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映画 デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!

プリキュア映画シリーズは毎年必ずしもそうであるとは限らないが、原則、年に2本の劇場版を公開するというのがデフォルトになっていた。

プリキュアシリーズは言うまでもなく、同じ東映の実写特撮作品の仮面ライダーや戦隊シリーズと同様に毎年、主人公や設定を変えた作品に変わる。プリキュアの場合は2月が代替わりの時期なので、春にはスタートしたばかりの新シリーズのお披露目を兼ねた過去シリーズとのクロスオーバー作品を公開。

そして、その新シリーズの人気が定着し、まもなく終盤戦に入ろうとする秋にその最新シリーズ単独の劇場版を公開するというのが基本パターンだ。

しかし、コロナの影響でそのローテーションが狂ってしまった。
当初は2020年3月公開予定だったクロスオーバー作品「映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日」は同年10月公開となった。

そのため、21年1月に放送を終えた「ヒーリングっど♥プリキュア」の単独映画「映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」の公開は、同年3月という次のシリーズが放送されている時期になってしまった。

そして、同年10月には、本来なら春秋が逆になったとはいえ、ローテーション的にはクロスオーバー作品になるはずだったのに、続けて、その時点での最新シリーズ「トロピカル〜ジュ!プリキュア」の単独映画「映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!」を公開することとなった。

もっとも、「ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」も、「雪のプリンセスと奇跡の指輪!」も過去シリーズのキャラが登場するので、実質クロスオーバー作品となっている。

コロナ禍になって、アニメ映画の記録的大ヒットが相次いでいるが、その恩恵を受けているのはほとんどが10〜30代代中心に支持されている作品だ(「シン・エヴァンゲリオン」は例外かな?)。「鬼滅の刃 無限列車編」や「ONE PIECE FILM RED」は確かに家族連れも動員しているが、あくまでもコアな支持層は10〜30代だ。劇場版「名探偵コナン」シリーズもそう。

でも、家族連れがメインの客層となっている劇場版アニメシリーズはコロナ禍になって苦戦している。

「ドラえもん」シリーズはコロナ前の2作品は興収50億円を突破したが、コロナ禍になってからの作品は正シリーズの2本、番外編扱いの「STAND BY ME」の続編のいずれもが興収30億円前後で終わっている。

「ポケモン」シリーズは2020年公開作品がシリーズ最低の興収となり、21年、22年は新作が公開されていない(22年はリバイバル上映はあったが)。

「妖怪ウォッチ」シリーズはコロナ前の2019年に公開された作品を最後に純粋な新作は公開されていない。21年に小規模公開された劇場版はテレビシリーズ2話をまとめて追加シーンを追加しただけの劇場版と呼ぶに値しない内容のものだ。

「クレしん」シリーズは一見、家族向けのイメージがあるが、以前からシネフィルやサブカル厨に注目されているので、2020年公開作品こそ前年度作品の半分近くまで興収を落としたけれど、21年、22年公開作品はコロナ前の水準まで戻している。これは、例外と言っていいと思う。

去年公開のプリキュア映画「雪のプリンセスと奇跡の指輪!」はシリーズとしては3年ぶりの観客動員数ランキング首位獲得となった。でも、興収は5.9億円だ。クロスオーバー作品には興収10億円を超えたものも多いし、単独作品でもほとんどの作品が8〜9億円台という成績をあげていた。なので、プリキュアもコロナの影響を受けて家族連れの動員が苦戦しているシリーズとなっている。

コロナ禍になって、家族連れがメインターゲットの作品は、いくら、プリキュアのような大きなお友達が見に来るタイプの作品でもかつてのような興行を展開できないということなのだろう。それを考えると、クレしんというのは別格なんだなというのを改めて実感する。

そんなわけで、今年はコロナの影響による公開延期などがなかったのにもかかわらず、年1作品のみの公開になったのは(2020年が年1作品のみの公開だったのは春公開予定作品が秋公開になったため)、こうした最近のファミリー層向けテレビアニメの劇場版の興行成績が伸びない状況を反映したものなのだと思う。

おそらく、ここ最近のプリキュア単独映画が実質クロスオーバー作品となっていたのも、年1体制にするための地ならしだったのでは?

