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Taylor Swift | The Eras Tour 東京公演 20242.09 Fri.

今回のツアーは公演そのもの以外のところで批判したくなる要素が多い。

環境保護を訴えるリベラル勢からすれば、プライベートジェットを使って世界中を飛び回っていることは批判したくなる案件だろう。
そりゃ、プライベートジェットを使っていれば、日本時間10日の東京公演を終えて、米国時間11日のスーパーボウル観戦も可能なわけだよね。

また、高いチケット代を払ってVIP席を購入したのに、その席ではホール公演時の後方席レベルでしかテイラーを見られないとか、座席指定のはずなのに自分の席でないところまで押し寄せて前方に陣取る連中がいるなど、観客の民度の低さも指摘されている。ただ、ネット上では中国人や帰国子女など特定の属性をあげて批判する人がいるが、違反者の全てがそれとは限らないのでそういう差別的な発言をするのはどうかと思う。



そして、最大の不満点は入場時のレギュレーションの厳しさではないだろうか。

カン/ビン/ペットボトル/水筒の持ち込み禁止というのは地下アイドルの対バン会場のライブハウスでもやっているところがあるが、これは会場の売店を利用させて利益を得るという日本的なやり方というよりかは、米同時多発テロ以降の欧米社会のレギュレーションという感じだろう。カン/ビン/ペットボトル/水筒は凶器になるし、これらを装った爆弾を持ち込まれる恐れもある。また、飲み物を装った液体爆弾だってある。そういう発想なんだと思う。安倍暗殺事件があるので日本なんかでテロは起きないとは言い切れないから、世界的セレブの公演ではこれに関しては仕方ない面もある。

でも、高さ35 cm/幅30 cm/奥行き20 cmを超えるサイズのカバンの持ち込み禁止、ベビーカー/傘の持ち込み禁止はありえないでしょ。

日本は平日のライブ参戦日に仕事や学校を休める人なんてほとんどいない。せいぜい、定時退社とか部活をさぼるくらいがいいところだ。
となると、職場や学校に持っていったカバン類を持ち込むことになる。職場や学校に持っていくカバンやリュックのほとんどがこのサイズをオーバーするよね。

傘だってそうだ。雨や雪が降ったらどうするんだ?

カバンや傘の持ち込み禁止というのは車社会の発想だ。欧米で開催されるコンサートやスポーツの試合ならほとんどの観客が車で来場する。
でも、日本の首都圏で開催されるイベントはほぼ全員が電車やバスなど公共の交通機関を使って来場する。

車で来るなら車内にカバンや傘を置いておけばいい。雨や雪が降っていたって駐車場は会場内にあるから濡れない。でも、電車やバスの利用ではそうはいかない。百歩譲って、カバンは駅のコインロッカーに入れられたとしても(東京ドーム来場者全員分のロッカーはないが)、傘は無理だ。そして、駅やバス停と会場が外に出ずに直結しているケースはマレだ。それに、レインコートを着て電車やバスに乗っている人なんて不審者扱いされる。

ベビーカー禁止だってそうだ。欧米ならライブに行くから子どもをベビーシッターに預けようとなるが、日本ではベビーシッターを雇う余裕のある人なんていない。まぁ、子どもの分のチケット代を買う余裕があるならシッターを雇えるよねとは思うが。

こうしたレギュレーションは完全に車社会、有給使い放題、ベビーシッターは当たり前の欧米仕様なんだよね。日本側は何故、こんなのを受け入れたのだろうか。このレギュレーションは日本には向いていないと説得できる者はいなかったのだろうか。というか、テイラー側の言いなりなんだろうね。



結局、漫画の脚色問題もこれと同じなんだろうね。相手の言うことを否定すると機嫌が悪くなりキャンセルされてしまう。だから、間に入っている人間は相手側への批判的な意見はなかったことにしてしまう。



でも、21時半までに公演を終えなくてはいけない=長時間上演の本公演では定時の18時に開演しなくてはならないという東京ドームのローカルルールは承諾しているくせに、カバンや傘の持ち込み禁止という首都圏開催のライブではありえない欧米のルールを強制するのは意味不明だ。




そんなわけで色々と疑問を抱えながら参戦した。

Xやネットニュースで話題になっていたように、確かに観客のマナーは酷かった。

通路に飛び出してスマホで撮影したり、スマホをペンライトにして応援したりという連中がうじゃうじゃいて呆れてしまった。



危ないったらありゃしない。アホ女の手が何度もこちらにぶつかりそうになったし、視界も遮られてしまった。

普通、スタジアムとかホールで開催されるライブだと座席から片足がはみ出したくらいでも鬼の形相でスタッフがやって来て文句を言うのに、本公演ではこうした不届き者はスルーされていた。

もしかすると、日本のコンサートでは持ち込み禁止にならないようなものまで禁止にしたから、場内でテロ行為を行うものはいなくなった。だから、警備スタッフを配置する必要はないとか考えていないか?そして、こうした不届き者どもは警備がいないのをいいことに好き勝手やっているのでは?



