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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

どうしてもマルチバースものを見ると睡魔に襲われそうになるんだよね。

アカデミー作品賞を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」も、トム・クルーズのみならず日本のアメコミ映画ファンも絶賛したDC原作映画「ザ・フラッシュ」も、前作「スパイダーマン:スパイダーバース」もそうだ。勿論、傑作扱いされない最近のアメコミ映画の多くもそうだ。

熱心なファンは、この作品の面白さが分からないのは、お前の知識不足だとか、映画を見る目がないからだみたいなマウントを取ってくるが、どうも自分の肌にはマルチバースものが合わないんだよね。

近年のマルチバースもので面白いと思ったのは「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」くらいだ。
タイムスリップもの、タイムリープもの、パラレルワールドものといった比較的近いジャンルの作品では睡魔に襲われることはほとんどないのに、マルチバースものはダメなのは何故?

色々と理由を考えてみたが、多分、マルチバースもののなんでもありってのが受け入れられないんだろうね。

タイムスリップものやタイムリープもの、パラレルワールドものだと、同一人物が同じ時間・同じ場所にいてはいけないことになっているが、マルチバースだと平気で同時に存在しているしね。そういうご都合主義だらけの展開が許せないんだと思う。

そんなわけで若干の不安を抱えながら本作を見ることにした。

ちょっとテンポが悪いかな?睡魔に襲われそうになる気配が訪れそうかな?という瞬間はあったものの、全体としては非常にエモーショナルだし、コミカルなシーンもあるし、なかなか良かったと思う。というか、字幕版を見たので聞こえてくる音声は英語なんだけれど、日本のアニメを見ているような感覚に陥ってしまったほどだ。

そして、どのマルチバースでも、主人公たちは定められた運命から逃れることはできない。なんでもかんでも好き勝手に話を変えられる昨今のマルチバースはおかしいとでも言いたいのかのようなメタな展開も面白かった。
その上で主人公が決められた運命を変えようと決意するのも胸アツだった。

それから、前作の時点でCG、手描き、アメコミ風のタッチなど様々なアニメーション技術が使われていたけれど、今作はさらにその表現方法が細分化されていた。実写も混ざっているしね。

まぁ、普通に考えたら今年度の米映画賞レースのアニメーション部門作品賞は、下半期に大絶賛されるような作品でも出てこない限り、本作が総ナメ状態になるのは間違いないのでは。

とはいえ、前後編として作られた作品なので、これから盛り上がるところなのにというところで終わってしまっている。だから、賞レースの結果はさておき、イチ映画ファンとして作品自体の評価をきちんと下すのは後編を見てからにしたいと思う。

それにしても、上映開始となってから遅れてやって来る観客が多かったな…。アメコミ映画ファンやアニメファンでない非オタに注目されている映画ってことなんだろうね。

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