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映画『おそ松さん』

そもそも、「おそ松さん」というプロジェクトは6つ子の話だ。というか、その基となっている「おそ松くん」の時点でそうだ。
だから本来なら、兄弟など血縁関係のある6人を選ぶか、血縁関係はないが雰囲気の似ている6人を選ぶ。あるいは、CGや特殊メイクなどを使って同じ俳優に6役を演じさせるというのが正しい実写化のありかただと思う。

百歩譲って、そうしなかったとしても9人組アイドルグループのSnow Manを起用することはありえない。しかも、その9人組を起用したために、実写映画オリジナルのキャラクターまで作られてしまったのだから、何がやりたいんだかという感じだ。

Snow Manのファン、というか、ジャニオタはジャニーズのタレントが出演する映画やドラマの内容に関してはマンセーしかしないから、彼女たちの感想は何の参考にもならないが、おそらく、彼女たち以外の観客(アニメ版「おそ松さん」のファンの腐女子や、「おそ松くん」が好きだった中高年)のほぼ100%は作品自体を面白いとは思ったとしても、Snow Manの起用に関しては否定的な意見になるのではないかと思う。

同じジャニーズのグループを起用するなら、Snow Manと同日にCDデビューした(正確にはスプリット・シングルという形でリリース)SixTONESでいいんじゃないのか?表記を見ても分かるように6人組だしね。

そもそも、この“改悪”の要因って、明らかに大人の事情だよね。

過去のアニメ映画版の配給は松竹だったのに、今回の実写版の配給が東宝になっているのは謎だ。
その劇場版の製作委員会に入っていたテレ東やエイベックスは引き続き、名を連ねている。
今夏公開予定のアニメのイベント上映作品も松竹の配給ではなくエイベックスの配給となっているということは、松竹が「おそ松さん」というプロジェクトから撤退したということなのだろうか?

松竹の撤退によってエイベックスの権限が増し、その結果、実写版の配給は松竹よりも興行網が強い東宝になったということなのかな?

Snow Manの起用は、明らかに彼等がエイベックス系のレーベルに所属しているからだしね。
SixTONESはソニー所属だから、エイベックスとしては使いたくなかったんだろうね。

そして、実際に見てみたが、やっぱり、Snow Manでおそ松をやるのは無理があったという感想しか持てなかった。結局、映画オリジナルのキャラって、6つ子と比べると出番は少ないからね。
この配役だと、不人気メンバーもしくは演技が下手なメンバー(実際は違うかもしれないが)をチョイ役に回したと思われても仕方ないと思う。
だったら、女装とか特殊メイクとかヅラとかを施す必要がある役ではあるが、狂言回し的にずっと出ているトト子、イヤミ、チビ太あたりをこの3人にやらせれば良かったのでは?

それにしても、メタに次ぐメタって感じの内容だった。

冒頭から登場人物が実写版であることを連呼していたしね。まぁ、そういうエクスキューズをしないと成立しない作品だってことだよね。だから、何故、これを実写化しようとしたのか、全く理解できないんだよね。結局、ジャニオタは何をやっても見に来てくれるし、何をやっても絶賛してくれるから、安易な金稼ぎの手段として実写化したってことなんだろうね。

まぁ、クソ映画であることには間違いないが、そのカテゴリーの中では傑作に入るタイプの作品であったとは思う。

同じ英勉作品である「賭ケグルイ」のパロディは面白かったしね。「ハガレン」っぽいのは実写映画がジャニーズ主演だからいいし、「七人の侍」は同じ東宝作品だから問題ない。「ターミネーター」っぽいのも許容範囲だと思う。でも、「ジョーカー」あたりは著作権的に大丈夫かと心配になった。

メタな要素といえば、色々な「強引な終わり方」をネタにしていたのも面白かった。
一般的にクソ映画扱いされやすい夢オチや爆発オチ、登場人物が記憶喪失になったり、病気になったり、死んだと思っていた人間が生きていたりとか、ある人物とある人物の血縁関係か判明するとか、ある人物が抱えていた秘密は同じ日を何度もループしていたなんていう、よく使われる展開を次から次へとネタとして繰り広げるのは、ある意味、爽快ではあった。

まぁ、くどいけれどね。

それにしても、人気アイドルに童貞とか言わせたり、ズボンを下げて脱糞させたり、放尿させたりって、よく、ジャニーズ側のOKが出たなって感心してしまった。

ところで、これは実写版に限った話ではないが、6つ子の話で、長男的性格とか、末っ子キャラといった設定を出すのって無理があるのでは?
6人ともほぼ同時に生まれたわけで、長男とか末っ子とかの区分なんて、便宜上つけられているものだと思うし、長男に対して、次男より下が“兄さん”って呼ぶのも、なんか違うような気がするな。

とりあえず、ヒロイン(汚れ役?)のトト子役の髙橋ひかるがめちゃくちゃ可愛いかった!上はピンク、下はグリーンのチェックのスカートという衣装も可愛いし、彼女はその格好がめちゃくちゃ似合う!

《追記》
ちなみに自分はSnow ManのCDは全部持っているくらいなのでアンチではありません。
でも、SixTONESからはロック界の生きるレジェンドに対するリスペクトをこれっぽっちも感じることができないので(グループのみならず、事務所やレコード会社、ファンからも感じることはできない)、こちらは全面否定します。


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