それから、明らかに最近のテイラーを知らないのにやって来ている客が多かったように思う。

今回のツアーはコロナの影響もあり、テイラーにとっては5年ぶりのものとなっている。
この間にテイラーは4枚のオリジナル・アルバムと4枚の再録アルバムをリリースしている。
それぞれのアルバムごとにブロックわけして(順不同)、ほぼ全てのアルバムを振り返る(1stのみコーナーわけされていないが、アコースティック・コーナーで1st曲を披露することが多いようだ)という構成にしているのは、この間にツアーでやらずにたまったアルバム(再録盤含む)をまとめてやってしまおうというところから発想されたのであろうことは容易に想像がつく。

なのに、最近のオリジナル・アルバム4作のうち3作のリアクションが弱いんだよね。明らかに曲を知らないって感じだ。

コロナ禍のパンデミックの最中にリリースされた内省的でフォーキッシュな2部作『フォークロア』と『エヴァーモア』の楽曲が生で聞けるのが今回のツアーの最大の注目点だと思う。
特殊な状況下でリリースされた作品だから、今後のツアーでは披露されない可能性だってある。
なのに、この2部作の収録曲を歌っている最中にトイレや売店に行く奴がうじゃうじゃいるってどういうことなんだ?そんな連中はこのツアーに来る資格はない!百歩譲って、この2部作の楽曲は日本のテレビやラジオではあまりかからなかったから知らない=興味ない=つまらないと思うのは仕方ないとしよう。

でも、最新オリジナル・アルバム『ミッドナイツ』収録曲の盛り上がりが少ないのはダメでしょって言いたい。“アンチ・ヒーロー”がシンガロングにならないなんて信じられない。このアルバムはグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞したばかりだし、このアルバムでテイラーは史上初めて4度目の最優秀アルバム賞を受賞したアーティストになったばかりなのにね。



結局、日本の音楽ファンはコロナ前にリリースされた『ラヴァー』までのオリジナル・アルバムしか知らないってことなんだよね。

確かに冒頭の『ラヴァー』パートの黄色い声援はすごかった。耳をやられそうになったくらいで退出したい衝動にかられた。渋谷のライブハウス、aubeのデタラメな音調整のスピーカーなみの破壊力だった。



それにしても、テイラーってアルバムごとにちょっとずつ音楽性もビジュアルも変えるから、こうしたブロックわけして、そのパートではあるアルバムの収録曲だけをやるというセトリにすると、ワンマンというよりかは約10組のアーティストによる対バンライブを見ているような気分になり疲れてしまうんだよね。
まぁ、約3時間20分もあるから、構成に関係なく単純に疲れるけれどね。
しかも、MCは少々だし、着替えやセットチェンジの時間も非常に短い。



でも、そんな長丁場のライブをほとんど休みなしで歌って踊ってノンストップで突っ走るんだから感心する。時々、ギターやピアノも弾くしね。

世界中のほとんどのアーティストはテイラーには勝てないと思う。

まぁ、コンサート映画で既に内容は知っていたから、本公演を見ても驚きはほとんどなかったけれどね。

そして思った。こうして、テイラーの曲をライブで聞くと、ジャンル的には初期はカントリー、そして、徐々にポップって感じではあるけれど、何よりも基本はロックだよねって思う。



《追記》
テイラーのライブの観客の民度が低いのはよく考えたら今回が初めてではなかった。
2015年に東京ドームで見た時、到着時に自分の席がないなと思ったらバカ女が荷物を置いていやがったからね。

それから、来場者に配布される手首装着型の“ペンライト”だが、あれって電池切れるまでついたままのタイプだから、水道橋駅の駅員が“ペンライトの電源をつけたままだと運行に支障が出るのですぐに消せ”と言っても無理なんだよね。
こういう非エコなことをやっているのを見ると、テイラーって共和党側が攻撃するほどのリアルなリベラルなのかという気もするんだよね。プライベートジェットの問題もそうだけれど。

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