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劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」

テレビアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」全26話を全5部作の劇場版「Gのレコンギスタ」として再構築するというプロジェクトを知った時は驚いた人も多いのではないだろうか。

通常、テレビアニメの総集編映画というのは、1クール(最大13話程度)を1本の映画として。もしくは、2クール(最大26話程度)を1本もしくは2本の映画としてまとめるものがほとんどだからだ。
リメイク版「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク版シリーズのテレビ放送に先駆けて公開された先行上映版は「2199」も「2202」も全7章に分割されているので(第1章は2話分しか上映されていないので正確には全6.5章かな)、劇場版「Gレコ」全5部作というのは決して、テレビ版の内容をノーカットで網羅しているわけではないということは容易に想像できる。

それに、この劇場版は1作目と2作目が90分台、3作目と4作目が100分台と上映時間も長くない(5作目の尺は不明)。
「鬼滅の刃」1期全26話の特別編集版は、アバン部分やCM前後などダブっている部分をカットして(残っている箇所もあり)全5本にまとめて放送したものだが(第1部は元々はテレビ放送に先駆けて先行上映されたもの)、それでも2時間枠には収まらない回もあった(大雑把に言えば、2時間枠の正味は95分弱だが、CM前後にはアイキャッチが入るので実際は90分程度か)。

つまり、100分前後の尺でテレビシリーズ26話を5本の映画にするということはどうやってもノーカットにはならないということだ。

しかも、1作目の頃には90分台が適正尺と言っていたのに、3作目、4作目と100分を超えているのは、結局、カットできないからでしょ?

だったら、普通に2本程度の総集編映画にすれば良かったのにと思うのだが、そうしなかったということは、テレビ版の出来に納得していなかったということなんだろうねというのはなんとなく察することはできるけれどね。

でも、それだけこだわりがあるにしては公開の仕方が雑なんだよね。

1作目の公開は2019年11月だった。
そして、その3ヵ月後の2020年2月には2作目が公開された。
この時点では、リメイク版「ヤマト」の先行上映版のように、年3本程度のペースで公開していくのかと思っていた。

でも、2作目が公開された頃からコロナ禍に突入してしまった。制作スケジュールや公開日程の変更が余儀なくされたことは想像に難くないし、「ガンダム」関連では、2020年公開予定だった「閃光のハサウェイ」もコロナの影響で何度も公開延期となった(最終的には2021年6月公開)。
だから、劇場版「Gレコ」3作目の公開は、「ハサウェイ」公開後の2021年7月まで待つことになった。なので、この時点では年1本ペースに変更したのかと思うようになっていた(1作目と2作目のスパンはわずか3ヵ月ではあるが、この間に年は変わっているしね)。

そして、4作目である本作はその新たなローテーション通り、前作から丸1年後の2022年7月公開となった。
でも、まさか、4作目公開の2週間後に完結編となる5作目も公開されるとは思わなかった…。

別にきっかり、丸1年あける必要はないけれど、2023年初頭くらいの公開でも良かったのでは?

何故、そんなに在庫一掃セールみたいなことをやるんだ?いくら、コロナ禍に突入しなければ、とっくの昔に劇場版「Gレコ」プロジェクトは完結していたはずだったとしても早急すぎる終わらせ方だよね。
結局、この劇場版シリーズが思ったような興行成績をあげられていないから、これ以上、丁寧に完成させ、プロモーションする予算もないということなんだろうね。

というか、最近の「ガンダム」映画の入場料金が均一料金となっているのを見ると、「Gレコ」に限らず、「ガンダム」映画関連の予算がないんだろうなというのは感じずにはいられないしね。
一般・学生・小人・シニア問わない均一料金でも、リメイク版「ヤマト」のようなイベント上映作品だと、通常の一般料金よりも安い入場料に設定されているものがあるけれど、最近の「ガンダム」映画は、今回の2作連続公開の「Gレコ」にしろ、去年公開の「ハサウェイ」にしろ、今年6月公開の「ククルス・ドアンの島」にしろ、一般料金に合わせた1900円均一だからね…。学生・小人・シニア料金の観客にとっては大幅値上げだよね。

つまり、「ガンダム」映画は現役世代(20〜50代)の観客が少ない。「ファーストガンダム」放送時に高校生・大学生あたりだった熱狂的なファン=シニア料金層か、声優目当ての現在の高校生・大学生がコアな観客層と見ているから、この世代から絞り取ろうという魂胆なのだろうか。
でも、「ハサウェイ」が興収22億円超、「ククルス・ドアン」が10億円超と大ヒットと呼べる数字を記録できたのはぼったくり入場料金のおかげでしょ。恥ずかしくないのかな?
まぁ、「Gレコ」はぼったくり料金でも、大ヒットにはならないけれどね。

というわけで、ただでさえ面白くないと言われる「Gレコ」の、そして、「Gレコ」に限らず全5部作構成の作品では一番パッとしない出来になりやすい4作目を見ることにした。

最大の印象は1〜3作目と変わらず、アイーダさんが可愛いということ以外は見所の少ない内容だったというところかな。

それから、話が分かりにくい。テレビ版を全く見ていないとはいえ、さすがに総集編映画の第4弾なんだから、全体像がつかめていてもいいはずなのに、よく分からないからね…。本シリーズの原作・脚本・総監督である富野由悠季しか理解できないのでは?

あと、設定もツッコミどころだらけ。

地球のような海を再現しているビーナス・グロゥブというスペースコロニーのシステムも“は?”って感じだ。“海底”にあいた穴をモビルスーツで埋められるのか?そんなわえねぇだろ!

それから、カシーバ・ミコシって何だ?御輿か?
ラ・グーはラ・ムー?
ミック・ジャックはミック・ジャガー?

アイーダさんが可愛くなかったら我慢して見ることはできなかったと思う。
というか、途中でスクリーン前を横切って、トイレだかなんだがに行った奴は我慢できなかったんだろうね。

そういえば、主人公とアイーダさんの近親相姦的な展開はやめたのかな?

とりあえず、ちゃんとした論評は2週間後に公開される劇場版最終作を見てしたいと思う。

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《追記》
どうやら、「GレコⅢ」を見たのはちょうど1年前の7月24日だったらしい。ちなみに去年は7月24日時点で94本の新作映画を見ていたが、今年は92本。ちょっと減っているな…。

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