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劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ

本作は劇場版「ソードアート・オンライン」シリーズとしては3本目の作品となる。

2017年2月に公開された「オーディナル・スケール」は興収25億円を突破する大ヒット作品となった。ぶっちゃけ、予期せぬ大ヒットと言っていいと思う。
LiSAによる主題歌“Catch the Moment”は彼女が「鬼滅の刃」関連楽曲に関わるまではアニオタ以外に最も知られている彼女の楽曲はこれだったので、おそらく、アニオタ以外にも広がったヒット作品になったということなんだと思う。

また、神田沙也加が歌姫役として声優を務めるととともに挿入歌を歌唱したことも同作の人気の要因の一つだったのではないだろうか。

元々、歌手活動をしていたし、舞台のミュージカルにも出ていたから、歌唱力に関しては元々、一定の評価はされていた。

彼女の声優としての評価が定まったのは言うまでもなく2014年日本公開の「アナと雪の女王」日本語吹替版だ。

でも、「アナ雪」だけなら、アニオタに支持される存在にはなれなかった。何故なら、アニオタには海外アニメーション、特にディズニー作品を毛嫌いするのが多いからだ。

そんな彼女がアニオタに支持されるきっかけになったのは彼女が参加した音楽ユニットで2014年から16年にかけて活動したTRUSTRICKだ。アニメや2.5次元舞台関連の楽曲が多かったことから、本業でない者が声優を務めることを毛嫌いするアニオタの間でも彼女は“こちら側の人間”として支持されることになった。

つまり、「アナ雪」経由の一般とTRUSTRICK経由のアニオタの双方が、神田沙也加が声優と歌唱を担当する新作として同作に注目したということだ。

それから、4年8ヵ月ぶりとなる劇場版「ソードアート・オンライン」の2作目として公開されたのが、前作「-プログレッシブ-星なき夜のアリア」だ。
しかし、興収は約14億円と大幅にダウンすることになってしまった。

不振となった理由は色々と考えられると思う(10億円を超えれば立派なヒット作だけれど前作の6割弱というのはコケたと言わざるを得ない…)。

●前作どころか最初のテレビシリーズよりも前の時代を描いた、いわゆるエピソードゼロ作品であり、今更感があった

●前作のヒットをけん引した神田沙也加が出ていない

●コロナ禍で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されたり解除されたりというのが繰り返されていた時期でもあり一般層がオタクの多い映画館に行くのを敬遠した

そして、何よりも大きな要因はこれだ。

●1本で完結する作品だと思っていたのに2部作であることが作品のラストで明かされたこと

そんなアコギな商売をしたせいで、リピーターがつかなくなってしまったし、これから見ようと思っていた人もその情報を知って、見るのをやめてしまったといったところだろうか。

そして、前作からちょうど1年を経て公開されたのが、エピソードゼロ2部作の後編となる本作「冥き夕闇のスケルツォ」だ。
ちなみに、本来は9月公開とアナウンスされていたが、スタッフの新型コロナ感染で公開時期が10月に延期された。
たった1ヵ月の延期で済んでいるというのは驚きだ。7月クールのテレビアニメの中には、制作スケジュールが遅れに遅れ、10月クールに改めて1話から放送することにした作品もあるくらいなのにね。

そんな本作だが、公開初週の観客動員数ランキングでは、11週連続でトップだった「ONE PIECE FILM RED」を蹴落として、初登場1位を記録したようだ。
ということは、前作よりもヒットしているということなのだろうか?コロナも落ち着いたから、ライト層も安心してオタク向けアニメ映画を見に行けるようになったということか?

でも、上映館は結構、空席が目立つんだよね。入場者特典も簡単にゲットできたし。

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そう考えると、単に「RED」の需要が落ち着いただけで、興行界が低レベルになっただけということなのだろうか?「RED」は首位から転落したのみならず、順位は3位となっている(=Yahoo!映画で酷評されている「カラダ探し」より下位)ことを考えると、その可能性は否定できないかな…。

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作品自体について触れておこう。
ぶっちゃけ、前編より面白かったと思う。でも、テレビシリーズ4〜5話分くらいをまとめて見たって感じの内容でしかなかった。

前後編で描いた内容にプラスしてちょっと説明不足なシーンをじっくり描くみたいな感じにすれば、1クール全12話のシリーズにできたのではという気もする。

ところで、本作のストーリーを一言で言えば、難題を解決しなくてはいけないのに2つの派閥がいがみあっているせいでうまく行かず、それを主人公カップルなど、どちらにも属さない面々が解決するというものだ。

コレって、どうしても現実世界の政治の世界のメタファーだよね。
日本も米国もそうだけれど、今はコロナ、ウクライナ、インフレなど解決すべき難題が山程あるのに、与野党は対立しているばかりだからね。
与党は野党の話を聞こうとしないし、野党は与党の話を全否定する。
それは、政党だけでなく、その政党の支持者にも言えることだ。

結局、そうした難題を解決するには、しがらみのない無所属議員のアイデアが必要なのに、政界も世間もそうした人たちを無視or軽視している。

そんな世の中の風潮を描いているようにも見えた。

でも、そういうリベラルっぽい描写があるにもかかわらず、黒人キャラを悪役にしていたりとネトウヨっぽい描き方もしているんだよね。
米国で公開されたらバッシングされるぞコレ!

それにしても、気付いたら今年、水瀬いのりが出ている映画を見るのはこれで7本目だ!(アニメ6本、声の出演の特撮1本)
もしかすると、ファンなのか?
というか、これらの作品で演じたキャラってタイプも色々だけれど、そう考えると彼女って演技派なんだね。

それにしても、本作を鑑賞した劇場であるTOHOシネマズ日比谷のスタッフは私を来て欲しくない客とでも思っているのだろうか?

入場時にはスタッフ間が、どこどこまで入場者の検温をしたとかしないとかいう話をしていたが、その際に検温担当のスタッフは別のスタッフとの会話で自分に対して、“コレ”と呼んでいたぞ。

それから、退場時も別のスタッフだけれど、ほとんどの観客に対して、“ありがとうございました”と言っていたのに自分に対しては無視しやがった。

お一人様の客とか、映画マニアっぽい客はターゲットではないってこと?
フードやドリンクを買わないから?映画館は映画を見せることが本業じゃないのか?フードやドリンクを買わない客は客じゃないと思っているなら、映画館と名乗るをやめろ!

そう言えば、いくらでも続きが作れそうな終わり方だったのに前作のような「次回予告」がなかった。本作の興行成績次第って感じなのかな?

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