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劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班

2週目の観客動員数ランキングで2位。しかも、初登場週よりも順位を上げているのに、3週目を迎えた途端、上映回数が一気に減り、早朝とか夕方にしか上映されない劇場が多くなっている。なので、鑑賞する劇場を探すのに苦労した。本当なら他作品とハシゴしたかったが、他作品も上映回数が同様に減らされているので、諦めて今日はこれ1本だけを見ることにした。

要は多くのシネコンが劇場版「名探偵コナン」最新作の上映にスクリーンをさいているので、他作品の上映機会が減らされてしまったってことなんだけれどね。ランキング2位の作品でもこういう扱いになるってことは、実質、通常だったら、全然ヒットとは呼べないレベルの成績だっていうことでもあり、ランキング上位にいるだけの作品を続映するよりかは、たとえ、座席が半分以下しか埋まらなくても「コナン」を1日に20回とか30回とか上映した方が他作品より金になるってことなんだろうね。TOHOシネマズ新宿なんて上映形態の異なるものも含めて40回以上の上映だからね…。今回、「シグナル」を鑑賞した新宿ピカデリーでも20回以上上映されている。

要はここ5週間、観客動員数ランキングのトップを独走している「シン・エヴァンゲリオン」と今週公開作品の「コナン」以外は1日1回とか2回の上映でいいやと思うほどの動員しかできていないってことなんだろうね。

元々、日本の観客動員数ランキングというのは米国の興行収入ランキングに比べると首位獲得作品が少なかったが、コロナ禍になってその傾向はさらに顕著になったと思う。
実際、この半年間でランキングのトップに立った作品はたったの4本しかない。しかも、このうち3本(「鬼滅の刃」、「銀魂」、「シン・エヴァンゲリオン」)がテレビアニメの劇場版だ。「花束みたいな恋をした」が唯一の実写作品となっている。

また、1週天下に終わったのは「銀魂」のみで、残りの3作品は全て5週以上首位に立っている。
去年の緊急事態宣言が明けてから「鬼滅」が公開されるまでの5ヵ月弱の期間は、緊急事態宣言中に上映開始されていた作品や再上映作品も含めて11本もの首位獲得作品が生まれていたのに、「鬼滅」が公開されて以降の半年ではたったの4作品(おそらく、月曜日に発表される最新ランキングで「コナン」が5本目になると思うが)しか首位獲得作品が生まれていないというのは、映画館、特にシネコンに足を運ぶ層が限られてしまったということなのだと思う。

おそらく、「鬼滅」が公開される前までは多くの劇場で座席は市松模様の販売になっていたし、フード類の販売も自粛していた。ところが、「鬼滅」で儲けられると察知したシネコン側は、「鬼滅」公開の時期あたりから全席販売と、フード類販売を解禁してしまった。そのため、中高年を中心にしたコロナ対策に気を使っている層がシネコンに足を運ばなくなってしまったのではないだろうか。その結果が、アニメファンや若いカップルにイベント的に受けている作品のみが延々と上位にランクインするという状況を生み出しているのだと思う。つまり、映画ではなくイベントとして楽しんでいるからリピーターも多く、それが尚更、1本かぶり状態になっているのだと思う。
今度の週末に公開される実写版「るろ剣」最新作は「コナン」といい勝負をしてくれると期待されているだろうから、久しぶりに、1本かぶり状態から抜け出す映画興行になるかどうか注視したいとは思うかな。

作品自体に関しては、テレビシリーズには全く興味がなく、今回の劇場版は奈緒が出ているからという理由だけで鑑賞したので、偉そうなことは言えないが、ご都合主義だらけの話だなと思った…。

12年前の人と話しているのに、政治家などに関して現在の肩書きで話しているのもおかしい。12年間も同じ肩書きの政治家なんていないでしょ。政治家なんて、コロコロ肩書きが変わるんだからさ!

あと、過去の事件発生未遂のシーンでは、マスクをしている人間だから不審者と思われ、事件を未遂に防げたみたいな描写があるけれど、現在のシーンははっきりと2021年と表示されているんだから、登場人物がマスクをしていないのはおかしいよね。昔は男が街中でマスクをしているなんてありえなかったから不審者扱いされたわけだから、そういう職質のリアリティを描くのだったら、現在のシーンの描写もリアルに描こうよって思った。

それから、いくら悪事とはいえ、過去の出来事を変えたら、現在のあらゆることが変わるはずなのに、ほとんど影響がないってのはおかしいよね。

そうした過去の悪事をなかったことにする思想と聞くと、歴史修正主義、つまり、ネトウヨ的思想と思ってしまうが、実際に見てみると、結構、政治家や警察に対する批判が込められた骨太の作品だった。ぶっちゃけ、政治や捜査当局に対する怒りの描写=政権批判の度合いは無知なパヨクが絶賛していた「新聞記者」以上だった。

隠蔽体質の政治家や警察の姿は安倍政権や菅政権で起きた様々なスキャンダルを想起せずにはいられないし、何も問題ないフリをしてウソの発表しかしない政治家の姿は最近のコロナ対策や福島第1原発を巡る諸問題を思い浮かべてしまう。

