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迷走し続けたラストアイドル、遂に活動終了へ

ラストアイドルが5月31日で活動終了すると発表した。
事実上の解散だ。
脱退を卒業という美辞麗句で言い換えるようになって久しいが、同様に解散という言葉にもネガティブなイメージがあるから、活動終了と言っているに過ぎないと思う。

去年、秋元康プロデュースのアイドルグループの解散が相次いだ。
青春高校3年C組、ザ・コインロッカーズ、それに、ネタ案件の吉本坂46だ。
その悪い波が今年も続いているということなのだろう。

ぶっちゃけ、メンバーの離脱が相次いでいた22/7が解散せずに、新メンバー加入で続行することには驚いた。誰もが次に解散するのはナナニジだと思っていたから、まさか、ラスアイがという気持ちのドルオタが多いのではないだろうか。

ネタ案件の吉本坂は置いておくとして、青春高校も、コインロッカーズも、そして今回のラスアイも、コロナを解散・活動終了(休止)の理由としている。

青春高校は学園設定、コインロッカーズはバンド設定というのが、コロナ禍での活動に制限がかかった理由でもあると思うが、ラスアイに関しては完全に握手会が開催できないのが解散・活動終了(休止)の主たる要因だと思う。

要は、握手会などの接触系イベントが主な収入源だったが、コロナ禍では接触系イベントが開催できないので、そのイベント参加券封入で売上を伸ばしていたCDも売れなくなり、運営が行き詰まったということだろう。

地下アイドルは、既にチェキ撮影とか個人撮影会などの接触系イベントを再開しているが、AKBグループや坂道シリーズ、イコノイなどはまだ、握手会やチェキの代替となるオンラインイベントが中心だ。
AKBグループや坂道シリーズ、イコノイといったドルオタ以外にも多少は知られているクラスのアイドルなら、直に会えなくても、ファンはオンラインイベントで満足できるが、そこまでの知名度はないラスアイやコインロッカーズだと、ファンは満足できないってことなんだろうね。
それに、ラスアイなんて地上波の冠番組を持っているから、安易に感染リスクが高まる握手会を再開したら、批判されるのは間違いないしね。

それと同時に、コロナに関係なく、グループの運営の仕方に問題があり、方針が定まらないことがファン離れを起こす要因でもあったと思う。

ラスアイのメンバーを決めるオーディション番組「ラストアイドル」がスタートしたのは、2017年8月だ。
そして、この2017年8月にTOKYO IDOL FESTIVALのステージで初ライブパフォーマンスを披露したのが=LOVEだ。今ではイコラブはチケット入手が容易ではない人気グループとなっているし、メンバーのソロ活動も活発に行われている。

ラスアイの冠番組を放送しているのがテレ朝だったのいうのが不運だったと言うこともできる。テレ朝のワイドショーでは、中高年向きの芸能情報しか取り上げられない。かといって、テレ朝色が強いから、他局では取り上げにくい。だから、イコラブのように広がらなかったという面もあるとは思う。

でも、イコラブと差を付けられた最大の要因は運営の迷走だと思う。
イコラブは2期生以降を募集してメンバーを増員するようなことはしなかったし、CDシングルの表題曲は原則、選抜制度を敷かずに全員参加となっている(休業中のメンバーを除く)。
また、反社会的と捉えられても仕方ないことをしたメンバーは、文春砲が世に出る前に卒業を発表していて(活動終了となったのは文春砲が出た後だが)、危機管理能力もある程度は機能していると思われる。

でも、ラスアイにはそういう能力がないんだよね。
活動初期に注目されたメンバーといえば青森のローカルアイドルグループりんご娘と兼任していた王林だと思う。
当初は、他の芸能活動と兼任してもOKとなっていたのに、それが難しくなってしまったから、王林はラスアイを卒業することになったのだとは思う。
その後、王林の知名度は一気に増していき、りんご娘自体も、“王林と愉快な仲間たち”状態になってしまったことから、3月をもって、この時点での所属メンバー全員が卒業するという事態になってしまったけれどね。

あと、事実上の人気ナンバー1だった長月翠が2021年夏に卒業したこともラスアイ凋落の理由の一つだとは思う。
彼女はラストアイドルファミリーのラストアイドル(後LaLuceに改名)とシュークリームロケッツという2つのユニットを兼任し、他のメンバーが出演しない配信ドラマ「DISTORTION GIRL」に出演し、ソロで写真集を出すくらい人気があった。
ラスアイメンバーが大量出演した舞台「球詠」シリーズの最初の作品(2021年6月)だって、彼女はW主演のポジションだった。

