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年末の音楽の話題の感想をまとめて紹介

⚫︎第66回グラミー賞ノミネート発表

正直なところ、グラミー賞の授賞式や受賞結果に一喜一憂したり、場合によっては怒ったり呆れたりもできたのは2000年代前半までだ。

元々、グラミー賞授賞式の中継番組というのは授賞式というよりかは受賞者や候補者を集めた記念パーティーのようなものだった。

年度によって増減するが多くの部門がグラミー賞にあるのにもかかわらず(今年度は94)、中継番組できちんと候補者を振り返り、受賞者を発表し、欠席していなければその受賞者のスピーチまで放送する部門はせいぜい10程度。最近だと一桁のこともある。主要4部門にプラスして、ポップ、ロック、カントリー、R&B、ラップというメジャーなジャンルから1部門ずつ(2部門紹介されるジャンルや1つも触れられないジャンルがあることも)、そして、その年度を象徴するようなムーブメントがあれば、それ以外のジャンルからも紹介みたいな構成だ。 

日本では考えられない長いCMタイム(WOWOWでの中継時の解説コーナーは米国のCMタイムの穴埋め)を含めて4時間前後の放送枠なのに、10部門紹介されればマシな方というのは授賞式とは言えないと思う。

ほとんどが会場でのライブ・パフォーマンスとか、プレゼンターや司会など受賞者以外の出演者によるダラダラしたスピーチだ。

それでも2000年代前半くらいまでは楽しめていたのは、その年度の受賞者・候補者のライブ・パフォーマンスがたっぷりと見られたからだ。

別にレコード大賞のように会場に来てパフォーマンスしてくれない人は候補者にしないというやり方を肯定するわけではないが、やっぱり、音楽賞の授賞式なんだから、ライブ・パフォーマンスは候補者中心であるべきだと思う。その1年間の音楽シーンを振り返る祭典なわけだしね。

ところが、年を重ねるごとに候補者以外によるコラボ・ステージがやたらと増えるようになってしまった。まるで、FNS歌謡祭だ。
コラボって、その面子全員に興味があれば別だけれど、そうでないと、正直なところ見ている方としては微妙なんだよね。ぶっちゃけ、フルコーラスでなくてもいいから、単独のパフォーマンスを見たいというのがファン心理だと思う。

そして、グラミー離れをさらに助長させているのが最近の受賞・ノミネートの選考のやり方だ。

男を選んではいけない、女性やLGBTQを評価すべき。その女性やLGBTQの中でも白人よりも黒人を評価しなくてはいけないといった偏り過ぎたポリコレが蔓延していて、女性・LGBTQ・黒人を無理矢理評価するために主要4部門のノミネート枠が5から8に拡大されたのもおかしな話だ。

その結果、ノミネートは音楽シーンを必ずしも反映していないものとなってしまった。まだ、ロートル扱いされているアーティストが時々、受賞してしまうひと昔前の方がマシだった。

それでも、受賞結果はなるべくシーンを反映しようとするので、白人アーティストが受賞することもあるが、そうなると受賞者は“(黒人アーティストの)誰々が受賞すべきだった”と申し訳なさそうに言うことになるわけで、こんなのおかしいでしょって思う。

それでも、ビヨンセ級のアーティストなら仕方ないかなと思う面もあるけれど、実際はほとんどヒットチャート上位には絡まない黒人アーティストや女性アーティストが多いからね…。

そんなわけで長いことグラミー賞授賞式の中継番組を見てきたが、前年度のもの(2023年開催)は追悼パフォーマンスとヒップホップ50周年の記念ステージだけ見て録画したものを消去してしまった。正確に言うと、録画したものを見ずにしばらく放置していたが、今年度(2024年開催)のノミネートを見て、もうグラミー賞はいいやと思い、深入りしないことにしたというところだが。

日本で生中継されることがなくなってしまったアメリカン・ミュージック・アワード(AMA)やMTV Video Music Awardsなんかは既に、生じゃないから録画したものを後で見たいところだけ見ればいいやという見方になっていたが(そもそも、AMAのNHKのBSでの放送ではカットされていることが多いし)、グラミー賞もそれと同じになってしまったということかな。
音楽ではないが、アカデミー賞の授賞式もこういう扱いになりそう。本当、過度なポリコレで欧米のエンタメはつまらなくなったと思う。

とりあえず、今回のノミネートは最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀楽曲全てテイラー・スウィフトが取るべきだと思う。タイム誌の今年の人に選ばれるくらい、今年の米経済に影響を与えたアーティストだからね。
これで黒人忖度の結果になったりしたら本当、いい加減にしろよって感じだよね。



⚫︎ 第74回NHK紅白歌合戦出場歌手発表

旧・ジャニーズ事務所は故・ジャニー喜多川の性加害問題を組織ぐるみで隠蔽したし、その問題に関する記者会見も酷いものだったので、紅白出場者からジャニタレ(便宜上、この呼称にします)を排除することは当然だと思う。

