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追悼「何でも屋」ジョエル・シュマッカー監督

映画史上最もハンバーガーが印象的な作品「フォーリング・ダウン」で知られるジョエル・シュマッカー監督が亡くなってしまった…。
それにしても、この監督の作品一覧を見ると、同一人物がメガホンをとったとは思えないラインアップだな…。


「フォーリング・ダウン」以外では、
「セント・エルモス・ファイアー」
「ロストボーイ」
「今ひとたび」
「フラットライナーズ」
「愛の選択」
「バットマン・フォーエヴァー」
「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」
「評決のとき」
「8mm」
「フォーン・ブース」
「オペラ座の怪人」
等々


本当に同じ監督?って言いたくなるほど、ジャンルも作風もバラバラ…。
映画マニアでもなければ、同じ監督の作品だとは気付かないと思う。
でも、映画界で長く活躍するには、こういう何でも屋要素って必要だと思う。チャールズ・チャップリンとかアルフレッド・ヒッチコックみたいに特定のジャンルのマスターになれる監督はわずかだし、ましてや、スティーヴン・スピルバーグみたいにどんなジャンルの作品を撮ってもスピルバーグ色になってしまう監督なんて滅多にいない。
だから、シュマッカー監督みたいに決定的な名作はなくても、あらゆるジャンルで平均点レベルの作品をコンスタントに出すってのも長く仕事を続ける一つの手ではあるんだよね。
彼のフィルモグラフィーで主な映画賞の主要部門に絡んだのって、ゴールデン・グローブ賞の作品賞にノミネートされた「オペラ座の怪人」くらいしかないから、巨匠とか名匠とか鬼才とか呼ばれることはないけれどね。
でも、カルト的に愛される作品はいくつも発表してくれた。「ハンバーガーの見本写真と実物が違う!」と怒るのは米国人も一緒なんだということを教えてくれた「フォーリング・ダウン」なんて好きな人が多いしね。

自分がマスコミ業界人として何でも屋的立ち位置にいるのは、シュマッカー監督をリスペクトしている部分もあると思う。
やっぱり、あらゆるジャンルで、平均点以上の仕事をできる人間は、普段は空気のような存在かもしれないけれど、何かあった時には頼られると思うので、そういうシュマッカー監督のような仕事の進め方は理想だな。天才や秀才にはなれないけれど、何でも屋になら努力すればなれるってことかな。

最後に、シュマッカー監督作品で一番好きなのは、やっぱり、「フォーリング・ダウン」だな。哀悼の意を込めてハンバーガーでも食べるかな…。

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