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ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ

今期のアニメはパッとしない、覇権と呼べるものがない、期待外れの作品が多いなどと言われることが多い。
その理由はターゲットが中途半端なことにあるのではないかと思う。別に全方位をターゲットにするならそれでもいいが、それにもなっていないからこういう批判の声が出てくるのだと思う。

例えば、放送前は期待値が高く今期の覇権候補だった「チェンソーマン」の評価がイマイチなのは、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」を支持するような非オタ層にも、アニオタにも刺さらない(=理解できない)ミニシアター系邦画のようなサブカル的な演出がされていたからだと思う。

また、「SPY×FAMILY」第2クールを“つまらない”と思う人が多いのは、本来はファミリー層向けにダラダラと長年と放送していくタイプのコンテンツなのに、考察好きなオタクに向けた深夜アニメのようなクール制で放送してしまったことにあると思う。
要は「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」、「名探偵コナン」、「ONE PIECE」、「ポケットモンスター」のようにほとんど話が進まない世界観の話だから、クール制でなく通年制で放送すべきだったということだ。だから、1話完結の話や、同じ1話の中でもAパートとBパートで違うエピソードになることだって多い。
スパイ版とか特殊能力者版の「クレしん」と呼ばれたりするのはそういうところなんだよね。

そして、期待外れと思われている今期のアニメには久々に復活したコンテンツが多いのも特徴だ。

「「艦これ」いつかあの海で」(正式タイトルに「」が入るのでこんな変な書き方になってしまった…)はテレビシリーズとしては7年半ぶり、劇場版を含めても6年ぶりとなる新作アニメだが、歴史オタクや原作ゲーム愛好家を意識した内容になっているせいで、アニメとしては非常につまらない作品になっている。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」はガンプラ系など番外編的な作品やOVAの再編集版を除くと6年半ぶりとなる「ガンダム」シリーズのテレビアニメ作品だが、これも、若い世代に向けた作品にしたいのか、昔からのファンに受け入れられる作品にしたいのか中途半端な状態となっている。

リメイク版「うる星やつら」はテレビアニメとしては実に36年半ぶりの復活だ。なのでキャラクターデザインは現代的になっている。にもかかわらず、描かれている話は80年代の世界観のものとなっている(スマホや地デジテレビが出てこないだけでなく、倫理観も昭和のまま)。そして、メインキャラの声優には今の20〜30代のアニオタが好みそうな面々をキャスティングしておきながら、オリジナル版のキャストも脇役で起用していたりもする。
はっきり言って、若いアニオタにも中高年にも見させようとして、何をやりたいのか分からなくなっているといった感じだ。
しかも、せっかくキャラデザを現代風にしたのにモブキャラの描き方は手抜きだし、ぶっちゃけ、80年代版の方がよく動いていたと言ってもいいほどだ。そりゃ、酷評されるよねといった感じだ。

そして、今期のアニメで最も復活した理由が分からないのが、スペシャル版や内容を大幅にいじったリミックス版という名の再放送を除くと4年半ぶりに復活した「ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ」だ。

そもそも、「ポプテピピック」は続編が作られるようなアニメではなかった。
1期の時は、この作品をつまらないと思っている奴は、アニメ・コミック・ゲーム・特撮・サブカルなどの知識がない奴という見方が蔓延していた。
つまり、この作品を楽しめない奴はオタクと名乗る資格がないという風潮があった。
だから、アニオタたちはこの作品をつまらないと思っていても絶賛してしまった。
演劇ファンやドラマ好きの間で、三谷幸喜や宮藤官九郎の作品を批判するとセンスがない奴扱いされるから批判できないというのと同じだ。
それでも、三谷幸喜は「ギャラクシー街道」という誰から見てもクソと呼べる映画を撮ったおかげで、だいぶ批判しやすくなったとは思う。