公共放送を名乗っているNHKで最も視聴率を稼ぐ番組=子どもから高齢者まで見るものだから、そうした配慮をするのは当たり前だ。

でも、そういうポリシーがあるのだとしたら、昭和のエロ本みたいなイメージの新しい学校のリーダーズや、“ゲロチュー(ゲロまみれのキス)”や“ベロチュー(舌を絡ませるキス)”について歌っているanoを出すのはおかしいでしょ。性的なものは排除しないと。ダブルスタンダードもいいところだ。

⚫︎Billboard年間チャート発表

アルバム(Billboard 200)、シングル(Hot 100)ともに年間チャート首位はカントリー歌手のモーガン・ウォレンとなった。年々、日本における洋楽シェアは下がっているが、おそらく、史上最も日本で知名度の低い年間首位獲得アーティストとなったのではないだろうか。

それにしても今年はカントリー系アーティストが強いチャートだった。Hot 100では、このモーガン・ウォレンの年間首位獲得曲“Last Night”を含む4曲が週間チャートで首位に輝いている。MVを作ったことで首位になったブレンダ・リーのクリスマス・ソングの定番“ロッキン・アラウンド・ザ・クリスマス・ツリー”も広義のカントリーとすると5曲だ。

よく、カントリーは米国の演歌という言い方をされる。地方の保守層が好む音楽、間奏でギターソロが展開されるなどロック寄りな面があること、見た目が分かりやすい格好をしていること(演歌では着物やスーツ、ドレス、カントリーではテンガロンハットなど)など共通点はあるが、演歌はカントリーのように若者への支持は広がっていないし、ストリーミングではあまり聞かれていないので、そういう言い方は個人的にはちょっと違うよねとも思うが、それでも、こうした音楽が全米チャートの首位になるということは、地方の保守層以外にも広がっているということだから、民主党バイデン政権に対する不満や過度なポリコレが都市部や郊外の白人の間で高まっているということなんだと思う。
モーガン・ウォレンは黒人差別と捉えられる発言をしても干されることなく人気を維持しているということは、マスコミや音楽業界の中にも今の米国の異常なポリコレがおかしいと思っている人が多いってことなんだろうね。

ところで、11月中に年間チャートが発表されたことに驚いてしまった。
長いこと、前年12月第1週からその年の11月最終週を年間チャートの集計期間として、12月後半に発表していたのが、集計期間が前年11月下旬あたりからその年の11月中旬あたり、発表時期が12月上旬頃となっただけでもびっくりしたが、今回は11月発表だからね…。というか、集計期間が10月下旬までと通常より1ヵ月少ないのはどういうこと?

ここ最近、11月下旬から1月上旬のチャートはクリスマス・ソングのリエントリーだらけでヒット・チャートとして機能しなくなっている=年間チャートの集計期間が実質的には1月上旬から11月中旬になってしまい、クリスマス・シーズン直前にピークを迎えたヒット曲が年間チャートで不利になっているということを配慮したのだろうか?

⚫︎Billboard JAPAN年間チャート発表

YOASOBI“アイドル”の年間1位に文句を言う人はいないと思う。というか、ストリーミングのポイントのみで集計しているApple Musicの年間1位がこれではなく、Official髭男dismの“Subtitle”だったことの方が驚きだ。勿論、ストリーミングのポイントのみの集計だから対象期間にランクインしている週数が長かったヒゲダンの方が有利だったのかも知れないが。
まぁ、“アイドル”については、ストリーミングだけでなく、MVの動画再生や、ラジオのエアプレイも強かったから、あらゆる指標を合算したビルボードでは圧倒的な勝者になったということなのではないかと思う。



そして、毎年言及しているが、本当に年々、洋楽が聞かれなくなっているというのを実感する。

K-POPを除くと洋楽はアルバムが年間上位100作品中1作だけ、シングルはゼロだ。

ちなみに、唯一の洋楽アルバムはザ・ローリング・ストーンズ18年ぶりのオリジナル・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』だ。スタジオ・アルバムとしては、カバー・アルバム『ブルー&ロンサム』以来7年ぶりとなる。シングル曲が日本のテレビドラマの主題歌となったことで多少は若者にアピールできたことも寄与しているのだとは思う。

洋楽のシェアを単純計算するとアルバム1%、シングルはゼロということになる。いかに日本人が洋楽を聞かなくなったかということがこの年間チャートでよく分かるのではないだろうか。

確かに自分も洋楽(日本人アーティストのジャズやクラシック含む)のCDはほとんど買わなくなったが…。買うのはほとんどアイドルとアニソンだしね。

ストリーミングだって、最近のヒットしている洋楽楽曲はBGMとして垂れ流しで聞くのを前提に作ったような曲ばかりだし、ロック系の楽曲はあまりチャート上位に来ないからリアルタイムの新曲には聞こえないしって感じだから、どうしても洋楽に対する興味が低下しているしね。

まぁ、アルバムの方の年間チャートを見ると、音楽自体をじっくりと聞く人自体少ないんだなというのはよく分かるけれどね。上位はジャニーズ、K-POP、K-POPもどきの国産グループによって占められているからね(ごくわずかな例外はあるが)。


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