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ももさんと7人のパパゲーノ

何か色々と構成に難のあるドラマだった…。

タイトルが出る前のアバン的な部分を除くと、本作のストーリーは日曜日から始まる。
タイトルが「ももさんと7人のパパゲーノ」なので、この時点では、ももの1週間を描き、各曜日につき1人ずつ、パパゲーノ(=自殺願望がありながら死を選ばずに生きている人)と出会っていくという話なのかと思った。

ところが、そうではないんだよね。このドラマのラストは次の次の月曜日で終わる。つまり、アバンを除くと9日間の話なんだよね。
そして、公式ホームページを見ると、ももと関わる主なキャラとして9人があげられている。
でも、このうち彼女の母親とその母親がハマっている占いの先生、さらに、ももとノリで付き合うことになるものの、自傷癖を指摘されて別れてしまう彼氏は明らかにパパゲーノではない。
となると残るのは6人なんだけれど、7人ってどういうカウントなんだ?彼氏も含まれているのか?

それに複数のパパゲーノと出会う日もあるし、その出会った中の1人・雄太とは複数の曜日にまたがって行動をともにしている。
また、ほんの一瞬、喫茶店で会話をしただけで、それ以降登場しない人物もいる(=9日間の期間のうち、短時間しか割かれていない日もある)。

さらに、セクハラやLGBTQ、ホームレス、不眠症などの問題まで盛り込んでしまっているから焦点がボケボケになってしまっている。

本来なら、1時間枠という短い枠の単発ドラマではなく、30分枠でも15分枠でもいいからシリーズものとして構築し、毎回、ももが出会う1人にじっくりとフォーカスする形にした方が良かったのでは(雄太と行動をともにするか否かはどちらでもいいが)。

それから、野宿生活しているのに、毎日、着替えているのは何故?スマホの充電はどうしているの?とか細かいことが気になって仕方ないんだよね。

全体的に酷い脚本だと思う。

でも、それなりに見られる作品にはなっていた。
それは、伊藤沙莉の魅力のおかげだと思う。

彼女は特徴的な声だから、本来なら親近感を抱けるキャラではないんだけれど、職場やクラスで真ん中くらいの可愛いさのルックスみたいなイメージがあるから(フェミの人が怒りそうな言い方ですみません…)、男女どちらの立場から見ても、親しみやすいんだよね。
だから、CMで客とか店員みたいな地味な役のオファーが多いんだろうね。

多分、もも役が他の女優だったら成立しないと思う。いわゆる美人とか可愛い系の女優だと野宿生活、しかも、自称LGBTQの男性と性的な関係にならずに行動をともにする野宿なんてリアリティがないし、逆に個性的なルックスや言動の女優ならレイプされるような展開になるのではと視聴者は不安視してしまうからね。

まぁ、彼女の親近感のあるキャラのせいで、デタラメな脚本の作品でも何とか見られるようになっているって感じかな。

それにしても、このドラマで自死問題を考えようとNHKは提起しているようだが、ちょっと中途半端としか思えないかな。

自死と絡めてセクハラやLGBTQなどの問題も描きたかったのであれば、やっぱり、シリーズものにすべきだったと思う。

※画像は公式ホームページより

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