルな中野サンプラザ公演の開催が発表された。

まぁ、こういうストーリーだから、誰もがやるだろうなとは思っていたけれどね。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?