そんなわけで本作「映画 デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!」は本編が最新シリーズ「デリシャスパーティ♡プリキュア」の単独映画。同時上映の短編「わたしだけのお子さまランチ」が「デリシャスパーティ♡プリキュア」と過去シリーズのクロスオーバー作品という形になった。そして、これまでの秋公開作品は10月公開というケースがほとんどだったが、今回は9月という通常よりはやい時期の公開となった。

まぁ、冷静に考えたら年2本公開体制だった時の3月と10月に公開というシステムの方がおかしかったんだよね。本来ならきっちり半年ずつにするなら3月と9月にすべきだからね。しかも、9月は祝日が続けて訪れることからシルバーウイークと呼ばれる時期もあるわけだし、今回のようにシルバーウイーク中に公開するのが興行的にも正解なんだよね。

まぁ、10月下旬公開にしていたのはこの時期が東京国際映画祭の開催時期なので、映画メディアが取り上げる舞台挨拶関係の話題がそっちに持っていかれてしまうから、一般邦画の公開が控えめになりやすい。その隙間を狙って固定客で稼げる作品をかけようという作戦だったのかもしれないが、コロナ禍になって、東京国際映画祭に対する注目度も低下したので、わざわざ、それを意識する必要もないと判断したって感じかな?

というか、今年の東京国際映画祭はオープニング作品やクロージング作品が東宝作品だったり、メイン会場がTOHOシネマズ日比谷だったりして、東宝国内映画祭みたいな感じだから、プリキュアを配給している東映としては映画祭を意識する必要はないって思っているのだろうか?

話を本題に戻そう。

今回の劇場版は一応、長編と短編の2本立てということにされていて、KINENOTEでは別々の作品として登録されているが、実質的には2つで1本の作品と言っていいのではないかと思う。どちらも“お子さまランチ”の話だしね。

東映のロゴはまとめて1回しか出てこないし、長編の前と短編の前には、それぞれ、前説的なものが入っている。そうしたことを考えるとバランスは悪いけれど、尺の長いエピソードと短いエピソードで構成されているオムニバス映画と呼んでいいのではないかと思った。

あるいは、短編パートはテレビアニメの次回予告前後にくっついてくるデフォルメされたキャラが登場してくっちゃべるコーナーみたいな感じにも見える。

話自体はクレしん映画みたいな展開だった。

大人を排除するテーマパーク、しかも、侵入してきた大人はぬいぐるみにしてしまうというホラーな感じは、いかにもクレしん映画にありそうな設定だよね。まぁ、最後はちょっと感動したけれど。その辺もクレしんっぽい。

というか、今回の悪役、何歳なんだ?

主人公が幼少時に一度遭遇しているということだが、仮にその時が4〜5歳の頃だとすると、主人公は現在、中学生なんだから約10年前となる。

一方、この悪役のその時の見た目は、まだ小学生くらいに見えた。仮に主人公と遭遇した時が小6だったとしても、約10年なら22歳。つまり、大学生なわけでしょ。でも、作中では社会人として描かれているんだよね…。
勿論、4年制大学に通わずに、短大や専門卒で社会人になっているのかも知れない。あるいは、高卒か中卒で働きに出ているかも知れない。
とはいえ、反抗期のヤンキーじゃないんだから、学生だろうと、社会人だろうと、20代前半の者が、“この支配からの卒業”みたいな感じで自分より年上の者だけを大人としてみなして攻撃するのは何か幼稚に見えて仕方ない。
というか、社会人になっているなら、あんたも立派な大人だろって言いたくなる。

そういう設定のつめの甘さが気になって、作品にのめりこんで見ることができなかった。

プリキュアの仲間の少年(主人公の幼なじみ)が助けに来た際に、同じく仲間の大人(いかにもなオネエキャラなのはポリコレ的にどうなのかとは思うが)のみをぬいぐるみから人間に戻し、その他大勢の一般人を戻さなかったのは何故?細かいところがダメダメなんだよね。
まぁ、大きなお友達やシネフィルのことは無視して、本来のターゲットである子どもに向けて作った作品なんだから、そんなことは気にするなってことなのか?

ところで、お子さまランチって概念って海外にはないよね?海外の人が本作を見たらどう思うんだろうか?マック版お子さまランチとも言えるハッピーセットは、通常のマックのメニューにおもちゃをつけただけだからね…。まぁ、バーガーにしろ、サイドにしろ、期間限定バーガーのセットよりはボリュームの少ないものが選ばれてはいるけれどね。


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