「ポプテピピック」に関してはパロディネタを正直なところ、つまらないと思っていた人も多かったのでは。でも、批判できない雰囲気があったので、多くのアニオタは声優のキャスティングでマンセーするしかなかったというのが実情だったのではないだろうか。

だいたい、AパートとBパートがほぼ同じ内容で、それを声優を変えて放送する、しかも、Bパートは男性声優が女性キャラを演じるというやり方自体、ほめられたものではないんだけれどね。
それを毎週、Aパート、Bパートともにキャストを変えて放送するから、アニオタ・声豚が今週は誰がやるんだということに注目するようになっただけのことだしね。

とはいえ、1期の全てがクソ(ほめていない)だったかと言うとそうでもなかった。
最初の数回は、これを絶賛しないとアニオタとかサブカル厨と認めてもらえないから面白いと言っている人が多いだけでしょ。一種のステマでしょと思いながら見ていた。

でも、7話の高速紙芝居による「ヘルシェイク矢野」は面白かった。紙芝居がアニメかどうかという議論はさておき、この回を見て以降、ヘルシェイク矢野のことばかり考えるようになってしまった人は多いと思う。
また、1期最終回に実写で声優の蒼井翔太が出てきたのもアニメとしてはどうかと思うがネタとしては非常に面白かったし、1期のこれまでの内容には実は色々と伏線がはられていたということが明かされる終わり方も嫌いではなかった(強引だけれどね)。

また、2021年には、さらにキャストを変更しただけでなく、一部内容も改訂されたリミックス版という名の再放送も行われたが、これは良くも悪くも「ポプテピピック」という感じで批判するほどのものではなかった。

しかし、この2期にはほめられるところがなかった。1期で話題になったことを繰り返しているだけだったからね。

1話からいきなり実写版蒼井翔太が出てきたし、最終回はほぼ全てが蒼井翔太主演の実写特撮ドラマ。しかも、これまでのBパートはほぼAパートの再放送という構成を無視して、30分枠で一つのエピソードにしてしまった。良くも悪くもポプテピピックの唯一の特徴まで捨ててしまったのだから何がやりたいんだかという感じだ。

また、今回の2期でも前期同様7話でヘルシェイク矢野ネタの高速紙芝居が行われたが、前回はあくまでも紙芝居に描かれていた絵を見せることに重きが置かれていたが、今回は完全に紙芝居を動かすAC部の面々が主役になってしまった。
しかも、前回は他のコーナーもあったが、今回は15分枠をほぼヘルシェイク矢野ネタだけで通してしまった。これをやれば、ネット民がマンセーしてくれるでしょって魂胆がミエミエなんだよね。

まぁ、アニオタにはネトウヨが多く、ネトウヨはどんなに自民党が矛盾だらけのことをしてもマンセーするから(嫌韓のくせに、統一教会とズブズブの自民を支持できるって意味不明!)、それと同じようにポプテピピックのことも批判できない連中がいるんだろうね。

というか、この10年間で日本人は本当に批判ができなくなった。ひと昔前までは自民党支持者でも自民の政治家が問題を起こせば、“辞めろ”と言ったり、お灸をすえる意味で野党に投票したりしていたけれど、最近は自民マンセーしかできないからね。まぁ、民主党政権があまりにもど素人過ぎたから、批判して自民党を野党にするのはやめようってなってしまったんだとは思うが。
でも、そうした考えが政治だけでなく、エンタメやスポーツの世界にも蔓延してしまっているのはダメだよね。だから、日本のエンタメは韓国に遥か先を行かれることになってしまったんだよね。
正しいファンというのは推しに問題点があれば、それをきちんと指摘できる人のことだと思うな。

はっきりと、ポプテピピック2期はつまらなかったと言おう!

とりあえず、新たなスペシャル版とか3期を作ろうなんていうバカな考えを起こさないことを願っています。

ところで、最近気になっていることがあるのだが、蒼井翔太って、もしかすると氷川きよし的な存在になりつつあるのかな?

※画像は公式HPより


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