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キングスマン:ファースト・エージェント

これでやっと、年末公開で気になってはいたものの、年が明けてからもまだ見ていなかった作品を一通りチェックすることができた。なので、これからは本格的に2022年モードに突入できる。

実は「キングスマン」シリーズの過去2作品は見ていないが、今回は前日譚ということなので過去作を見ていなくても影響がなさそうだし、洋画不況と言われて久しい中、国内の観客動員数ランキングで最高位2位と健闘した作品でもあるので(呪術廻戦と同じ週の公開で2位だから大健闘と言ってもいい)、健闘している洋画作品をさらに後押しし、1円でも興行収入を上積みさせてあげたいとの思いで鑑賞することにした。

ところで、年末に日本公開されたハリウッド映画の観客動員数ランキングでの成績を見てみると、いずれもシリーズものではあるが、「ヴェノム」と「マトリックス」が初登場で首位に立ち、本作が初登場2位、CGアニメーションの「ボス・ベイビー」が初登場3位を記録している。
勿論、1980年代から2000年代初頭に比べれば観客動員数にしろ、興行収入にしろ物足りない数字だけれど、テレビアニメの劇場版「呪術廻戦」が記録的な成績をあげている中ということを考慮すれば、十分に大健闘していると言っていいと思う。
本作なんて全米興行収入ランキングでは最高位3位なのに、日本では観客動員数ランキングで最高位2位なんだから、大大健闘と言えるかもしれない。

そして思ったことがある。もしかすると、長引く洋画不況っていうのは、若者のせいではなく中高年のせいで起きている現象なのではないかという気がしてきた。

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最近、ハリウッド系映画を見に行くと30歳以下と思われる観客が多いんだよね。年末公開のシリーズもの4作品のみならず、日本公開がスタートしたばかりの「スパイダーマン」最新作だってそうだった。

つまり、洋画不況というのは、若者が海外文化に興味を持たなくなったから起きている現象ではないということだ。
実際、K-POPは好きなんだし、Netflixやアマゾンプライムで、韓流を含めた海外ドラマを見ているわけだしね。

コロナ禍になって洋画が好きな中高年が、混雑しやすいとか、無症状の若者が多いとか、飲食を伴うなどの理由で感染リスクが高いと判断し、ハリウッド大作が上映されるシネコンを避けているから洋画不況が悪化しているなんて言われているが、そもそも、洋画不況なんていうのはコロナ前から始まっていたことだ。

となると、中高年が洋画を嫌うようになったから洋画不況に陥ったんだと思うのが正しい解釈のような気がする。

何故、中高年が洋画、特に最近のハリウッド映画を嫌うのかの理由は明白だ。ポリコレ色が強いからにほかならない。
老害ネトウヨ思想の彼等は、黒人や女性、中国人や韓国人、LGBTQ、障害者などに配慮した内容のものが多い最近のハリウッド映画のポリコレ路線を毛嫌いしているからね。

そう考えると、ここ十数年間、モヤモヤとしていた洋画不況の原因も納得ができる。

それにしても、朝イチの回から若者が多い。一昔前は朝イチの回なんて、高齢者か映画マニアしかいなかったのに、最近は30歳以下と思われる若者が多い。それだけ、若者が夜更かししなくなった、夜遊びしなくなった、酒を飲まなくなったってことなんだろうね。
まぁ、コロナ禍に入って、酒を飲まない生活が当たり前になったというのもあるとは思うが。

ただ、若者が多いから、エンド・クレジットが流れ出した瞬間にスマホを点灯させる奴とか、足を踏んだり、ぶつかりそうになっても悪いと思わない観客は目立つようになったかなという気はする。まぁ、こういうマナーのなっていない連中は中高年にも多いけれどね。

作品自体についても語っておこう。

作中で、強力な左が台頭したら、強力な右を配置してバランスを取らなくてはいけないとして、レーニンとアドルフ・ヒトラーが手を組むシーンが出てくるが、この描写というのは、本当、現実世界でもよくあることだなと思った。結局、与党も野党も対立しているフリをしているだけで、実際は同じことをやっているということ。

左右どちらかの印象を悪くさせておいて、ネトウヨなりパヨクなりの不満というガスを抜いてやり、そのカゲで両者がこっそり手を組み、無知な連中から搾取するというプロレスのような構造は古今東西、いつの時代もあるということなのかな。

自民党と朝日新聞の関係もそうだよね。本当に対立していたら、朝日の記者連中と自民の政治家連中が会食なんてするわけないしね。そもそも、朝日が本当にネトウヨが言うところの在日・反日だったら旭日旗みたいな社旗なわけないでしょ!だから、悪役のフリしてネトウヨのガス抜きをやっているに過ぎないんだよ。

作品自体の思想も左路線と右路線が混在していた。

本作の主人公オックスフォード公は、反戦主義者でありながら、諜報機関をおこし、悪人を次々と殺しているわけだしね。それは1人の人間の中に左翼と右翼が混在している証拠だよね。

格差社会を批判している描写は完全に左だと思う。オックスフォード公の息子が、親が大物だからという理由で前線から離れられるということを知った途端、無名の者と入れ替わって前線に残り命を落とすなんていう行動に出たが、こうした描き方は完全に左路線だ。黒人や女性の活躍を描いているところも左の思想だろう。

その一方で、ドイツの策略を止めるためには戦争をするしかないという矛盾したやり方は完全に右のやり方だ。また、スーツを買いたくなるようなスタイリッシュな描き方は保守的と言えなくもない。

そもそも、本作は20世紀スタジオの作品だ。かつては20世紀フォックスと呼ばれていた映画会社で、その頃はグループ会社に共和党寄りの報道で知られる放送局もあったわけだしね。
一方で20世紀スタジオは現在はウォルト・ディズニーの傘下にあり、ディズニーの配給で公開されているわけだから、やたらとポリコレを推進しているディズニーの影響も受けているわけだし、そりゃ、左右混在の内容になるよねって感じかな。

戦争映画風になったり、スパイ映画になったりと、なかなか楽しむことはできたが、正直長いかなとは思った。本当、最近のハリウッド映画は長いのが多すぎる!2時間以内におさめてくれよって思う。

ところで主題歌は、007の主題歌みたいな曲調だが、007のように冒頭にかかるのではなく、エンディングにかかるだけなんだと思った。

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