るろうに剣心 最終章 The Beginning
シリーズものの最終章を2部作にする作品は、「ハリー・ポッター」をはじめ、これまでにもいくつかあった。
そのこと自体には何の文句もない。まぁ、今更、その商法をやるの?時代遅れじゃないの?って気はするけれどね。
ただ、最終章2部作の前編が“The Final”で、後編が“The Beginnig”という構成になっていることに関しては意味不明と言わざるを得ない。
前編でストーリーが完結し、後編はそれより前の時代を描くというのは盛り上がりに欠ける気がする。
“The Final”に該当する部分を単品で公開し、“The Beginning”に該当する部分を1年後とかに、“スピンオフ”とか“エピソード・ゼロ”的な立ち位置で公開した方が良かった気がするな。
ところで、前編“The Final”は緊急事態宣言が発令されたことによって、東京や大阪などではわずか2日の上映で打ち切りとなってしまった。
というか、緊急事態の発令が正式に決定されたのは公開初日の4月23日だが、それ以前から25日からの発令は言われていて、実際、23日公開予定だった「クレしん」は公開前日の22日に急遽、公開延期を発表したんだから、「るろ剣」シリーズも公開延期にしてもおかしくなかったんだよね。
でも、配給会社であるワーナーは東京や大阪など緊急事態宣言下で映画館の営業が休止される地域のことは無視して、予定通り公開することを選択した。
そもそも、この2部作は去年の公開予定だったものだし、ワーナーは海外でも、全国一斉には上映できなくても上映できる地域があれば、その地域では上映するという方針を「テネット」などの作品でとっていたから、邦画作品「るろ剣」でもそういう公開の仕方を取ったのだとは思う。
そして、一般的に全国の興行成績の35%ほどを占めるといわれる東京と大阪での上映がたった2日分しかないにもかかわらず、“The Final”は興収30億円を突破したのだから、その戦略は正しかったってことなんだろうね。
というか、「るろ剣」って都市部よりも地方で受けるコンテンツだったのか…。
まぁ、埼玉・千葉・神奈川のシネコンに出かけて鑑賞した都民は結構いると思うけれどね。
そして、都内でも6月1日より映画館の休業要請が解除されたのにあわせて、“The Final”の上映が再開され、そのわずか3日後の4日には予定通り、“The Beginnig”が公開開始となった。
ただ、都内ではまだ、“The Final”を見ていない人が多いのか、上映回数の少ない“The Final”の方がチケットの売れ行きが良い劇場もあるようだ。
そして、この最終章後編である“The Beginnig”を見た感想だが、これは時代劇だな。なんかこれまでの「るろ剣」映画より中高年観客が目立つなと思ったけれど、本作は普通に幕末を舞台にした時代劇だった。
これまでの「るろ剣」映画は、ワイヤーアクションを駆使したアクション映画、ダークヒーロー的な人物が活躍するヒーロー映画、あるいは、史実と虚構をまぜた“なろう系”なストーリーであることから、「銀魂」ほど極端ではないにしろ、ファンタジー映画といったイメージを持たれていたが、これは完全に時代劇だね。
これまでの「るろ剣」映画が好きな若いファンには退屈だったのでは?話も暗いし、画面も暗いしね。上映中にトイレに行くためにスクリーン前を横切る観客が多かったのも、想像していたものと違かったからではないかと思う。
それにしても、いくら“The Beginnig”とうたっている。つまり、これまでのエピソードよりも前の時代を描いているとはいえ、シリーズ完結編なんだから、武井咲、蒼井優、(途中参加の)土屋太鳳などといった、これまでの作品のレギュラー陣を最後くらいは出しても良かったのでは?
というか、シリーズ1作目につながるでも、“The Final”のラストシーンの続きでもいいが、そういう場面を見せるのがファンサービスなのでは?
そう考えると、やっぱり、2部作として公開するのではなく、“The Final”の公開から1年くらいして、“スピンオフ”とか“エピソード・ゼロ”的な立ち位置で公開した方が良かったと思う。
ところで、ワンオクの主題歌って、てっきり、2部作共通だと思っていたが、“The Beginning”用に別の曲が用意されていたのか。
今回の“Broken Heart of Gold”はいかにも、シリーズ最終作向きなロック・バラードだよね。個人的には、“The Final”主題歌のアンセミックな“Renegades”の方が好みだけれどね。
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