よく日本でコレだけ、反権力な作品をカンテレ・フジテレビ系の製作、東宝の配給というメジャー作品で作れたものだと感心する。あと、アクション・シーンも日本作品にしては珍しくちゃちく見えなかったし、その点でも感心した。
まぁ、大元が韓国ドラマだから、そういう社会性のある描写も迫力のあるアクションもできたのだとは思う。ただ、アクション・シーンに関しては日本でやると、全然、リアリティないよね。特に警察と犯人の拳闘シーンとかね…。

ところで、奈緒の出番って、あんな程度で、演じるキャラの扱いもあんな感じなのか…。そのせいか、そんなに演技が上手く見えなかった…。まぁ、可愛いからいいか。

そういえば、テレビ版を見ていない人に向けたこれまでのおさらい的なものが冒頭に入っていたけれど、コレはいらないと思うな。あくまでも映画は映画なんだしね。どうしてもつけたいんだったら、「シン・エヴァンゲリオン」みたいに冒頭の映画会社ロゴが出る前に、あくまでもオマケ映像的な扱いで流すべきだと思うな。

そして、本作を語る上で欠かすことのできない要素といえばBTSによる主題歌「Film out」だと思う。BTSはドラマ版に続けての起用ということだが、大元が韓国ドラマだからという安直な理由による人選なんだろうね。

それにしても、全米ナンバー1ヒットとなった「Life Goes On」など一連の韓国語作品や、全米ナンバー1ヒットとなった英語曲「Dymamite」といった楽曲では世界の最新ミュージック・シーンに準拠した良曲を量産しているのに、何故、日本市場向けに作った日本語曲だと古臭いバラードになってしまうのだろうか。

広義ではバラードかもしれない韓国語曲「Life Goes On」は世界基準のサウンドになっていたけれど、この「Film out」はラップ的パートがあるのを除けば、典型的な汎用型J-POPバラードだからね…。
それは去年、映画「きみの瞳が問いかけている」の主題歌として発表した「Your eyes tell」にも言えることだが…。結局、日本のレコード会社やマスコミがそういうものを求めているってことなんだろうね。
まぁ、「Stay Gold」は広義ではバラード曲に括られるのかもしれないが、あの曲はMVも含めて数少ない世界基準に近い日本語曲だったと思うけれどね。

ところで、この「Film out」、最新のbillboard HOT 100で81位に初登場し、BTSは坂本九以来の日本語楽曲をチャートインさせたアーティストとなったが、メディアを含む多くの人が「上を向いて歩こう」以来の快挙と言っていることには違和感があるんだよね。全米ナンバー1 となった「上を向いて歩こう」の後に、「支那の夜」が58位を記録しているんだよね。「支那の夜」は日本語と英語で歌われている楽曲だが、こういうケースは日本語曲としてカウントするはずなんだけれどね…。

ロス・デル・リオの「恋のマカレナ」が記録的な大ヒットとなったのは英語による女性ボーカルを組み込んだ“ベイサイド・ボーイズ・リミックス”のおかげだが、ビルボードはこの曲をスペイン語曲としてカウントしている。
それに準拠すれば、「支那の夜」も日本語曲のはずなのに、billboard JAPANの記事も「支那の夜」については触れていないんだよね…。

もしかすると、“支那”って言葉が中国人を侮蔑する言葉とされているから、ポリコレ的配慮でなきものにしてしまったのか?

そして思う。BTSのファンって、やっぱり、かなりの組織力があるよねって。本当に一般の欧米人にまで人気が浸透しているのなら、何語で歌ってもヒットすると思うんだよね。人気絶頂期のアイドルグループなんだからね。欧米人からすれば、韓国語も日本語も分からないんだし、何語で歌っているかなんて要素はそんなに重要だとは思えない。楽曲のタイトルは韓国語曲だろうと日本語曲だろうと英語のものが多い。
確かに日本語曲は古臭いバラードが多いから、サウンド的には退屈であり、何十回も繰り返し聞こうとは思わないというのは理解できる。

でも、BTSのファンというのは、強大な組織力でダウンロード購入したり、ストリーミング視聴したり、MVをYouTubeで見たりして初登場で上位にランクインするようにしているんだよね?
そして、そういう熱心なファンというのは普通、どんな曲を出しても初登場順位を上位にするために、色々と組織力を駆使するものであり、ぶっちゃけ、どんな曲を出しても、極端な話、クソ曲でも上位にランクインできるようにするものなのでは?

なのに、これまで、BTSの日本語曲は海外でもダウンロード購入やストリーミング視聴などが可能だったのにランクインしなかった。そして、やっとランクインした初の日本語楽曲「Film out」も初登場81位という微妙な成績に終わっている。

勿論、韓国語曲でもbillboard HOT 100入りできなかった曲もあるけれど、ここ最近の楽曲の多くは全米トップ40入りしているし、「Life Goes On」は全米ナンバー1ヒットとなった。
そう考えると、BTSのファンというのは、韓国語曲全米が全米チャート上位に来るように熱心に組織票を駆使しているのと同様に、日本語曲に関してはヒットしないように組織票を駆使しているという風にしか思えないんだよね。
つまり、韓国系米国人もしくは在米韓国人がBTSの全米チャート躍進における組織票の中心的勢力であるから、“敵国”の言語で歌われた日本語の作品はチャートインさせたくないってのが本音なんじゃないのかな?まぁ、日本のファンの中にも日本語楽曲はいらないと主張する人はいるけれどね。古臭いバラードばかりだしね。

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