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俺の美女化が止まらない!?

深夜ドラマや配信ドラマはエピソード数が少ないものが多い。本作は配信先行の深夜ドラマだから全8話という構成なのも仕方ないのだろうとは思う。また、配信先行だから熱心なファンは既に見ているでしょという考えなのか、最終回なんて卓球の中継を優先し放送時間を繰り下げたくらいだから、単なる深夜(早朝に近いが)枠の穴埋めくらいにしか思われていなかったんだろうね。

作品自体について語ろう。若干、ステレオタイプやテンプレのように感じる点もなくはないが、かつてのこうした女装ものでは、女装とゲイや(差別的用語とされる)オカマというのが混同されていて、今で言うところのLGBTQ関連の団体から批判されることも多かった。

自分も読んだことがある漫画「おカマ白書」なんて典型的なそのパターンだ。キャラデザが好きで単行本を買ったりもしていたので全否定はしないが、女装させられた主人公がゲイバーで働くという話で、タイトルに「おカマ」という言葉が入っている。しかも、主人公の名字は岡間(おかま)だ。女装とゲイの区別がついていない上に差別的用語とされるオカマをネタにしているんだから、批判されたのも仕方ないと思う。

本作も冴えない大学生が望まぬまま女装して店で働くことになるという点では共通している。
また、その主人公が自分が男であることを言えぬまま、自分を女のように思っている女子大生に惚れているという設定も同じだ。

ステレオタイプとかテンプレに見えてしまうのはこういうストーリー展開にあるのだと思う。

ただ、時代に合わせてアップデートされている面もある。女装者とゲイを混同したり、オカマやホモという差別的な言葉を使ったりというのはなくなっている。

オカマバーとかゲイバーという言葉が使われていない。また、本作で主人公が働く店はカフェと呼ばれているので、女装子とか男の娘版のコンカフェみたいな感じなのだろうか。

そして、ママも見た目はオッサンではあるが、かつてのこの手の作品でよく登場していた保毛尾田保毛男的な青ヒゲのオッサンではなくなっている。

それから、主人公と同じ店で働き同じ大学に通う仲間もBL一歩手前くらいの描写で抑えていて、女装しているからと言って必ずしも恋愛対象は男ではないし、女装子・男の娘はゲイとか、かつてオカマと呼ばれた人たちとは異なるというのもきちんと描かれているとは思う。

ただ、原作が完結していないので仕方ないのだろうが、話の区切りの良いところ、そして、主人公が成長したところを見せるために、最終回が主人公ではなく二番手(先述した大学の仲間)中心になってしまっているのはどうかと思った。女装・ゲイ・オカマ・ホモなんてのを混同している老害に対する批判を込めるという意味では二番手の実家の問題を描くのは必要なんだけれど、連続ドラマとしては二番手が主役になる最終回はどうなんだろうかという気もした。

まぁ、二番手を主役にしたくなる気持ちも分かるけれどね。

これまでの本稿の主張と矛盾しているけれど、メインの女装キャラ5人組の中でビジュアルが圧倒的に良いのがこの二番手だからね。

5人組はこんな感じ

⚫︎晴臣(主人公)
全然、美女化していない。顔も体もかなりごっつい。
⚫︎恋々乃(二番手)
5人組の中で唯一女子に見える。可愛い。女装の時の話し方も女子っぽく聞こえる。それでいて、男の時はいかにも女子受けしそうな優男風イケメン。
⚫︎ジュカ
キレイだけれどどう見ても男
⚫︎うにぴょ
可愛い感じはするけれどどう見ても男
⚫︎百恵(ママ)
昔のステレオタイプ的な青ヒゲのゲイではないがどう見てもオッサン

そりゃ、二番手・恋々乃の出番を多くした方が視聴者受けはいいよね。女装子・男の娘好きの男にもイケメン好きの女子にも好かれるタイプだしね。

ママはこのビジュアルでもいいと思うし、ジュカやうにぴょは主人公の美女化を強調するためにある程度、男っぽい部分を残したのかも知れない。でも、主人公のキャスティングは失敗だったと思うな。もう少し、可愛い・美人要素がないとタイトルがウソってなってしまうしね。

ぶっちゃけ、最初から恋々乃を主人公にして描いた方が、今のLGBTQ的というか、自分らしく生きるという主義主張に合っていたのではないかと思う。女装するきっかけとか、女装を認めない父親との対立とか、背景もきちんと描かれていたしね。
住む場所のためにイヤイヤ女装して働いているうちに、その店に好きな娘がやってきて、本当の自分とのギャップに悩むという程度の主人公の展開はやっぱり、テンプレだよね。

それにしても、鞘師里保が演じた主人公が好きな女子大生の可愛いんだか可愛くないんだかよく分からないような雰囲気はちょっとクセになるよね。

※画像は公式HPより


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