ちなみに、今年2月に上演された続編の舞台では彼女が演じたキャラを別のメンバーが演じていた。
この続編舞台出演メンバーの間でコロナの感染が拡大したことからもラスアイ運営の危機管理能力のなさはよく分かるが…。

話を戻すが、それだけ人気メンバーだった長月翠が卒業となってしまったのは、結局、恋愛スキャンダルだったということが、卒業後に報じられた文春砲で明らかにはなったけれど、パパ活とか不倫とかではないんだから、卒業するまでのことではないと思うんだよね。
となると、メンバーと運営の間の関係も決して良好ではなかったとしか思えないんだよね。

そもそも、ラスアイというプロジェクトの進め方は最初からおかしなことばかりだった。

オーディション番組でメンバーを決めるという設定なのに、審査員が毎週異なるというのがまず意味不明だったんだよね。
同じ審査員がシーズンを通して見てこそ、それぞれのオーディション挑戦者の良し悪しの比較ができるはずなのにね。
しかも、そのエピソードに参加した審査員が合議したり、それぞれの審査員がつけた得点を合計したりして合否を決めるのではなく、無作為に選ばれた1人の審査員の意見だけで決まるというのは全くもって理解できなかった。

さらに、せっかく、ラストアイドルのメンバーを決めたのに、落ちたメンバーを救済するとして、セカンドユニット(4グループあって、セカンドユニットと呼ぶのは謎だが)のメンバーにしてしまったのも意味不明だ。結局、合格させたいメンバーや人気が出そうなメンバーがその変な審査員システムで不合格になったから、そういうプロジェクト自体を否定するような本末転倒なことをしたのだろうとは思うが。

結局、バトル形式のオーディション番組をやった意味がなくなってしまったんだよね。

そして、番組名、プロジェクト名としてラストアイドルを使うために、全ユニット合わせてラストアイドルファミリーという言い方にすることになったため、最初のオーディションで決まったラストアイドルというグループはLaLuceと改名することになってしまった。

その後も番組はバトル形式を続けることになるが、ユニット(というより、ユニットに楽曲提供するプロデューサー)の対抗だったり、2期生を選ぶオーディションだったりで、完全に最初に選ばれたメンバーはなんだったんだという状態になってしまった。

そして、テレビの冠番組の方もオーディション形式・バトル形式をやめて、2018年10月からは「ラスアイ、よろしく!」と改題し、単なるアイドル・バラエティ番組になってしまった。
それまでは、Abema限定放送のものも含めて見ていたが、正直、この放送内容になってからは録画したものを早送りで見るだけ(実質、最後のニュースコーナーしか見ない)という感じになってしまった。

バトルをやめてからのラスアイはさらに迷走を深めていった。

北朝鮮のマスゲームみたいな集団パフォーマンスや、殺陣、ボリウッド・ダンスなどといったものに挑戦していったけれど、それって、どれもドルオタが求めているものではないし、正直言ってダサかった。

そして、事実上のラストシングルとなった“Break a leg!”のMVは家族や親友、恩師などに感謝を述べるドキュメンタリー風。もう何がやりたいんだろうって感じだった。

勿論、“大人サバイバー”とか“愛を知る”なんていう名曲もある。この2曲はオリコン1位を獲得しているが、変な挑戦企画があろうとなかろうと、純粋に楽曲が良ければファンは増えるということを証明しているんだと思う。
ボリウッド風の“君は何キャラット?”みたいなネタ曲は求められていないと思うんだよね。

自分はとりあえず、これまでにリリースされたシングルは全て買っているが(それぞれ1形態のみ)、TOKYO IDOL FESTIVALのステージ以外では彼女たちのライブを見たことがないから、そこまで熱心なファンではないのかもしれない。
とはいえ、舞台「球詠」シリーズは1作目も2作目も見ていて、3作目も期待していたので、活動終了してしまうのは残念で仕方ない。

というか、最初で最後のアルバムのタイトルが『ラストアルバム』って…。
なんでもかんでもネタにするなよ!
楽曲とかパフォーマンスとか個々のメンバーの魅力や才能、そういったものをきちんと売り出せなかったのは運営の力不足だと思う。

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