ライド・オン
ドキュメンタリーや声の出演のみの作品、ゲスト出演の作品を除くと、2021年5月公開の「プロジェクトV」以来となる日本で劇場公開されたジャッキーの新作となる。
この時は新型コロナの緊急事態宣言の影響で都内のほとんどの映画館が休業となっていたため、緊急事態が解除されてからの都内での上映は限定的だった。
そういう点を考慮すると、ゲスト出演作品やスタッフとしてのみの参加作品を除いた都内できちんと一般公開されたジャッキー映画としてはギリギリ、コロナ前と言っていい2020年1月公開の「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」以来となる。本当に久々の新作だ。
そして、ジャッキーが本作同様、老師匠を演じている「ベスト・キッド」(2010年)以来となる、内容のあるジャッキー映画となっていた。
まぁ、クライマックスがアクション・シーンでないというのは物足りないし、危険な生身のスタントという古いやり方を捨てられない限りなく老害に近い男の話なのに、明らかにCG合成したシーンや撮影、編集でごまかしたアクションがあるのはどうかとは思うが…。
いくら中国とは言え、撮影時に馬を“虐待”することはできないだろうから、馬の登場するシーンはCGやVFXで処理した箇所も多いと思うしね。
それに、冒頭に出てきたスタントの女弟子がしばらく出てこないで、やっと出てきたと思ったら撮影中のトラブルで負傷。そして、その後はまた出てこないというのはよく分からなかった。何のために出てきたキャラなんだろうか?
でも、全体的にはウルッと来るシーンも多かったし、娘役の女優は可愛いし、満足はできた。
相変わらず、ジャッキーって女優の起用の仕方がうまいよねって思う。ロリコンエロジジイなんだろうね。
というか、70歳で20歳くらいの娘がいる役を演じるのはどうなのよと思ったけれど、ジャッキーは童顔だから、アラフォーになって子どもが生まれた設定の役と考えれば、それほど違和感はないんだよね。何か自分の20年後くらいの風貌ってこんな感じなんじゃないかって気がしてきた…。
とりあえず、過去のジャッキー映画の名アクション・シーンのアーカイブ映像を本作でジャッキーが演じたベテラン・スタントマンの過去の仕事ぶりを紹介するものとして使うというメタな構成は80〜90年代、ジャッキーが危険なアクションを連発していた時代をリアルで体感していた世代にはたまらないよねと思った。
ぶっちゃけ、これがジャッキーの引退作となってもおかしくないなと思った出来だった。